政策・提言・声明

2018年06月07日

教育ゆがめる 大阪府チャレンジテスト
 一刻も早く廃止・撤回を

 大阪府内の公立中学3年生を対象とする府独自の学力調査(チャレンジテスト)が20日に実施されます。国語、社会、数学、理科、英語の5教科です。

 維新政治のもと府教育委員会は、テスト結果を公立高校入試の内申点に反映させる方針を変えていません。全国的にも異例です。

 中学3年生はテスト結果で、学校ごとの内申点の平均が決められます。さらに、5教科のテスト結果が、それ以外の音楽、美術、保健体育、技術・家庭の4教科の内申点にも反映される仕組みです。

 今年1月に実施された中学1・2年生のチャレンジテストは、テスト結果が生徒一人ひとりの内申点に反映されます。そのため、学校がつけた内申点が、テスト結果により年間のべ2万人(2015年度)を超える規模で変更させられたことが明らかになりました。生徒や保護者のあいだで不安が広がっています。

 学校では過去問題を配布するなどテスト対策が過熱し、子どもに競争を迫り、中学校教育をゆがめています。テストの実施が教員の業務負担を増やし、多忙化に拍車をかける一つの要因ともなっています。

 チャレンジテストは府教育委員会が実施する行政調査です。行政調査としての学力テストは、その結果を子どもの成績評価に用いることはできません(最高裁学力テスト問題判決、1976年5月)。全国学力テストを実施している文部科学省も、その実施要領で「調査結果を直接又は間接に入学者選抜に関して用いることはできない」と指摘しています。

 教職員組合や労働組合、法律関係者などでつくる、子どもと教育・文化を守る大阪府民会議は、子どもを過度な競争にさらし、中学校教育や高校入試を大きくゆがめるチャレンジテストを一刻も早く廃止・撤回に追い込むために、新しい個人署名など運動をさらに広げるとしています。

 子どもの成長を脅かし、学校教育をゆがめるチャレンジテストを廃止するとともに、大阪の教育に過度の競争と強制を持ち込む維新政治の転換にむけた府民・市民共同を広げることが求められます。

 (小林裕和・日本共産党大阪府委員会文教委員会責任者)

(「しんぶん赤旗」2018年6月6日付)

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