政策・提言・声明

2022年05月04日

痴漢被害の実態調査アンケートの結果について
記者会見を行いました

 この間取り組んで来た「痴漢被害の実態調査アンケート」の結果について、4月25日に記者会見を行いました。記者会見で発表した内容を掲載します(記者会見の様子の録画はこのページの下部からご覧下さい)。

痴漢被害の実態調査アンケートの結果について

2022 年 04 月 25 日 日本共産党大阪府委員会・ジェンダー平等委員会 

1、アンケートの趣旨

 痴漢は性差別に基づく暴力であり、人権の問題であり、本来一つもあってはならない性犯罪です。ところが日本では、今も被害と加害は繰り返し生まれています。また、「ちょっとしたイタズラ」のような軽いイメージがあるように感じます。性被害によって傷付いたり、人生を狂わされる人を一人も生まず、誰もが安心して出歩ける街・大阪にしたいとの思いで、まず痴漢被害の実態を把握し、被害を可視化して、政治が正面から取り組むべき課題に押し上げるために取り組みました。政策や議会活動にもいかしていきます。

2、アンケート結果の概要

①実施期間 2022 年 2 月 1 日~4 月末まで
②実施方法 インターネットアンケート(Google フォーム)
③回答者数 748 人(4 月 23 日現在)
④性別・性自認 自由記述でたずね、女性からの回答が 89.6%、男性の回答は 2.9%。
⑤被害の概要 性的接触などの痴漢被害やハラスメント被害をうけたことがあるとの回答は708 人で全体の 94.7%。「回答者の年齢」は、30 代が 30.4%、40 代が 25.6%、23~29 才(社会人)が 14.1%、50 代が 14.7%、60 代が 6.7%、19~22 才(学生)が 4%。「被害にあった
地域」は、大阪府 54.6%、兵庫県 12.8%、京都府 11.5%。「被害をうけた年齢」は、19 才までで 74%、 そのうち 9 才以下で 19%。中学生や高校生など、子どもたちが多く狙われている。
 被害は一度ではなく、「小さい頃からずっと」「 10 代~30 代」など断続的に繰り返しあっている。「このアンケートで初めて言った」「当時は言えなかった。大人になった今だから言えた」という様に、沈黙させられる被害であることがわかる。

3、具体的な被害の状況

① 「どのような被害をうけましたか?」(複数回答)―被害は多岐にわたり、暴力や命の危険と隣りあわせ

○ 「お尻を触られた」(64.6%)、「体を密着させられた」(55.2%)、「(性器などを)見せられた」(48.2%)、「胸を触られた」(45.9%)、「『胸大きいね』『1 万円でどう?』など不快な呼びかけ」(44.7%)、「性器を押し付けられた」(35.0%)、「性器を触られた」(24.0%)、「服の中をのぞかれた」(14.6%)、「盗撮された」(13.9%)、「匂いをかがれた」(13.8%)、「髪の毛を触られた」(13.3%)、「精液や唾液をかけられた」(8.4%)、「舐められた」(4.6%)など、被害の有り様は多岐にわたっており、日常的に身近な空間で「境界線」をこえて侵入され、侵害をうけている。また、「ぶつかられた」(30.6%)、「怒鳴られた」(25.3%)、「つかまれた」(17.1%)、「叩かれた」(8.0%)、「けられた」(5.6%)などの暴力が、それ単体としても横行していると同時に、「胸にむかってぶつかられた」「『触るな』と言ったら殴られた」というように、性被害と一体に行われているケースが多数ある。刑法上の性犯罪やその未遂と思われるもの、「逃げたら引きずり倒されて馬乗りになられ気を失った」など、命の危険を感じさせるものもあった。「あとをつけられた」(39.2%)も多く、被害者の自宅など、生活圏が特定される危険と一体のものも少なくない。

○ 電車内の痴漢は「繰り返し」「数えきれない」といった記述が多い。とくに中学生・高校生は制服を着ていることが一つの目印になり、通学途中に「毎日痴漢にあっていた」という記述もある。また、「小さい頃からずっと」「10代~30代まで」など、断続的に繰り返し被害をうけている。幼少期や小学生の被害は路上が多く、「何が起こったのか理解できなかった」「怒られる気がして親には言えなかった」などの記述がされている。

○ 「今まで誰にも言ったことはない」「当時は言えなかったけど、大人になった今だから言える」「辛くて被害の様子を書くのは無理」など、長く沈黙させられていると同時に、語られていないことが膨大にあるということ、また今回のアンケートに寄せられた被害は氷山の一角であることが考えられる。

② 「被害にあった場所は?」(複数回答)―「電車の中」「路上」が圧倒的に多い

○ 「電車の中」(78.0%)、「路上」(69.1%)と圧倒的に多く、「駅構内」(32.5%)、「図書館など公共施設」(11.4%)、「バス」(11.2%)、「映画館」(8.2%)、「プール」(5.5%)と続く。毎日の通勤や通学で利用する空間が危険に満ちており、日常的にあらゆる空間で被害は起こりうる。自由記述では、職場、学校、自宅など。

③ 「被害にあった時、どうしましたか?周りの反応は?」(複数回答)―「何もできなかった」「怖くて反応できなかった」が多数

○ 「何もできなかった」(55.9%)、「怖くて反応できなかった」(50.6%)、「怖くて逃げた」(38.3%)となっており、「周りは無関心だった」(30.7%)とあわせて考えると、多くの人が孤立した状況の中で何もできず、声をあげられない状態にある。

○ 一方で、「声をあげた」(18.9%)、「警察に通報した」(9.7%)、「助けを求めた」(6.1%)、「駅員に通報した」(4.4%)などは少数で、「時間がなくて(通報など)対応はできなかった」(16.2%)などのように、受験会場にむかう通学路や仕事に遅れられない事情から通報などを諦めなければならない状況がある。「周りが大丈夫?などと声をかけてくれた」(4.8%)、「周りが助けてくれた」(4.9%)も少数であることも諦めや絶望を生んでいる。しかし、目撃した側でも「何もできなかった」(39.3%)が多数ではあるが、「大丈夫?などと声をかけた」(24.1%)、「被害者を加害者から引き離した」(20.5%)と何とかしなければと行動している人もいる。

④ 「どんな気持ちになりましたか?」(自由記述・記述数573人)―被害者がうけた精神的・肉体的苦痛は深刻で、その後の生活・人生に大きな影響

○ 「怖い・震える」「腹が立つ・怒り」「屈辱的」「嫌悪感・不快」「泣きたい」など、抑えきれないリアルな感情が多く記述されている。「『男性は気持ち悪い』と偏見が生まれた」「全ての男性が怖くなり、少しでも目が合うと冷や汗が止まらなくなった」など、男性への嫌悪感、不信感が強く示されており、人間不信になったという記述もある。また、「惨め」「汚いものになった気分」「自分に価値がないように思えた」など被害にあった自分を責めるような感情や、「生きてるのが辛くなった」「死んでしまいたかった」などという記述も少なくない。

○ 「30年以上たっても、歩いていると思い出し、怖くなる」「(繰り返しの被害に)学業や健康面、通常のコミュニケーションにも問題がでて、高校に通えなくなってしまった」「フラッシュバックで急に涙がでてくる。電車にのれない」「夜道など一人で歩けない」「数えきれないほどの被害経験の後遺障害で日常生活に大きな支障がある。障害年金の更新手続きが難しいほど」など、後遺症も様々に記述されており、長期にわたって被害者のその後の生活や人生に影響を与えているものもあり、「痴漢」という言葉がもつ軽い印象とはかけ離れた深刻さがある。

⑤ 「被害を誰かに話せましたか?その結果どうなりましたか?」(複数回答・自由記述・記述数447人)―二次被害が深刻で、諦めに繋がっている

○ 被害を「家族や友人知人に話した」(67.2%)が一番多い。しかし、話した結果、「友人が一緒に帰ってくれるようになった」「一緒に警察に行ってくれ、犯人が捕まった」などという前向きな経験もあるが少数。多くは、話したけれど「何もない」「どうにもならない」という諦めにつな
がっていたり、逆に「たいしたことはない。気にするな」「自慢?」「無反応で傷ついた」など、被害を軽視、嘲笑され、傷ついている人が少なくない。「夜出歩くからだ」「その場でなぜ助けを求めなかったのか?」など、被害者の行動や対応が責められるケースもある。

○ 一方で、「話したかったができなかった」(22.0%)、「話そうと思わなかった」(23.6%)と、一人で抱え込まざるを得ない実態もある。「話したかったができなかった」「話そうと思わなかった」ことの理由としては、「恥ずかしかった」(47.7%)、「誰に話していいかわからない」(39.0%)「(感情を整理できないなど)分からない」(36.5%)、「被害をうけたとは思えなかった」(21.6%)となっている。その他、「言っても仕方ない」という諦めや、「叱られる」「(話したら)余計に傷つきそう」「共感してもらえないと思った」など、ここでも2次被害の心配をしている人が少なくない。

⑥「どんな支援があると、ひとりで抱え込まず伝えてみようと思えますか?」(自由記述・記述数508人)―痴漢は犯罪であることの周知徹底、被害者が責められることなく話を聞いてもらえ、対応してくれる人や場所が求められている。

○ 「痴漢は犯罪であること」の周知徹底の要望が多数寄せられている。「(痴漢は)犯罪であり、(被害者は)ケアされるべき対象である」という発信が必要」「痴漢は犯罪であり、『よくある事』では済まさないという社会的な通念が男女ともにもっと根付かないとダメ」「男性が男性に許さないと発信してほしい」など。

○ 二次被害の対策を強化し、被害者が安心して被害を訴えられるようにとの声も多い。「セカンドレイプをされないように、被害者を責めないように社会全体で取り組んで欲しい」などの声とともに、「周りが自分を批判せず加害者を捕まえてくれたら」「警察で取り調べがあり、被害状況を
具体的に再現する。それが嫌でほとんどが泣き寝入り」「警察が親身に痴漢の訴えに対処してくれるという信頼がほしい」など、周囲への要望とともに、警察・公的機関に連絡・相談すればまともに取り扱ってもらえる対応の改善、信頼構築が求められている。「女性の性被害は、ちゃんと教育と訓練を積んだ女性警察官が対応する仕組み」などの要望も複数あり、警察、裁判官、駅員などに女性を増やすこと、専門性ある対応も求められている。

○ 犯人の逮捕、厳罰化などが強く望まれている。「痴漢や性犯罪の罰則を厳しくしてほしい」「犯罪者を確実に逮捕して多大な慰謝料請求できる社会」など。

○ 被害者に寄り添い、話を聞く、信頼できる場所や人が求められている。匿名で相談できる所で、大きく分けると①セラピーやカウンセリングのような「話を聞いてくれるだけでいい」というもの、②具体的な対処法を教えてくれたり、専門性ある適切なところにつないでくれるというもの、③付き添って一緒に警察に行くなど行動してくれる支援に分けられる。相談ツールは、電話やメール、LINE など多様だが、匿名性、気軽さが求められている。また、「ワンストップで相談できる窓口」「24 時間対応の窓口」などの要望のほか、「被害者同士で報告・共有できるところ」「加害者への支援」「LGBTQ への配慮、対応」なども挙げられている。

○ 幼少期からの被害が多いことから、「小さい頃から学校で痴漢被害に遭った場合、同じ車両で被害者が声をあげた場合の対処法を教え、練習する」「親向けに、子どもが被害にあったときのチャートがのった冊子を」などの要望も寄せられている。

○ そもそも加害も被害も生まないために、「小学生のうちから、きちんとした性教育や女性蔑視に繋がらないためのジェンダーバイアス等の教育が必要」「幼稚園児の頃に、性的な機能だけではなく他者の人権を尊重することを教える性教育を」などの声も少なくない。

○ 電車内での被害が多いことから、「監視カメラの設置を」「アナウンスやポスターの掲示」「女性専用車両を増やして」「鉄道会社に被害相談窓口、専門ダイヤル(専門スタッフ)を」など、鉄道会社の努力も求められている。また、「アプリをつかって通報できる仕組み」「被害を報告する
アプリ」など、簡単に素早く通報・報告できる手立ての提案も寄せられている。


痴漢被害の実態調査アンケートに取り組んで、これまで見えなくさせられてきた被害の深刻さを生々しく知ることができました。こうした被害・加害を許し続ける社会であっていいはずがありません。被害実態を共有し、政治が真剣に向き合い、対策を考えることは当然の役割・責任だと強く感
じています。このたび、「匿名のアンケートだから」「少しでも役にたつのなら」と、勇気をもって回答をお寄せ頂いた全てのみなさんに感謝申しあげるとともに、お寄せいただいた声を今後の対策強化、解決のためにいかし、性暴力を許さないジェンダー平等社会を目指し、力を尽くすことをお約束します。

以上

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