おおさかナウ

2020年07月06日

闘争本部アピールの意義と住民投票を巡る情勢、たたかいの方向
日本共産党府「大阪市廃止=都構想ストップ」闘争本部
大西淳子さんに聞く

 日本共産党大阪府委員会の「大阪市廃止=都構想ストップ」闘争本部は6月19日、アピールを発表しました。その意義や住民投票を巡る情勢、たたかいの方向について、闘争本部の大西淳子常任委員・自治体部長に話を聞きました。

「協定書」可決の二重の暴挙を批判

大西淳子常任委員・自治体部長

大西淳子常任委員・自治体部長

 日本共産党大阪府委員会「大阪市廃止=都構想ストップ」闘争本部は6月19日、「コロナ禍のもとでの『大阪市廃止』は許されない。大阪の力を一つに、『都構想ストップ』の審判を」のアピールを出しました。
 府委員会は立憲民主党、国民民主党、社民党の各府連、平松邦夫元大阪市長をはじめとする各界の皆さんに届け、懇談を進めています。
 「アピール」では、6月19日の「法定協議会」で維新・公明・自民党府議団多数の力で「協定書」を「可決」したことの大義のなさを明らかにするとともに、これをストップさせるための党の活動方向を示し、市民と野党の共闘の力で打ち破ろうと内外に呼び掛けました。

――アピールでは、「協定書」の可決について2つの角度から批判していますね。
 1つは、協定書の中身の問題です。「アピール」では、①「18歳までの医療費助成」「敬老パス」など、住民サービスは「維持」「向上」どころか、切り捨てに、②自治体の体をなさない「中之島合同庁舎」、③住民の声が届かない巨大な「一部事務組合」、④財源なき「財政調整」で「大阪府」の言いなりになる危険、⑤「住民サービスは基礎自治体」「成長戦略は府で」の名の下で「大阪府」が変質、の5つを挙げ、2015年版の「バージョンアップ」どころか、ボロボロになっていることを明らかにしています。
 2つ目に、コロナ禍の今、「住民投票」を強行することの無謀さです。多くの市民から、市へのパブリックコメントで批判の声が寄せられているとおり、第2波、第3波に備え、政治的立場を超えてコロナ対策に総力を挙げるべき時に、「大阪市廃止への賛否」の政争と市民分断を持ち込むことに、何の道理もありません。

判断の物差しは「吉村人気」ではない

――メディアが「吉村人気」をあおっていますが。
 メディアは「コロナ対策」での「吉村知事人気」をあおり、大阪市の松井市長は「府市一体だからうまくいっている」とうそぶきます。しかし、吉村知事の「大阪モデル」とその「見直し」を巡っては、「科学というよりも政治」「緊急事態宣言も、往来自粛も意味がなかった」など、多くの専門家からも意見が出ています。
 さらに、大阪市の市民に対する「10万円給付金」支給の異常な遅れも批判の的です。カジノ禍から命と暮らしを守り、経済を立て直す上でも、今求められているのは、これまでの府市のコロナ対策についての科学的な検証と府民的総点検です。
 4月6日の「読売」世論調査で「吉村支持77%」との見出しが打たれましたが、それとは裏腹に大阪市民の中での「都構想」への賛否は拮抗しています。とりわけ無党派層の中では「反対」が「賛成」を上回っています。「住民投票」での判断の物差しは、「吉村人気」などではありません。
 「都構想はそもそも駄目」と考える方の輪をさらに広げるとともに、「維新や吉村さんは好きだけど、大阪市をなくすのはどうか?」「『都構想』はいいかもしれないけど、コロナで大変な時に住民投票はあかんやろ」など、懐を広げ、大きく結集していくことが求められています。

「維新と野合勢力」VS「市民+野党」

――政党配置が変化し、対決構図が鮮明ですね。
 公明党が昨夏、維新に屈服したのに続き、自民党も、大阪市議団は反対を貫くものの、府議団が「法定協議会」の議決で賛成にまわりました。公明党は総選挙で「国会議員団も大阪市議団も大阪都に反対」(佐藤茂樹府本部代表)と叫び、自民党府議団もダブル選挙では「都構想に終止符」を訴えました。今回の屈服劇は支持者からの大きな批判と反発を受けざるを得ないでしょう。
 この中で、「住民投票」を巡る対決構図は「維新とその野合勢力」VS「大阪市を愛する市民+野党」のたたかいです。平松邦夫元大阪市長らの呼び掛けで大阪の全ての野党が勢ぞろいし、対等の立場で語り合う「政策フォーラム」も開催されました。無党派層の結集をどう図るかがカギとなります。

「大阪は一つ」のたたかいで

「大阪市廃止よりコロナ対策を」と訴える大阪市をよくする会平野区連絡会の街頭宣伝=6月25日、大阪市平野区内

「大阪市廃止よりコロナ対策を」と訴える大阪市をよくする会平野区連絡会の街頭宣伝=6月25日、大阪市平野区内

――たたかいの方向は
 アピールでは、①たたかいの構えをつくり、毎月の行動計画を作ろう、②宣伝、「JCP大阪」を活用し、7月前半にできる大阪の政党ポスターの貼り出し、③大中小の集いと新しい層への働き掛けを、④二重の逆流を打ち破る上でも、「特別月間」の成功を、⑤「明るい会」「大阪市をよくする会」の活動の先頭に、の5つの方向で「住民投票」に向けた活動方向を提起し、内外に示しました。
 日本共産党は、アピールに述べた通り、「医療機関と保健所体制の抜本的立て直し」「インバウンド(外国人観光客)頼みの『成長戦略』の転換」「子どもたちに『少人数学級』のプレゼントを」「そのためにも『府』も『市』も二重三重に『公』の役割発揮を」などの政策を対置し、他の野党や各界の皆さんと広く手を携えてたたかおうと呼び掛けています。
 党の真価を発揮して論戦と共同、草の根のたたかいの先頭に立ちましょう。文字通り「大阪は一つ」で維新の野望を打ち破り、総選挙勝利と共に、大阪での「二重の逆流」を打ち破ろうではありませんか。

 

(大阪民主新報、2020年7月6日号より)

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