政策・提言・声明

2016年11月25日

「夢洲・カジノ万博」の誘致に反対する
――日本共産党大阪府委員会の見解

2016年11月24日 日本共産党大阪府委員会

 

  「維新」の松井一郎知事らが旗を振り、2025年に「夢洲」に「万博」を誘致しようとする大阪府議会・市議会の決議案に、日本共産党議員団は反対の態度をとりました。

 日本共産党は「万国博覧会」がもつ「産業や技術の進歩・展望」を示し、広く教育的に広げようという理念そのものに反対しているわけではありません。しかし、松井知事らがすすめる「夢洲万博」には、次の3つの大問題があります。

カジノ万博はとんでもない

 その第1は、松井知事らが「万博」とともに「IR=カジノ」をセットで「夢洲」に誘致し、これを大阪の「成長戦略」の「切り札」にしようとしていることです。

 カジノは刑法で禁じられる賭博です。また「成長戦略」どころか、ギャンブルが何の財を生み出すものでないことは明瞭です。それがもたらすものはギャンブル依存症の拡大、不法集団の暗躍、まともな産業・経済の衰退などであり、「人類の進歩・展望」とも、松井知事らがかかげる「健康・長寿」のテーマともあいいれないものです。

 「読売」世論調査(11月16日付)でも、「万博会場の予定地の近くに、カジノを含む統合型リゾートを誘致する」ことへの賛否を問うと、「反対」が過半数の52%で、「賛成」を20ポイント近く上回っています。それもあり、「万博」開催そのものにも「反対」と「答えない」が4割を占めており、「府民合意」からは遠い現状にあります。

夢洲開発万博――いつか来た破たんへの道

 第2は、「万博」を大阪湾の埋め立て途中の人工島・「夢洲」で開催することによって、この地で破たんした巨大開発をまたぞろもくろんでいることです。

 大阪湾の「夢洲」「咲州」「舞洲」でのゼネコン浪費型巨大開発事業など、関西財界を先頭にしてすすめてきた「大阪湾ベイエリア開発計画」は、この間大きな破たんをきたしました。かつてこれらを推進してきた諸勢力も、その「政策の失敗」を認めています。「府庁移転」を叫んだ橋下徹知事(当時)が旧WTCを購入し、「咲州開発」の「起爆剤」にしようとしましたが、東日本大震災をとおし、このビルが防災拠点として耐えられないことが明らかになり、「二重府庁舎」の重しとなったままです。

 松井知事らは、「万博誘致」を呼び水に、こうした破たんずみの巨大開発を再び叫んでいます。しかし、この間の「大阪湾ベイエリア開発計画」破たんの真剣な検証と総括なしに、過大見積もりを重ねても、それはいつか来た破たんの道の二の舞になるだけです。

 まして近い将来「南海トラフ地震」は確実と叫ばれているもとで、大地震・大津波に耐えられない夢洲に半年にわたって人を集中させようという計画はあまりにも無謀といわなくてはなりません。

府民負担万博への懸念

 第3は、「夢洲万博」が巨大な財政負担を大阪府と大阪市、府民に強いることへの懸念です。

 大阪府の基本構想案によれば、「会場建設費は1200億円~1300億円」「運営費は690億円~740億円」などとし、会場建設費は国と自治体、関西財界が3分の1ずつ負担するといいます。これ以外に万博会場に不可欠な用地や鉄道等を整備する関連事業費が730億円とされています。これらは大阪府・市にとって巨額の負担となります。加えて、入場料収入を「3000万人」と見込むなど、現実に可能な積算根拠は明瞭にされておらず、東京オリンピック同様に、事業計画を明らかにするごとに膨れ上がる懸念があります。また建設費の負担について、民間企業で支出に前向きなのは18%(大阪府アンケート)となっており、ツケが大阪府・市、府民・市民に回される危険もはらみます。

「万博・カジノ」を「改憲」への取引に使うことは許されない

 加えて、「維新」が安倍政権にたいして、「万博・カジノ」への後押しと引き換えに、国会運営への協力と「改憲」へのタッグを組む姿勢を示していることはゆるがせにできません。「維新」幹部みずから、「官邸は大阪でのIR(カジノを含む統合型リゾート)も大阪万博も実現するつもりだ。憲法改正で協力してくれというメッセージだ」と語っています(「毎日」)。

 「万博」の理念などそっちのけで、「政争の具」にしようとすることは到底許されません。

 「夢洲・カジノ万博」誘致について、府民合意はありません。政府はこのまま国際万博協会に立候補表明してはならず、大阪府・市は「誘致」を白紙に戻し、再検討すべきです。

以上

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