政策・提言・声明

2019年09月04日

大阪府大・市大の「統合」
避けられぬ矛盾 大学改革は議論と合意で

 大阪府と大阪市、堺市で構成される副首都推進本部会議(本部長・吉村洋文府知事)が8月27日に開催され、今年4月に府大と市大の法人が統合して発足した公立大学法人大阪が、2022年4月の開学に向けた「新大学基本構想」を提出しました。

 今後、「基本構想」は府と大阪市、大学法人の3者で精査し、成案化にむけて検討を進めるとしています。府市は来年2月の両議会に大学統合関連議案を提出する予定です。

 「基本構想」は、全学の基幹教育(共通教育)を企画運営するための基幹教育機構を設置。現在の府大4学域7研究科と市大8学部10研究科を、1学域11学部15研究科とし、規模は現状と同規模(学生数約16000人、教員数約1400人)としています。キャンパスは現在の中百舌鳥(府大)、杉本(市大)などに加え、基幹教育や人文系などをおく森之宮をメインキャンパスとし、第1期(25年度)の事業規模は約1000億円、財源はキャンパス一部売却などとしています。

 この会議で府・市特別顧問の上山信一氏は「選択と集中を忘れない、外部機関との連携を前提とする」意見を提出し、「今回の構想には、ここ(統廃合)が見えない」と大学リストラ促進を大学法人に強く迫りました。同氏の意見に対し吉村知事は「足し算だけでなく引き算が大事」と呼応しました。

 維新政治が押し付ける府大・市大「統合」計画は、財界の要求にこたえて安倍政権が進める新自由主義的「大学改革」の具体化です。府民・大学関係者との矛盾は避けられません。

 同計画は①憲法が保障する学問の自由・大学の自治を蹂躙(じゅうりん)し、両大学の内発的要求がない「統合」の強権的な押し付け②大学のあり方として「新機能」「戦略領域」を掲げて教育研究に介入③「選択と集中」による大学リストラ狙い④運営費交付金の減額で「統合」の財政的保障がない、などの問題点があります。

 こうした問題点をもつ「統合」計画を中止し、大学改革は大学関係者の議論と合意で進めるべきです。いま必要なのは、府民・市民と大学関係者の要求にこたえ、学費負担の軽減や大学運営費交付金の増額など教育研究条件の改善をはかることです。

(小林裕和・日本共産党大阪府委員会学術文化委員会責任者)

(「しんぶん赤旗」2019年9月4日付)

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