おおさかナウ

2020年08月01日

コロナ拡大下の住民投票なんて
大阪市を廃止させない
明るい会団体・地域代表者会議 世論と運動を広げて

住民投票勝利に向けた活動へ意思統一した明るい会の団体・地域代表者会議=7月21日、大阪市北区内

住民投票勝利に向けた活動へ意思統一した明るい会の団体・地域代表者会議=7月21日、大阪市北区内

 明るい民主大阪府政をつくる会(明るい会)が7月21日、大阪市北区内で団体・地域代表者会議を開き、コロナ禍の中で大阪市廃止を許さないたたかいを大きく広げようと意思統一しました。

 開会あいさつで菅義人・代表常任幹事(大阪労連議長)は、新型コロナの感染拡大が止まらず、各地で豪雨災害が発生しているにもかかわらず、「Go Toトラベル」事業の実施に踏み切った安倍政権について、「政策立案能力もない危険な政権だ」と厳しく批判。これに追随する維新の本性も明らかになりつつあるとし、「こんな時に『都』構想、住民投票か。コロナ対策の優先をとの声を広げよう」と語りました。
 荒田功事務局長が情勢と当面の活動方針を報告し、新型コロナの感染が拡大している中、政府や自治体がなすべきは医療体制の確保や検査体制の充実だと指摘。大阪府が基準を緩和した「大阪モデル」でも、警戒を呼び掛ける「黄信号」が点灯。府幹部や専門家の間で危機感が強まっていると述べました。
 府市両議会は8月18日から、「特別区設置協定書案」を審議する臨時議会を開き、府議会は同月28日、大阪市議会では9月3日に議決しようとしている中、大阪市をよくする会(よくする会)と共に共同闘争本部に結集してたたかおうと呼び掛け。「協定書案」を議決しようとする府市両議会に抗議と反対の意思を示す行動に取り組むことなどを提案しました。
 荒田氏は、「今必要なことは、大阪市の解体ではなく、住民の命と暮らしを守る地方自治体本来の役割を発揮し、コロナ禍で苦しむ住民に手を差し伸べること。本物の自治体として新しい大阪をつくるため、オール大阪の知恵と力を結集しよう」と語りました。
 討論では「『都』構想賛成の人との対話でも、『コロナの中で中身も説明せず、住民投票をやっていいのでしょうか』と問い掛けると、『今じゃない』という意見で一致する。協定書議決に反対する署名では、全町会長への訪問・対話、地域でのローラー作戦に取り組む」(大阪市をよくする会西淀川連絡会)などの発言がありました。

安倍政治と維新政治に対峙
「二重の逆流」打ち破る天王山のたたかい

柳利昭日本共産党府委員長が報告

「大阪は一つ」のたたかいを広げ

報告する柳府委員長=7月21日、大阪市北区内

報告する柳府委員長=7月21日、大阪市北区内

 代表者会議では日本共産党の柳利昭府委員長(明るい会代表常任幹事)が、情勢の特徴やたたかいの構えについて報告しました。
 第1に、今回の住民投票は総選挙と共に、安倍政治と維新政治という「二重の逆流」を大阪から打ち破る天王山のたたかいであり、大阪市はもちろん、衛星都市の力も総結集して「大阪は一つ」のたたかいを繰り広げ、必ず勝利しようと語りました。
 大阪市内にとっては、「大阪市民の暮らしと自治を破壊する道か、それとも市民共同の力でコロナ禍を乗り越えた新しい政治を起こす道を進むのかが問われる」と指摘。コロナ禍の下での11月の住民投票は二重三重の暴挙であると訴え、最も広い層を結集する構えで働き掛けようと語りました。
 訴えの基本として①「特別区」では住民サービスは切り捨てられるなど、市民の暮らしと自治が破壊される②今は住民投票ではなく、立場を超えてコロナ対策を③コロナ後の新しい大阪のあり方をみんなで議論するとき――の3点を示し、維新・公明・自民の支持者にも、対話や働き掛けを進めようと述べました。
 衛星都市にとって大阪市の廃止は、①府が府民福祉の向上のために衛星都市の補完する機能を後退させ、カジノや湾岸開発に府の機能を集中させる(府の役割の変質)②いったん「特別区」が設置されれば、隣接する自治体は議会の議決だけで編入される危険が生まれる③大阪市廃止は維新結成以来の野望であり、これを食い止めることは維新の政治戦略の柱を打ち破り、大阪全体で維新政治を転換する最大の突破口となる――と指摘。「この構えを明るい会の全構成員に徹底して、『大阪は一つ』のたたかいを」と訴えました。

コロナ対策での役割を確信して

 柳氏は第2に、コロナ禍の中で府民の意識に大きな変化が生まれており、明るい会とよくする会、民主勢力がコロナ対策で果たしている自らの役割と値打ちに確信を持ってたたかおうと語りました。
 府と大阪市のコロナ対策を巡って、感染が再拡大する中で、もともと不十分なPCR検査体制、科学的根拠がない「大阪モデル」の破綻、医療機関や中小事業者への持続的な支援の弱さなどがあらわになりつつあると指摘。「私たちが府民の命と暮らしを守る役割をさらに発揮し、要求を掲げて府や大阪市、政府に対策強化を迫ろう」と語りました。
 同時にコロナ危機をすべての国民が体験する中で、府民の中で「こんな政治でいいのか」という問い掛けや、安倍政治への怒り、社会のあり方そのものを問う議論が生まれ広がっていると指摘。府内で、ある教員が日本共産党の党員と議員と協力して、コロナ対策で中小企業支援を求めて行政を動かしている姿に触れ、「共産党に入って、できれば議員になって政治を変えたい」と入党した例も紹介しました。
 柳氏は「コロナ危機の対応でも、現場で直接願いに応える活動でも、民主団体と共産党のネットワークがかけがえのない役割を発揮している。ポスト・コロナの新しい大阪の展望を示す点でも、メディアが無批判につくり出した『吉村人気』などと比較にならない値打ちを持っていることを確信に、住民投票の対話に踏み出そう」と語りました。

対決構図つかみ攻勢的に奮闘を

 第3に柳氏は、困難さと同時に勝利の条件をつかんで攻勢的にたたかおうと呼び掛け。2015年の住民投票と比べ、「吉村人気」や維新の首長・議員の拡大、公明党や自民党府議団の屈服などがあると指摘。一方、維新と公明党の野合のために「協定書案」は前回以上にぼろぼろで、公明党や自民党の支持層に矛盾も生まれて、「コロナ対策より『都』構想なのか」という不安や疑問が、維新支持層や「都」構想賛成派にも広がっていると述べました。
 さらに市民と野党の共闘が前回以上に広がり、住民投票の対決構図は「維新とその野合勢力」対「市民と野党の共闘」であり、保守勢力とも広く共同を探究しようと力説。6月には平松邦夫元大阪市長ら6氏の呼び掛け人が「市民アピール」を出し、大阪の野党が初めて公式に勢ぞろいした「政策フォーラム」が開かれたことを紹介しました。
 住民投票は、野党連合政権を目指す総選挙の準備と並行したたたかいであり、「政策フォーラム」をさらに発展させることをはじめ、大阪の市民と野党の共同の姿を府民にも映すとともに、国政で安倍政権を支え、野党共闘を分断する役割を果たしている維新の正体を大いに広げたいと表明。「住民投票勝利へのたたかいを本格的に進めるため、日本共産党も全力を尽くします」と決意を語りました。

(大阪民主新報、2020年7月26日号より)

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