政策・提言・声明

2025年11月10日

新たな府立高校統廃合計画と門真西、懐風館高校の
募集停止は中止し、 30人学級はじめ
高校教育の充実こそ

2025年11月10日 日本共産党大阪府委員会

 府教育委員会は本日10日、新たに府立門真西高校(門真市)と懐風館高校(羽曳野市)の生徒募集停止を2027年度から行うとともに、今後15年間でさらに府立高校を32校減らす新計画(「府立高校改革アクションプラン」)を決めました。

 日本共産党は、この決定に強く抗議し、中止を求めます。

 これまでに維新府政は、“3年連続定員割れの高校は再編整備の対象”とする「府立学校条例」を制定し、10年間で21校(※)におよぶ高校を募集停止・廃校(予定含む)にしてきました。このなかには、創立100周年を超える伝統校や、近年の統廃合で創立された新設校も含まれています。これらは、子どもの高校で学ぶ権利を奪うもので許されません。

 日本共産党は、維新府政による府立高校統廃合を許さず、30人学級の実現をはじめ高校の教育条件の拡充へ、府民的共同を呼びかけます。

 

 維新府政の府立高校統廃合には次のような三つの問題点があります。

“自転車で通える”近くの高校がなくなる

 第一に、“自転車で通える”近くの高校がなくなります。

 「近くの高校に通いたい・通わせたい」という子どもや保護者の声は少なくありません。遠い高校に通うには通学費用と時間がかかり、経済的に困難な家庭にとっては、高校入学の選択肢が狭められます。

 学校は地域コミュニティーの維持・発展にとっても欠かせません。 さらに防災拠点としての役割も果たしています。

 今回、募集停止される懐風館高校がなくなると羽曳野市では高校がゼロになります。門真西高校がなくなると門真市では高校が一校になります。公立高校が一校もない、あっても一校しかない市区町村がさらに増えます。

 もともと戦後、憲法と教育基本法にもとづく教育改革で、新たな高校制度の理念としてうたわれた「高校3原則」の一つに「小学区制」がありました。これは地域に根ざした学校、地域で子どもを育てるという考えです。地域に府立高校を残し、充実させることが求められます。

道理のない「定員割れ」が理由

 第二に、「定員割れ」を理由にした高校つぶしに道理はありません。「定員割れ」で募集停止・廃校とする、府立高校の淘汰の仕組みを条例化しているのは大阪府のみです。

 大阪府はこの間、「就学セーフティネット」として、子どもの高校進学を保障する観点から、公立と私立高校を合わせた生徒募集人数を進学予定者数より多くし、定員にゆとりをもってきました(2025年度入試は4102人)。もともと募集定員に対して志願者が足りない仕組みになっているため、「定員割れ」が起こるのは当然です。「定員割れ」を理由に府立高校をなくせば、「セーフティネット」そのものがなくなります。

“生徒獲得競争”で高校教育をゆがめる

 第三に、高校間の“生徒獲得競争”で高校教育をゆがめます。

 “3年連続定員割れの高校は再編整備の対象”という機械的な規定により、生徒を集められるかどうかで府立高校が評価され、存続の可否が問われます。そのため、“生徒を集めるための「学校改革」”が強いられます。

 私立高校ではいま、私学助成が生徒数に応じて優先配分されるという、競争的な制度のもとで生徒集めを強いられ、教育条件の低下が心配されています。

 

 日本共産党は、すべての希望する子どもに高校教育を保障するために、次のような教育政策を提案し、その実現に向けて奮闘します。

府立高校統廃合を中止し、高校30人学級を実現します

 府立高校統廃合を中止し、「府立学校条例」にある“3年連続定員割れの高校は再編整備の対象”条項をなくします。今後15年で32校減らす新たな計画を撤回します。この計画は、高校40人学級・1学年7学級を前提としており、30人学級にすれば、現在の高校数が必要です。少人数学級は一人ひとりの子どもに教師の目がゆきとどき、子どもの成長にとってプラスです。生徒数が減少する時期に、いまの教育予算を大幅に増やすことなく教育条件を改善することができます。

府立高校の施設・設備を抜本的に改善します

 子どもが一日の多くの時間を過ごす学校で、学びやすく、活動しやすい環境をつくることが大切です。府立高校の現状を調査し、老朽化した校舎の改築・修理、設備の更新、トイレの改修など、教育予算の増額で、抜本的な改善をはかります。

 「学校改革」や「入試改革」は、子どもの成長・発達に資するかという視点から、子どもの意見に耳を傾け、学校関係者の議論と合意で行われることが大切です。

 

 日本共産党は、府民・教育関係者のみなさんと力を合わせて、教育施策の向上に力を尽くすとともに、教育を壊す政治を転換し、一人ひとりの子どもの成長・発達を保障する教育を実現するために奮闘します。

 

(※) 維新府政のもとで募集停止・廃校(予定含む)とされた公立高校

( )内の数字は募集停止開始年度

池田北・咲洲(2016)、西淀川(2017)、大正(2018)、柏原東・長野北(2019)、勝山(2020)、南・西(2022)、島本・茨田・泉鳥取(2023)、平野・かわち野・美原(2024)、西野田工科・布施工科・生野工業(2025)、大正白稜・福泉(2026)、泉尾工業(2028)の各高校。

以上

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