政策・提言・声明

2012年02月28日

8問8答:「教育基本条例案」なんでダメなの? 条例案の問題点・維新の会の狙い・突破口は?

 府議会・大阪市議会で一大焦点になる「教育基本条例案」。橋下「維新の会」の狙い、問題点、どうすれば打ち破れるかを問答でみてみました。

Q1 なぜ、橋下さんは大阪の教育を変えたがっている?
A1 「橋下・維新」の意のままになる教育体制づくりを狙う

 「教育基本条例案」の一番の問題は、「教育には政治介入してはならない」という大原則を投げ捨て、「知事や大阪市長が教育目標を決める」としていること。そして、意に沿わない教育委員や教職員の首切りを自由にできる体制にしようとしていることです。
 橋下氏や「大阪維新の会」は、「大阪都」構想を掲げ、大阪の行政も「一人の指揮官」で何でもできる体制を狙っていますが、「教育基本条例案」「職員基本条例案」はこれとセットで、教育も、職員も牛耳ろうとするものです。もっとも早くから具体的な形をとり、成立をはかろうとしていますが、それだけに府民の批判、世論も大きく、彼らにとってもっとも障害が大きいものにもなっています。

Q2 全国から批判の声があるってどういうこと?
A2 竹下景子さん、山田洋次さんらも反対の声をあげています

 前日本教育学会会長で東大教授の佐藤学さん、小森陽一さん、女優の竹下景子さん、教育評論家の尾木ママ(尾木直樹さん)らが呼び掛け、「大阪の教育基本条例案に反対します」アピールを発表し、作家の高村薫さん、俳優の杉良太郎さん、映画監督の山田洋次さんら各界の著名人から賛同が寄せられています。
 ここでは、条例案が「大阪にとどまらず、日本社会全体にとって見過ごせない」、学校教育を知事の直接的な支配下に置こうとするのは、「教育の力を萎えさせ子どもたちから伸びやかな成長を奪う」。さらに選挙に勝ったからすべて白紙委任されたように振る舞うことは、「ファシズムの独裁政治を想起せざるをえません」と厳しく批判しています。

Q3 政府はなぜ「法律違反」と指摘?
A3 首長が「教育目標」を決めるのは憲法の精神に反します

 政府は昨年12月16日、大阪の教育基本条例案について、“知事や市長が教育目標を設定することについて、教育委員会の権限に属することで、首長の権限ではない”、これは「法律違反」だとはっきり述べました。みんなの党の渡辺代表から出された質問趣意書への答弁書で、これは閣議決定です。
 大本にあるのは憲法です。教育は知事のためではなく、子どもたちのためのものです。教育はひたすら主権者としての「人格の完成」を目指して行われるべきであって、大阪や日本の未来は、そういう教育によって立派に成長した未来の世代に委ねる――これが憲法で定めた国民主権の教育の大原則です。教育基本条例案はこれに背くものです。

Q4 子どもの学力を上げるのは当然なのに、なぜ反対?
A4 子どもたちを異常な競争教育に駆り立てる

 どの子にも行き届いた教育は、保護者の共通の切実な願いです。「30人学級」などを実現して、先生も増やし、一人一人に即した教育をする。「子どもの貧困」で学力を伸ばせないなどの事態の解決が大事です。
 ところが、教育基本条例案は「国際競争力を担う人材づくり」が目標です。そのために「学力テスト」づけにして、その結果は学校別に発表する。「学区制」もはずして、すべての学校のランクづけも行い、下位校は切り捨てる。教職員もこうした物差しでランクづけ――こうなれば、国連から何度も、“日本の子どもたちは過度の競争でストレスにさらされている”と指摘されているのに、さらに異常な競争教育に駆り立てられます。

Q5 問題がある教師を首にするのはいいことでは?
A5 教職員を5段階でランクづけにして、がんじがらめに

 本当に子どもたちのためにならない教職員への対応は、すでにルールができています。ところが橋下氏らの「教育基本条例案」は、先生たちを「相対評価」で5%――みんな頑張っていても20人に1人には無理矢理「D」ランクをつける。物差しは、上からくる教育目標です。また職務命令に3回違反したら免職する規定も盛り込んでいます。
 こうなれば子どもの顔ではなく、上の顔色をうかがい、その命令に忠実な先生だけが評価され、意に沿わない先生は首にされます。被害を受けるのは子どもたちです。
 最高裁は、東京で「君が代」に不起立だった先生に「減給」「停職」を課したのは行き過ぎだと、憲法の精神で取り消しを命じました。「教育基本条例案」は撤回すべきです。

Q6 学校を良くする条例ではないの?
A6 教育条件整備はうたわず、定員割れの高校は廃校へ

 大阪は非正規の労働者が45%、生活保護世帯も全国最多となっており、子どもと教育をめぐる問題でも、困難が増えています。それなのに大阪府の教育予算は年々低下。1人当たりの教育費は47都道府県中42位、教員1人当たりの児童生徒数は小学校で44位とお粗末な水準にとどまっています。
 ところが、「教育基本条例案」には、学校を良くするために「教育条件を整備する」という項目がどこにもありません。熱心なのは「知事や市長が教育目標を決める」ことや教職員の5%に「D」ランクをつけ、首切りも自由にすることなどだけです。しかも、定員割れが続けば、学校を統廃合するなどとうたい、教育条件整備にはまっこうから逆行します。

Q7日本共産党や各政党の態度は?
A7憲法に照らしてきっぱり反対。各派共同の論陣も進む

 日本共産党は昨秋のダブル選挙でも、教育基本条例案は憲法を踏みにじるものであり、橋下「維新の会」が狙う“独裁3点セット”の中心だと痛烈に批判しました。
 ダブル選後、共産党以外の党は中央レベルで橋下市長にすり寄り、公明党は「橋下人事」と「大阪都」に賛成などと表明し、批判を浴びています。しかし、公明党も他の案件では「是々非々」と言い、堺市議会では、自民、公明、ソレイユ堺(民主系)もこぞって反対し、「維新案」を否決しました。その討論では、「首長が教育目標」「罷免権」などの項目は「法律違反」であり、「内容のみならず、枠組みそのものが教育基本法や諸法規の精神に反するものであり、到底是認できるものではありません」と述べています。

Q8条例案をストップさせるためには何が必要?
A8府民の世論をさらに大きく、議会各会派を動かして

 大阪市長選では平松氏の得票が52万(41%)に達しました。教育基本条例案批判を含む「反独裁」の「民意」は明瞭です。
 元関電副社長が委員長を務める堺市の教育委員会が「府の教育基本条例案は是認できない」と声明を出し、高槻市議会では党派を超えて、「教育基本条例案反対」の意見書が採択されました。吹田市などでは教組の垣根も超え、共同アピールが広がっています。
 全国の各界からのアピールも力に、府民に教育基本条例案の怖い中身と批判の広がりを伝え、宣伝と対話・署名を広げるとともに、議会各派にも働き掛け、一点での共同を広げる。その世論とたたかいで「大阪維新の会」を包囲し、打ち破ることが求められています。

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