政策・提言・声明

2021年01月20日

緊急事態宣言発令を受けてのアピール

2021年1月19日 日本共産党大阪府委員会

 13日、政府は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、大阪府を緊急事態宣言の対象地域に加えました。期間は2月7日までです。

 日本共産党大阪府委員会は、昨年の4月に続いて2度目の緊急事態宣言発令という事態を招いた菅政権と維新政治に反省を求め、国民の命とくらし、営業を守るため、新型コロナ対策の抜本的転換を求めるものです。

 菅政権はGoTo事業への固執や、変異種の流入を止める入国停止措置が遅れるなど、政権の無為無策が感染拡大を招きました。大阪府への緊急事態宣言の発令も、菅首相は数日前まで「現時点において、そうした状況にはない」と述べていました。この判断が誤りであり政権の対応の遅れは明白です。

 同時に大阪のコロナ対策についても問題を指摘しなければなりません。

 一つは、右往左往する国のコロナ対策を批判するどころか、追随していることです。

 知事は大阪での病床のひっ迫を受け、特措法に基づいた病床確保の要請を民間病院団体に行い、拒否されれば「指示」に踏み切ると明言しています。また民間病院が病床確保に応じなかった場合、病院名を公表するなど、病床ひっ迫の責任を民間病院に押し付ける感染症法改定も政府にけしかけています。分断を呼び込む医療機関への懲罰的措置は許されず、減収と人員確保で苦しむ医療機関全体への減収補填を国に求めるべきです。

 また事業者にとって命綱の持続化給付金や家賃支援給付金が打ち切られようとしていますが、2度目の給付を大阪からも強く求めるべきです。

 二つめは感染拡大に対する認識の甘さです。

 吉村知事は4日、府内の感染の急拡大は抑えられているとして、緊急事態宣言要請の見送り方針を示しましたが、翌日からの急拡大を受け急きょ要請を決めました。この対応に府コロナ対策会議委員からは、「首都圏や年末年始の影響が出ることを考えれば、感染者の増加は予想できた。数日の急激な増加を見て要請を考えているようでは、危機管理が甘い」と厳しい意見が出されました。

 病床等医療資源が極めてひっ迫するなか、判断の遅れは府民の命に直結します。大阪府が先手の対策で府民の命を守る立場に立ち切ることが必要です。

 三つ目は感染抑制に対する本気度が見えない事です。

 大阪府の検査数は東京都と比較して人口比で約7割に過ぎず、府が目標に掲げる1日2万件の半分にも達していません。感染者の早期発見・保護は感染拡大を抑止するとともに、感染者の重症化を回避し、病床のひっ迫を緩和することに繋がります。

 また、府内一部自治体で実現した社会的検査についても、大阪府がその旗を振る姿勢はありません。

 時短営業や自粛に対する補償も不十分です。とりわけ大阪市は1000億円を超える財政調整基金があります。府は大阪経済の屋台骨である中小・小規模事業者への十分な補償の実施を、大阪市にも働きかけるべきです。

■これ以上検査の抜本拡充と社会的検査を忌避することは許されない

 大阪府の重症病床占有率は実運用数で86.9% (1月17日現在)、軽症中等症病床は76.6%であり、極めてひっ迫しています。大阪市における救急搬送困難事例が年末年始は1カ月前と比べて1.4倍となりました。コロナ専用病床が見つからずに入院患者が死亡する事例も発生しており、まさに「医療崩壊が現在進行中」(大阪民医連大島会長)です。保健所業務も多忙を極め、濃厚接触者を十分に追跡できていない恐れがあります。

 大阪での死者は742人(1月16日現在)となり、東京都の725人を上回りました。大阪で重症者と死者がとりわけ多い背景には、医療・高齢者施設におけるクラスターの多発があります。

 第3波(10月10日~1月11日)で発生した全クラスターのうち、医療・高齢者施設は件数で7割を占め(全国平均は12月以降で45%)、感染者数では8割にのぼります。この期間、大阪の死亡例の半分以上がこれら施設での感染者です。亡くなる方を一人でも減らすためにも、医療・高齢者施設への社会的検査は、大阪でこそ必要とされています。府の施策の遅れで、救える命を救えない事態をこれ以上招いてはなりません。

 感染を抑え込んだ社会でこそ安心して経済を動かすことができます。感染拡大と自粛の繰り返しという悪循環を断つためにも、退職保健師への働きかけも含めて保健所の体制強化と医療機関への減収補填を行い、大阪市では24行政区すべてに地域・外来検査センターを設置し、社会的検査に踏み出すことを強く要望します。これらの検査を自治体が躊躇なく取り組めるよう、費用は全額国費でまかなうべきです。

■十分な補償があってこそ効果がある

 4月から12月の飲食店の廃業は大阪市だけで4000件にのぼり、多くの事業者から「もうもたない」と悲鳴の声が上がっています。既に行われている飲食店への協力金は、一定規模の店では全く不十分であり、規模に即して補償を上乗せすることが必要です。

 また飲食店とともに、納入業者や生産者などへの補償も欠かせません。その際売上の減少が前年比50%に満たない事業者への補償も実施すべきです。

 事業者への十分な補償は一刻の猶予も許されません。十分な補償があってこそ感染抑制の効果が現れます。

■生活に困窮する人たちへの緊急支援を

 今、これまで普通の暮らしをしていた人々が、コロナ禍で職を奪われ生活の糧を失うなど、深刻な状態に追い込まれています。居所を失った個人や家族には緊急の住まいの確保が必要です。プライバシーが確保できる公営住宅やホテルなどの宿泊施設を確保し、その事を広く周知することが求められます。

 また「最後のセーフティネット」である生活保護制度の運用が緩和され、通勤用の自動車の保有なども認められるようになりました。大阪では生活保護バッシングによるスティグマ(恥の意識)が、より強くなっていることが懸念されます。生活保護制度の利用は国民の権利です。制度周知のため行政の長が積極的に発信することを求めます。

■政治的立場を超えた連帯で感染抑制を

 この間、新自由主義のもとで医療や福祉、公衆衛生、市民病院が切り捨てられた結果、現場はより疲弊し「感染拡大に弱い」社会が作られました。最前線で奮闘する公務現場が攻撃にさらされ人員削減に追い込まれました。市民を分断し対立させる維新の政治手法が、コロナ感染を抑え込むうえで最大の障害となっています。

 大阪府委員会が2度にわたって実施した住民アンケートには、コロナ感染への不安と、命と暮らしを守ってほしいという府民の切実な思いが込められています。同時に、政治が国民の命を左右することへの実感が語られています。

 今、政治が果たす役割は重大です。最優先で取り組むべきは英知を結集したコロナ対策です。日本共産党は、コロナ感染を抑え込み国民に通常の日常が戻るよう、党派や立場の違いを超えた連帯を心から呼びかけるものです。

 

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