政策・提言・声明

2018年01月09日

チャレンジテスト廃止急げ
大阪の中1・2年 競争激化
11日実施 教育ゆがめる維新

 大阪府内の公立中学1・2年生を対象とする府独自の学力調査(「チャレンジテスト」)が11日に実施されます。1年生は国語、数学、英語の3教科、2年生はこれに社会、理科を加えた5教科です。3年生対象の学力調査は昨年6月に実施されました。

 維新府政のもと府教育委員会は、これらの調査結果を公立高校入試の内申点に反映させる、全国的にも異例の方針を変えていません。

不安感じ欠席

 中3の「チャレンジテスト」は、学校ごとの各教科の平均点が内申点に反映されるのに対し、中1・中2のテストは、子ども一人ひとりの成績が、一人ひとりの内申点に反映される仕組みです。テスト結果にもとづく評定が、2学期までの学校の評定と違っていれば、テスト結果にもとづく評定が優先されます。そのため、一昨年はテスト結果で評定が変えさせられた事例が、府内各地で1万件を超えるとされました。昨年は、テスト結果が良くない場合、2学期までの評定が下がる可能性があると不安を感じた生徒が、テスト当日欠席することがありました。

 もともと内申点は、子どもの日常的な学習活動やノート・作品などの提出物、定期テストの結果などを総合的に評価して学校が自主的につけるものです。一回のテストではかれるものではありません。

 教育条件整え

 「チャレンジテスト」は、あくまで府教育委員会が実施する行政調査で、学校が実施する教育活動としてのテストとは趣旨と性格が異なり、区別される必要があります。そのため、調査結果を内申点という子どもの成績評価に使用させることは違法となります(最高裁学力テスト問題判決、1976年5月21日)。全国学力調査を実施している文部科学省も、その結果を「直接又は間接に入学者選抜に関して用いることはできない」としています。学力調査結果を高校入試の内申点に反映させることはやめるべきです。

 教育をゆがめ、子どもと学校を過度の競争に追い立てる「チャレンジテスト」は廃止することが求められます。府の教育行政がやるべきは、子どもと保護者、府民の教育要求に応えて、全国的にも遅れている35人学級を小・中学校全学年に広げることなど教育条件を整備・拡充することです。

(小林裕和・党大阪府委員会文教責任者)
(「しんぶん赤旗」2018年1月6日付)

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