おおさかナウ

2020年09月21日

〝住民サービス継続〟は大ウソ 大阪市廃止の都構想
市民プールが24→9に激減 利用者から不安と怒り

 大阪市を廃止して4つの「特別区」に分割する、いわゆる「大阪都」構想を巡り、推進派の大阪維新の会は「今の住民サービスは継続+拡充していきます」(「維新プレス」号外)などと宣伝しています。ところが〝「特別区」は黒字になる〟という財政シミュレーションには、「特別区」が設置されれば、現在24行政区に1カ所ずつある市民プール(温水プール)を9カ所に減らすなど、身近な市民利用施設を大幅削減(約17億円)すると明記。事実を知った利用者からは怒りや不安の声が上がっています。

よくする会・此花連絡会の集会で施設の大幅削減について説明する瀬戸氏(左奥)=13日、大阪市此花区内

よくする会・此花連絡会の集会で施設の大幅削減について説明する瀬戸氏(左奥)=13日、大阪市此花区内

各区にプール〝誇らしいことなのに〟

まるでだまし討ちのやり方

 市民利用施設の削減額のうち、約7割(12憶1600万円)を占めるのが市民プールの削減。「『サービス維持』とか言いながら、これは〝だまし討ち〟ではありませんか」と言うのは、大阪市西区の小玉有利子さん(45)。8月に夫(44)、長女(6)、長男(4)の4人で、市民プールを初めて利用しました。西区にも西屋内プールがありますが、自転車で行ける福島区の下福島プールに出掛けました。
 「下福島にはすべり台付きの屋外プールもあると聞いたのです。コロナで保育園のプールはお休み。海水浴もあきらめましたが、せめて何か夏の思い出をつくりたかった」と小玉さん。「家族みんなで楽しめたし、プールが各区にある大阪市を、あらためて誇らしく思いました。それを『都』構想でなくすなんて、とんでもない」と言います。
 24区には1カ所ずつ、屋内の温水プール(25㍍)があり、スポーツクラブなどを運営する企業共同体が指定管理者になっています。

年間延べ247万人もの利用が

 年間の利用者数(18年度)は24カ所の合計で、延べ約247万7千人。個人利用以外にも水泳教室なども開かれています。真田山プール(天王寺区)など5カ所には、屋外プールも併設されています。
 料金も安く、20施設が子ども(16歳未満)と高齢者(65歳以上)350円、大人700円。4施設と大阪プールの50㍍のコースは、子どもと高齢者500円、大人1千円。10回分の料金で11回通える回数券や、それより割安で1カ月通える定期券もあります。ちなみに、遊園地「ひらかたパーク」(枚方市)のプール料金(入園料込み)は2歳から小学生1400円、大人(中学生以上)2500円です。

水泳教室のほかリハビリも

 大阪市住之江区に住む40代の夫妻は、長男(11)と長女(8)、次男(5)を、それぞれ4~5歳から住之江屋内プールの水泳教室に通わせてきました。
 「教室の友達とも仲良く楽しく通え、スタッフの対応も親切で安心でした」と夫。妻は「市民プールをこれから利用したい人、憩いの場になっている人やそこで働いている人もいる。不要なら、とっくになくなっているはず」と疑問を投げ掛けます。
 同区の井上幸代さん(83)=仮名=は、20年以上前に義母の介護で腰を痛めたことから、医師からプールでの運動を勧められ、雨の日以外は住之江屋内プールに週3回通い、インストラクターについてもらって、25㍍コースを歩いてきました。
 ことし前半は新型コロナの影響と改修でプールは休業でした。通えなかった期間、足の冷えに悩んだという井上さんは、「市民プールは安くて近い。以前、プールまで通えた赤バスは、橋下市長時代に廃止。この上プールをなくすなんて。どうか、このままにしておいてほしい」と訴えます。

大阪市を守りプールを守る

4607-01minpou 大阪市をよくする会・此花連絡会は13日、平松邦夫元大阪市長を迎えて此花区内で「大阪市をなくさんといて大集合!」を開きました。日本共産党の瀬戸一正元大阪市議は報告で、財政シミュレーションでは、市民プールはじめ市民利用施設の大幅削減が前提になっていると指摘し、「サービス維持どころか、減らすことが前提だ」と強調。「真実を知らせれば、住民投票で必ず反対多数になれる」と力を込めました。
 同区四貫島1丁目から、つえを突いて集会に参加した女性(71)は、此花屋内プールを利用してきました。「掛かり付けの整形外科の先生からプールで歩くよう勧められました。私と同じように、健康やリハビリのためにプールを利用する人が、これからもいるはず。大阪市を守って、プールも残したい」と話しました。

(大阪民主新報、2020年9月20日号より)

月別アーカイブ