おおさかナウ

2020年05月31日

大阪市議会 日本共産党議員の質問

市財政への影響は深刻 巨大開発は見直しこそ
財政総務委で山中議員 山中智子議員

15大阪市会_城東区_山中智子 21日開かれた財政総務委員会で山中智子議員は、新型コロナの感染拡大が大阪市の財政運営に与える影響を質問したのに対し、財政局は「深刻な影響が生じることは確実」と答えました。
 山中氏は「緊急事態宣言が解除されても、(コロナ危機の)収束にはほど遠い」と強調。ワクチンの開発の見通しが立ったわけではなく、医療現場からは悲鳴が上がり、医療環境の整備も途上だとし、これまで削ってきた公衆衛生や医療の機能を再構築するために、大阪市の総力を挙げて取り組むことが求められると力説しました。
 またコロナ危機の中で、休業要請に従わないパチンコ店へ都道府県をまたいで客が集中するなど、ギャンブル依存症の深刻さも浮き彫りになっていると指摘。「大阪市が『決めたことをやっていく』というのでは、市民に責任が果たせない」と訴えました。
 財政局は、事態の収束が見通せない現時点でも、企業収益の悪化や個人所得の減少で市税が大きく減少する一方、生活保護をはじめ社会保障関係費が増大すると説明しました。市政運営の基幹収入である市税は、経済対策の効果が表れて税収として回復するには相当な時間が必要で、「財政運営は当面、非常に厳しいものとなる」と答弁。向こう10年間の財政収支試算(粗い試算)の更新時期について見通すことも難しいとしました。
 山中氏は、財政収支すら見通せない中では、なにわ筋線や淀川左岸線などの巨大開発や、万博・カジノなどはただちに見直すべきだと主張。「大阪市廃止の作業を進めるなど、とんでもないことだ」と断じました。

市立大学生の声を聞き 苦境に寄り添う対応を
都市経済委で井上議員 井上浩議員

19大阪市会、住吉区_井上ひろし 19日開かれた都市経済委員会で井上浩議員は、新型コロナによるアルバイト収入の減少が、高すぎる大学の学費に苦しむ学生に追い打ちをかけている中、大阪市立大学の授業料(年53万5800円)を一律半額免除にするなど緊急の対応を求めました。
 井上氏は、学費の減額や返還を求める声が日本でも世界でも広がっており、市立大学の授業料を一律半額免除するために必要な費用は約16億円だと指摘。新型コロナ対策で小中学校の給食無償化を盛り込み、財政調整基金を活用したことも示し、「支援に踏み切るべきだ」と迫りました。
 大阪市大では、アルバイト収入の減少などによる生活が苦しくなった学生への給付金制度(1人当たり上限5万円)を始めたが、全学生約8千人のうち対象となっているのは約2千人と、4分の1にすぎないことから、複雑な給付基準を見直すよう提案。「学生の苦境をよく調査し、寄り添った対応を」と述べました。
 井上氏は、新型コロナ禍でカジノ事業者の業績が悪化していると指摘。大阪湾の埋め立て地・夢洲での統合型リゾート(IR)事業に応募している米国のMGMリゾーツも減収の中、不動産取引で稼いでおり、4月の売上高はほぼゼロで、ラスベガスでの営業再開のめどは立っていないとし、「金融市場に足場を置く事業者に地域経済の命運を託していいのか」と厳しく指摘しました。
 また井上氏は、芸術・文化関係者がイベントや公演中止で窮地に立たされていると強調。緊急事態宣言が解除されても活動再開は容易ではない中で、市として支援を強化するよう訴えました。

市民病院の機能強化を 再編計画は見直すべき
民生保健委で寺戸議員 寺戸月美議員

15大阪市会_淀川区_てらど月美 19日開かれた民生保健委員会で寺戸月美議員は、中等症の新型コロナ患者を受け入れることになった十三市民病院(淀川区)の体制強化について質問しました。
 十三市民病院に隣接する町会役員から「コロナ専門の病院になったことは理解できるが、院内感染や地域住民への感染には十分な対応をしてほしい」との声が寄せられていると紹介。患者の受け入れに必要な専門的な体制や、入院患者が重篤な状況になった場合の対応についてただしました。
 健康局は、市大医学部から専門医の派遣を受けていることや、入院患者の状態が急変した場合はICUなど必要な機能を持つ病院に転院してもらうなどの対応をとっていると説明しました。
 寺戸氏は、患者の受け入れには動線の確保や病室への感染防止策など、さまざまな改修や備品の整備も必要だと指摘。「市民病院は市民の命、健康を守る最後のとりでだ」と力説し、必要な支援を求めました。
 寺戸氏は「十三市民病院をコロナ専門病院にするという決断からも、公立病院の果たす役割は大変大きい」とし、住吉市民病院の復活など公立病院を増やすことや、再編計画の見直しを要望。24区にあった保健所の1カ所への統合、市立環境科学研究所の統合・独法化など、「人減らしや再編がいまの状況を招いている」とし、元の体制に戻すべきと主張しました。
 新型コロナの緊急経済対策に盛り込まれた、収入が減少した世帯への国民健康保険料(国保料)の減免を、市でもスムーズに行うよう要望。今年度の4・2%の保険料値上げは撤回を含めて検討するよう求めました。

なぜいま学校統廃合か 新常識で見直すべきだ
教育こども委で長岡議員 長岡ゆりこ議員

19大阪市会、東淀川区_長岡ゆりこ 20日開かれた教育こども委員会で長岡ゆりこ議員は、小学校と高校の統廃合条例案などについて質問しました。条例案は2021年4月に生野区の御幸森、中川両小学校を統合して大池小学校を、西成区の梅南津守小学校と松之宮小学校を統合してまつば小学校を設置。22年4月に中央区の南高校と西区の西高校を統合して北区に桜和高校を設置するものです。
 長岡氏は、新型コロナ危機の中で「3密」を避けるなど「新しい生活様式」が求められ、学校のあり方も議論になる中で、「なぜいま統廃合化なのか」と指摘。新型コロナで学校現場が混乱し、子どもたちが不安を抱え、心が傷付いている中、小学校で来年度に統廃合を行うなら、教職員や子どもたち、保護者にさらに負担にかけることになると述べました。
 市教委は、統合後に一緒に学ぶことになる両小学校の児童の交流事業などで不安を解消するなどと答弁しました。長岡氏は、「いま目の前にいる子どもたちへのケアが最優先。学校同士の交流事業などは、今年度は控えなければならない」と反論。「コロナ禍の下で学校再編を進めるのではなく、アフターコロナの新常識で再検討することが必要だ」と力説しました。
 赤ちゃんを育てている母親や、高校生がいるシングルマザーらから、切実な相談をたくさん受けていることを紹介。1千億円以上残っている財政調整基金を使い、市独自に困っている市民にすぐ役立つ助成を行う必要があるとし、「市民の税金で積み立ててきた基金を今こそ還元すべき。政令市の強みを生かし、スピーディーな施策の実行を」と強く求めました。

(大阪民主新報、2020年5月31日号より)

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