政策・提言・声明

2021年10月01日

カジノはNO! 夢洲での万博開催は見直し、
いのち・暮らし最優先の大阪を

 10月1日、日本共産党大阪府委員会・「カジノ・万博問題プロジェクトチーム」は次のアピールを発表しました。

カジノはNO! 夢洲での万博開催は見直し、いのち・暮らし最優先の大阪を

2021年10月1日 日本共産党大阪府委員会・「カジノ・万博問題」プロジェクトチーム

 大阪府・市は9月28日、夢洲で誘致をめざしているカジノ(IR)事業者について、MGM・オリックスコンソーシアムを選定したと発表しました。

 選定理由として、「夢洲における国際観光拠点形成や大阪ベイエリアの活性化」「関西経済の成長や観光産業の底上げに寄与し、もって我が国全体の観光及び経済振興の起爆となることを大いに期待したい」などとのべています。

 府・市は10月に事業者と「基本協定」を締結、来年1月頃までに「区域整備計画」の作成及び地域の合意形成のための公聴会などを実施し、その後2~3月の大阪府議会及び大阪市会に「区域整備計画」認定申請の「同意」を求める議案を提出しようとしています。 

 しかし、これにはいくつもの重大問題があります。

 第1に、いま大阪府・市が最優先すべきはコロナ対策です。「第6波」を抑え込みこれまで大阪で起こした「医療崩壊」を絶対に生み出さず、備えを万全にするための方策に全力をあげるときです。「カジノ誘致」推進の余地などありません。

 第2に、人の不幸をくいものにするカジノは、大阪にも、日本のどこにも必要ありません。横浜市では市長選挙の結果、「カジノ誘致」は撤回されました。カジノは賭博にほかならず、ギャンブル依存症や家庭崩壊、犯罪の温床になるなど、害悪を生み出す根源です。

 第3に、利権の温床となるカジノ誘致は許されません。「カジノ誘致」をめぐる汚職で国会議員が有罪判決を受け、維新議員も中国のIR企業顧問から現金を受け取っていたことが明らかになりました。

 さらに大阪に応募したのは1社だけでした。府や市は「カジノ誘致」をごり押ししていますから、業者の思いのままになりかねません。その事業者の提案内容と選定経過をすべて情報公開させ、府民の前で総点検すべきです。

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 「カジノ誘致」ごり押しとともに、大阪府・市が前のめりで進める「夢洲万博」も、コロナ禍のもと、立ち止まって検討すべき問題は山ほどあります。

 第1に、「夢洲開催」は万博そのものが掲げる理念であるSDGs(「持続可能な開発目標」・「自然との共生」)に逆行し、自然環境にも、人体にも有害な影響を与えかねません。
 夢洲には、環境省が「絶滅危惧種」に指定する渡り鳥のコアジサシや、大阪湾で「絶滅」とされていた水草「カワツルモ」が生息していることも判明しており、いずれも研究者や自然保護団体が保全を求めています。
 今年行われたボーリング調査で、夢洲の土壌がきわめて軟弱であることが明らかになりました。また、2006年の土壌汚染対策法制定以前に運び込まれた、PCBやダイオキシンなど毒性物質を含む浚渫(しゅんせつ)土砂が埋め立てられており、工事関係者や訪問者の健康にも悪影響を与える危険が指摘されています。
 かねてより夢洲開発には、南海トラフ巨大地震や地下の粘土層の圧密沈下などのリスクが指摘されています。災害が起こった時、夢洲からの避難経路の確保も大きな問題です。

 第2に、事業計画には無理があることです。
 大阪府・市は、当初予定していた2025年のカジノ(IR)・万博の同時開催はコロナ禍で断念せざるをえず、カジノ(IR)開業も2020年代後半に先延ばしすると決めたものの、関西万博への「インフラ整備計画」(8月27日発表)は、大阪メトロ延伸や淀川左岸線2期工事の前倒し、なにわ筋線整備、近畿圏全域での高速道路網整備など巨大開発が目白押しです。
 「万博を関西経済の起爆剤に」と関西財界ははっぱをかけますが、かつて破綻したWTCなど湾岸開発計画と「同様の失敗を繰り返さない保証はない」(日本総研・関西経済研究センター長)との声があがっています。

 第3に、膨れ上がる財政負担の懸念です。
 万博会場の建設費用は、計画当初の1・5倍、1850億円に膨れ上がっています。府と大阪市それぞれ約308億円の負担がさらに膨れ上がる可能性もあります。
 また大阪市が建設主体となる大阪メトロ中央線延伸は、地盤が軟弱なので、40億円の追加費用がかさみ、290億円まで膨らみます。
 日本共産党大阪府委員会は、「百害あって一利なし」といわざるをえない「カジノ誘致はノー」――この一点で府民多数派をつくり、府・市によるごり押しを許さず、「区域整備計画」の策定も、国への申請計画もストップするよう求めます。「カジノよりコロナ対策」をかかげた府民運動をともにすすめます。

 かつて維新は「カジノが大阪都構想の試金石」と叫びましたが、その「都構想」を大阪市民は二度、住民投票でストップし、とん挫させています。また立憲野党は共同で「カジノ実施法廃止法案」を国会に提出しています。この総選挙で政権交代を実現し、「カジノ誘致」のおおもとを葬り去るように全力をつくします。

 「大阪万博」については、「夢洲開催」の中止をはじめ、抜本的な見直しを求めます。コロナ・パンデミックや地球的な気候変動のなかで、「自然との共生」という万博理念にふさわしい計画を練り上げること、「巨大開発ありき」の関連整備計画は見直し、財政規模も府民的に納得と合意が得られるものであることなどをものさしに再検討が必要です。

 目前の総選挙でも「カジノはノー。大阪万博は夢洲での開催中止をはじめ抜本的見直しを」と府民的によびかけ、大阪府議会・市議会でも、府民的な運動でも力をつくすものです。

 

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