おおさかナウ

2020年06月07日

「宣言」解除後も事態は深刻
「大阪の共産党です!」第5弾配信
自粛と一体に必要な補償を
コロナ禍から命・暮らし・営業守れ

 日本共産党府委員会は5月30日、第5弾「大阪の共産党です!」を、インターネットの動画投稿サイト「ユーチューブ」で生放送しました。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言が5月25日に全面解除された下で、感染拡大を防ぎ、府民の命と暮らし、営業、子どもたちをどう守るのか――国政や大阪の地方政治の課題について、辰巳孝太郎前参院議員(党府コロナ対策本部長)と、渡部結・党国政対策委員長の進行で、清水忠史衆院議員、宮本岳志前衆院議員が語り合いました。

「大阪の共産党です!」で語り合う(左から)辰巳、清水、宮本、渡部の各氏=5月30日、大阪市天王寺区内

「大阪の共産党です!」で語り合う(左から)辰巳、清水、宮本、渡部の各氏=5月30日、大阪市天王寺区内

世論の力で支援前進
問題点を正し拡充へ 2次補正案

PCR検査の抜本的増加を

 辰巳氏は大阪でも緊急事態宣言が解除(5月21日)されたが、いわゆる「大阪モデル」を本物にするためにも、PCR検査を抜本的に増やし、休業補償を前進させ、医療崩壊を招かないために医療体制の確立が引き続き重要で、党としても求めていきたいと切り出しました。

対象拡大進み 家賃の補助も

発言する清水氏

発言する清水氏

 国会報告で清水氏は、新型コロナ対策での第2次補正予算案(5月27日閣議決定)について、「自粛と補償は一体」の立場から国民世論と結んで実現を求めてきた支援策が前進していることを紹介しました。
 売り上げが減少した法人に最大200万円、個人事業者に最大100万円を支給する持続化給付金が、今年度開業した事業者らにも対象を拡大。1次補正に盛り込まれなかった家賃補助も実現しました。
 家賃補助は、売り上げが前年同月比で半減した事業者などを対象に家賃の3分の2を半年分助成し、上限は法人300万円(複数の店舗を持つ事業者は600万円)、個人事業者150万円(同300万円)。ところがコロナの影響が深刻化した2月からではなく、5月から12月の間となっており、清水氏は「改善を求めていく」と語りました。

大学の学費は一律半額こそ

発言する宮本氏

発言する宮本氏

 学生に対する現金給付も盛り込まれましたが、対象は1割程度。宮本氏は「学費の一律半額に踏み込み、現金給付の対象も広げるべき」と強調しました。2012年の国会論戦で、高校・大学までの段階的無償化を定めた国連人権規約の条項の留保撤回へ政府を動かしたことを紹介。「あれから8年経ったが学費は上がっている。この際、一律半額にし、コロナ後にはゼロにするというのが、国際条約に照らして当たり前の姿だ」と語りました。
 宮本氏は、第2次補正予算案で一般会計総額31兆9114億円のうち、予備費が10兆円と3分の1近くを占めている問題に言及。予備費は国会審議を経ず、政府の裁量で支出できることから、「国会無視だ」と厳しく批判しました。

広がる市町村の努力
乏しい大阪市の施策 独自支援策

個人への給付経営支援など

 辰巳氏はこの間、住民世論と日本共産党議員団の奮闘で、府内の市町村がさまざまな独自支援策を打ち出していることを詳しく説明しました。ひとり親世帯への個人給付(豊中市など)、大学生などを対象に会計年度任用職員を募集(東大阪市)、高校生のいる世帯にコメ10㌔㌘(高槻市)、教員OBによる学習支援(千早赤阪村)などです。
 寝屋川市は府の支援金とは別に経営支援を実施。府の休業要請対象の事業者には、売り上げが前年同月比で20%以上50%未満減少した中小企業に50万円、個人事業主に25万円(要請対象外はその半分)を給付していることを紹介しました。(4面で「府内市町村の主なコロナ関連支援策」を掲載)
 清水氏は第2次補正予算案で「地方創生交付金」は1次補正の1兆円に2兆円を積み増していると指摘。「柔軟に活用できる財源なので、地域の実情に応じた独自施策の実現を各自治体へ働き掛けてほしい」と語りました。

巨額の基金を今こそ活用を

 視聴者から寄せられた「大阪市のコロナ対策予算はどうなっているのか」との質問に、辰巳氏は「大阪市にはお金がないと思っている人もいますが、お金はあります」。災害時などに使うための財政調整基金の残高(18年度決算)で大阪市は約1600億円と、全国20政令市の中で格段に多く、市民1人当たり5万9千円と政令市中最高だと指摘(グラフ)。現在は少し減っていますが1千億円以上ある中で、「今こそ使うべき」と強調しました。
 清水氏は「『都』構想の狙いは、大阪市の権限・財源を使って巨大インフラを進めること。そのために、コロナ支援にもできるだけお金を出さないようにしているのが実態。許せない」と批判。辰巳氏は大阪市を廃止して設置する「特別区」の制度案の収支試算は「コロナ以前」のものだとし、「これで住民投票をやろうというのは詐欺的だ」と述べ、宮本氏もコロナ対策で党派の違いを超えて力を合わせるべき時に、市民を分断する住民投票はやめるべきだと語りました。48445

世論と野党の論戦が政治動かす

怒りを背景に支持率が急落

 安倍内閣の支持率は、「毎日」(5月24日付)で27%、「朝日」(同月25日付)で29%と急落しています。その背景について清水忠史衆院議員は、新型コロナ対策の遅れへの国民の怒りと共に、検察庁法改定案での安倍政権の政治手法への抗議があったと指摘。「#検察庁法改定に抗議します」と1千万人近い人がツイッターで発信し、著名人や芸能人も声を挙げるなど、国民の世論と結んで野党が国会で奮闘したことが大きな力になったと述べました。
 さらに東京高検の黒川弘務検事長が、緊急事態宣言下で賭けマージャンをしていたことが発覚し、辞任に追い込まれた挙句、「訓告処分」となり、責任の所在もはっきりしていないことに、国民的な批判が起きていると語りました。
 宮本岳志前衆院議員と共に森友疑惑を追及してきた辰巳孝太郎前参院議員。公文書改ざんを巡る財務省の報告書を、刑事告発された佐川宣寿・財務相理財局長(当時)らが不起訴になった後に公表するよう、官邸が法務事務次官だった黒川氏(同)を通して検察に「巻き」を入れていることを示す内部文書を暴露したと指摘。「その人物を検事総長にしようという政権・官邸のたくらみがくじかれた歴史的なたたかいだ」と話しました。
 清水氏は、付帯決議を付けて改定法案に賛成しようとしていた維新が、いかに安倍政権の補完勢力であるかが浮き彫りになったと指摘。宮本氏は、黒川氏は辞任したが、定年延長の閣議決定は残っており、改定法案も完全に廃案になっていない中で、「きっぱり撤回させるためにたたかう必要がある」と語りました。

個人の権利を侵害する法律

 5月27日の参院本会議で、スーパーシティ法(改定国家戦略特区法)が自民、公明、維新の賛成多数で可決・成立しました。衆院で反対の論陣を張ってきた清水氏は、同法について、遠隔医療やキャッシュレス決済、ドローン配送、自動運転など最新技術を使った「未来都市」をつくるというが、個人情報が集められ、個人の権利を侵害する監視社会となる危険があり、住民合意や個人情報保護が担保されおらず、認められないと指摘しました。
 大阪湾の埋め立て地・夢洲で開く2025年の万博会場の跡地に、このスーパーシティをつくりたいと大阪が立候補していることを示し、「引き続き厳しく取り上げていきたい」と語りました。
 個人情報の問題をめぐり、宮本氏は参院議員時代(2003年)に、サラ金大手の武富士に警察から個人の犯罪歴データなどが流れるなど、武富士と警察の癒着を体を張って追及し、武富士の会長逮捕につながったことを紹介。当時、武富士の顧問弁護士だったのが、現府知事の吉村洋文氏だと語りました。

 

(大阪民主新報、2020年6月7日号より)

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