大阪・関西万博の閉幕にあたって
10月14日 日本共産党大阪府委員会
1、10月13日、大阪・関西万博は、数々の問題を抱えつつ、多くの人々の努力によって支えられ閉幕しました。運営スタッフやボランティアのみなさんが現場で汗を流し、来場した多くの人たちの交流が広がる機会となりました。
その一方で、今回の万博がカジノ誘致を目的に人工島の夢洲で開催されたことにより、環境への負荷や安全性への懸念、費用の増大、情報公開の不十分さといった課題が次々と明らかになりました。
こうした様々な矛盾の根源は、維新の会の松井一郎元知事らが、夢洲を開催地にしたことにこそあります。わずか半年間しか開催しない万博のために、土壌改良工事やインフラ整備、地下鉄の延伸など巨額の税金を投入した背景には、 カジノ・賭博場を含む大阪IRをつくることが主な目的であったことは明瞭です。
カジノをテコにしたこれ以上の夢洲開発はきっぱり中止することを求めます。
2、ごみ最終処分場である夢洲を会場にしたことで爆発する濃度のメタンガスが開幕直前の会場内で検知されましたが、安全性を蔑ろにして予定通り開催を強行しました。大量のユスリカの発生、レジオネラ属菌検出をめぐる公表の遅れ、ヒアリやセアカゴケグモなど猛毒の昆虫の生息も夢洲で確認されました。
学校招待事業を辞退する自治体や学校が続出し、保護者と子ども、学校側との間に分断をもたらしたことも不幸なことでした。
アクセスが限られていたことから、大阪メトロ中央線の運行停止により、3万人超の来場者が会場内に足止めされ、帰宅できずに取り残される人がうまれる深刻な事態も起こりました。
熱中症による来場者の搬送も含め、私たちが指摘してきた懸念材料が次々と現実のものとなるなか、大地震や大型台風の直撃による大災害が発生しなかったことは不幸中の幸いでした。
3、来場者数は想定の2,820万人に届かず、全体の12%と想定されていた外国人来場者も6%にとどまり、結局は国内向けのイベントという要素が浮き彫りとなりました。
今年4月から9月の関西における倒産件数は1,298件と12年ぶりの高水準となりました。
関西経済白書を見ても今年度の経済成長率が落ち込む見通しとなっており、万博による経済波及効果は極めて乏しいものとなりました。
吉村洋文知事は運営費が黒字になったと胸を張りましたが、警備費や発展途上国支援金を運営費から除外し、国費としたことを忘れてはいけません。そもそも会場建設費は当初予算の2倍となり、実際の収支は大赤字です。莫大な税金が投入されてきたのです。
重大なことは、海外パビリオンの建設に携わった建設業者に対する工事代金が未払いになるという前代未聞の問題が発生していることです。
万博成功のために努力した事業者への救済を放置してはなりません。万博協会の管理責任が問われる問題であり、建設業法の許可行政庁である国土交通省と大阪府の責任は重大であり、一刻も早く解決に向けて手立てを取るべきです。
4、これまでの万博の崇高な理念である「人類の進歩と調和」、「公衆の教育」などに照らしても、これだけ様々な問題を引き起こした大阪・関西万博を、決して「楽しかった」というだけで終わらせてはいけません。
日本共産党は、残された問題点の解決を目指しつつ、夢洲でのカジノ建設を阻止するために奮闘する決意です。