政策・提言・声明

2016年01月08日

若者の希望をひらく政治をみんなの力で――わたなべ結の大阪若者提言

 

若者の希望をひらく政治をみんなの力で――わたなべ結の大阪若者提言

2016年1月8日

 

第1部 わたなべ結からあなたへ

 参議院選挙の年を迎えました。「18歳選挙権」が初めて実施される選挙ともなり、若い世代の間でも政治のあり方が大きな関心となっています。

 私は大学卒業後、派遣労働など非正規雇用を経験し、派遣労働者の首切りや正社員でも低賃金という実態を見てきました。働く人を大事にせず大企業が利益をあげ、これを政治が助ける。そんなあり方は変えないといけないと感じたことが、私が政治に深くかかわる大きなきっかけであり、自分自身の問題として力をいれてきたテーマです。

 参院選出馬表明以来、この1年間に、多くの若いみなさんに出会いました。格差と貧困が進む中で、寄せられる声はますます切実なものになっています。

「20時にタイムカード切らされて深夜まで働き週80時間労働。もっとひどい職場を経験しているから辞められない」「週32時間のバイトと奨学金で学費を払っている。今だけでなく将来的にも不安」――

 こうした現状は若者個人の問題でしょうか。けっして個人の問題ではなく、政治と社会のあり方にこそ問題があります。その改善を願うことは当然の要求です。日本社会の発展のためにも、いま本気になって現状打開に取り組まなければならない緊急課題だと考えています。

 

 この間、府内の「若者1000人調査」や各層のみなさんとの対話・懇談を重ねてきました。そのなかで「若者の貧困」がうきぼりになりました。

①   若者を苦しめる非正規雇用の拡大、低賃金、長時間過密労働

②   「高い学費」と「奨学金ローン」「ブラックバイト」

③   若い女性の貧困―差別の中でより深刻化

④   安倍政権と若者の願いのギャップ

 そして、この声にこたえた私たちの提案を5つの提案としてまとめました。

①   ブラックな働き方をなくそう

②   賃上げと安定した雇用を増やそう

③   史上最悪の学費値上げをやめさせよう

④   安心して使える奨学金制度に

⑤   若い女性応援のために

 

 「政治は変わらない」という声を聞くこともありますが、同時に、止むに止まれず声を上げ始めた若者の姿もあります。

 昨年来、「戦争法」廃止をめぐる市民・若者の運動が歴史的な高まりを見せています。立ちふさがる障害を自分たちで打ち破るために立ち向かう――ここに社会を変える大きな希望があると確信します。

 参議院選挙から実施される「18歳選挙権」は、若者の政治参加を保障し、大きく広げるものです。1922年の結党以来、「18歳選挙権」をかかげてきた日本共産党として、若者が輝き、未来への希望にあふれる政治をきづく一歩にするために総力をあげます。

 若者が生き生きと学び、働き、希望をもって生きられる社会にするために、力を合わせ、政治を動かしていきましょう。そのために私は力を尽くします。

 

第2部 大阪若者提言

 

大阪の若者の深刻な実態――広がる「貧困」と閉塞感

 

 大阪の青年人口(15-34歳)は190万人です。労働者は123万人、学生(院生・短大生含む)は24万人、高校生・専修学校生など32万人。女性は半数の95万人です。

 この間、大阪府委員会は、民間調査機関と連携して、府内1000人の18-29歳の若者の生活実態と意識調査(以下、「1000人調査」)」をおこないました。また青年各層の団体・個人との対話・懇談で、切実な実態や政治の要望を聞いてきました。

 

(1)若者を苦しめる非正規雇用の拡大、低賃金、長時間過密労働

 

 「1000人調査」では、働く若者のなかで44・2%が非正規の状態に置かれています。

 「有休が付く前に解雇されるこま切れ雇用。毎月のように退職勧告をされる」「雇い止めされた一方で、求人をしていることを知ったときの絶望。10年間働いて時給900円が一度も上がったことがない」――生々しい声が寄せられます。

 正規で働く労働者も、「休日出勤、夜勤をしても手取りが20万円」「20時にタイムカード切らされて深夜まで働き週80時間労働。もっとひどい職場を経験しているから辞められない」など低賃金、長時間労働で苦しめられる姿がうきぼりになりました。

 ある地域労組の方が、「正規労働者の“劣化”が『ブラック企業』を野放しにし、それがさらに非正規労働者の“劣化”につながっている」と語りました。また、「ハローワークの新卒応援の求人のなかで、ブラック企業に入った」など、ハローワークを通じての求人でブラック企業が横行している現実があります。

 

(2)「高い学費」と「奨学金ローン」「ブラックバイト」

 

 世界でも異常な日本の「高い学費」は、「奨学金ローン」「ブラックバイト」の「負の連鎖」となって学生を苦しめています。

 「週32時間のバイトと奨学金で学費を払っているので、いまだけでなく将来的にも不安」「大学進学のために毎日バイトをしていて授業で寝てしまう」と学生生活を追い詰め、社会人にとっても、「毎月の奨学金返済が3万円以上。貯金もできず、今後の生活が心配」と深刻です。

 「1000人調査」で「ローン残高」を聞くと、奨学金利用者の6人に1人が「500万円以上」と答え、「1000万円以上」という回答も6人から寄せられました

 そのなかで「ブラックバイト」問題が深刻になり、高校生のなかにも広がっています。

 「“研修”といわれ、最賃以下の700円で半年間働かされた」「制服代3000円が自己負担だった」「発注の作業を数個間違えると自分で買い取りになる(高校3年生)」「夜10時を過ぎても働かされたのに高校生なので給料が出なかった(同2年生)」。異常な高学費と「奨学金ローン」のなかで、「ブラックバイト」から抜け出せなくなっている実態もうきぼりです。

 

(3)若い女性の貧困――差別の中でより深刻化

 

 日本社会に横たわる女性への差別と格差のなかで、「若い女性の貧困」はより深刻化しています。

 「1000人調査」では、①女性のなかでは「非正規」が5割を占める。②「生活費に不安」「将来が不安」「心も身体も不安」との声が5割を超え、現在、未来に不安をかかえている。③「政治への不満」は男性を上回るが、「政治は変わらない」という声も大きく、現状打開を願う思いと変化の展望に大きなギャップがある、などの姿が特徴的です。

 聞き取りでは、「深夜22時〜23時まで働くことがある」「非正規で働くが8年間最賃。最賃が上がる時しか給料は上がらない」などの声が寄せられました。

 

(4)安倍政権と若者の願いのギャップ

 

 「1000人調査」では、政治にたいする「満足」「やや満足」が10%にとどまる反面、「やや不満」「不満」が46.8%を占めています。そして、「国政選挙の争点」(複数回答)として、「消費税10%への増税ストップ」が44.3%とトップ。ついで、「社会保障の充実」37.1%、「子育て支援」36.2%、「安定した正規雇用を増やしてほしい」35.2%と続いています。

 雇用破壊による貧困と格差の拡大、異常な高学費と「奨学金ローン」のおしつけ、消費税10%増税など安倍政権の政治が大阪の若者たちとの矛盾を広げています。大阪の「維新政治」も、雇用の66%を占める中小企業支援策の削減、「府大・市大統合」の強行、新婚家庭家賃補助のカット、保育料の値上げ、市職員への「思想調査」にみられる民主主義破壊など、若者の現在と将来を脅かしています。府は橋下知事時代、「生活文化部」に属していた「青少年課」を「危機管理監」のもとに移し、「非行防止」などの対策を中心としています。

 憲法破壊の「戦争法」に反対し、「未来を決めるのは私たち」「だれのこどももころさせない」とSEALDs、SADL、「ママの会」など若者のたちあがりが広がり、同年代の共感を呼び、全世代を励ましています。

 一方で、「政治は誰がやってもいっしょ」「枠組みが決まっているから仕方ない」とあきらめや不信を持ち、「政治は変えられない」という回答が「変えられる」を上回るなど、模索する姿にも出会います。

 

若者の実態と願いにこたえて日本共産党は提案します

 

 大阪の若者が現状を打開し、将来に希望がもてる社会をつくるため、次の重点政策をかかげ、その実現のために全力をつくします。

 

(1)ブラックな働き方をなくそう

 

 国民世論と運動が「ブラック企業」「ブラックバイト」問題を一大社会問題に押しあげてきました。日本共産党はブラック企業規制法案を2013年に初めて提出。厚労省が実態調査と違法行為の是正に乗り出し、新入社員の離職者数公表の対策を取らせるなど、政治を動かしてきました。昨年の国会では、ブラック企業の新卒求人をハローワークが拒否することを盛り込んだ青少年雇用促進法が成立しました。国として初めて、アルバイト経験のある学生に対して実態調査を実施しています。

 国による企業、学生に対する実態調査の結果を生かし、ブラック企業の公表と改善を進めるなど、解決へ踏み込んだ施策をとることを求めます。

 ブラック企業規制法(長時間労働の是正▽求職者などへの情報公開▽パワハラ根絶の3本柱)の成立をはかります。

 労働基準監督署の体制強化や相談窓口の拡充、ハローワークの体制を抜本的に拡充します。

 各自治体に「ブラック企業・バイト」問題の相談窓口やサポートセンターを設置・拡充します。

 高校や大学で雇用のルールを学ぶ機会をつくるなど、働く者の権利や法律的知識の若者への普及に政府が責任をもつようにします。

 

(2)賃上げと安定した雇用を増やそう

 

 若者が「人間らしく働けるルール」を確立するために、何よりも大幅賃上げと安定した雇用の拡大が求められます。

 労働者派遣法を派遣労働者保護法に抜本改正し、派遣労働の受け入れを臨時的・一時的業務に厳しく限定し、派遣から正社員への道を開くなど、派遣労働者の生活と権利を守り、正社員化をすすめます。不当な差別や格差をなくす均等待遇をはかります。登録型派遣、製造業派遣を禁止します。

 パートなどの非正規労働者と正社員の均等待遇をすすめます。中小企業への支援と一体に最低賃金を1000円以上に引き上げて、自立できる賃金にします。全国一律最賃制を確立します。

 

(3)史上最悪の学費値上げをやめさせよう

 

 安倍政権が狙う国立大学の学費連続値上げをストップすることは急務です。日本共産党はアピール「安倍政権による学費の連続値上げは許さない――大学予算削減を学費値上げでまかなう方針を撤回させるために、力をあわせよう」をだしました(2015年11月20日)。

 この計画は今後15年間、国立大学にたいする国からの支出を1948億円削減する一方、大学の「自己収入」を2437億円増やせというものです。授業料で穴埋めするなら、15年間毎年2万5000円程度値上げ、学費は現在の約53万円から93万円となってしまいます。

 これを許せば、「異常な高学費」「奨学金ローンづけ」「ブラックバイト」の「負の連鎖」からますます抜けられなくなります。若者と子どもたちから夢と希望を奪い、「等しく教育を受ける権利」(第26条)を定める憲法を踏みにじり、教育への「投資」を削減する「亡国の政治」にほかなりません。

 断固阻止し、学費値下げへと転換するために、共同のたたかいを広げます。

 

(4)安心して使える奨学金制度に

 

奨学金制度を抜本的に改善します。

 いまの有利子奨学金は、最大で年利3%の利子負担が生じ、月10万円の奨学金を受けると、4年間で480万円。20年かけて上限利率で返す場合には、返済総額は645万円、毎月2万6914円にもなります。新規に貸与する奨学金は無利子にすることを国に求めます。在学中の学生には、有利子奨学金を無利子奨学金に「借り換える」制度をつくり、国が利子を負担することで全員の無利子化を実現します。

 経済協力開発機構(OECD)に加盟している34カ国のうち、大学の学費が有料で、かつ返済不要の奨学金制度がないのは日本だけです。高等教育における国の支出はOECD加盟国平均の半分以下です。これを引き上げ、給付制奨学金を創設します。

 大阪府独自の「利子補給制度」や独自の給付制奨学金制度を創設することを求めます。大阪府大・市大の「統合」に反対します。

 

(5)若い女性応援のために

 

 若い女性の困難打開は、男性も女性も、若者みんなが希望ある未来をひらくための大事な課題です。

 貧困率が特に高いシングルマザー、表面化しにくいDV(ドメスティック・バイオレンス)問題などを含めた実態調査を行い、女性の貧困化の実態をつかみ、これにかみ合った施策の実施・改善を図ります。

 一般労働者とパート労働者の均等待遇をはかるパート労働法の抜本改正をはじめ、〝同じ仕事をしているなら同じ賃金を〟という原則を確立します。

 各自治体・行政区に女性のための生活相談窓口を設置し、各関係機関・施設との連携、救済機関の設置など、若い女性の「居場所」づくり、職業訓練など、サポート体制を構築します。

 認可保育所の増設、育児休業制度や児童扶養手当の拡充などで、くらし・子育てをささえます。

以上

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