政策・提言・声明

2019年12月26日

「特別区」設置協定書の「基本的方向性」なるものの「採決」について

12月26日、日本共産党大阪府委員会の柳利昭府委員長は、次のコメントをだしました。

2019年12月26日 日本共産党大阪府委員会委員長 柳利昭

 26日午前、開かれた第31回「法定協議会」(大阪府市大都市制度・特別区設置協議会)において、「大阪市廃止・解体」をめざす「都構想」の「特別区」設置協定書の「基本方向性」なるものが維新・公明によって「起立採決」されました。

 「住民投票」に必要な「協定書」案については、この間、議論を重ねるごとに2015年当時の「バージョン・アップ」どころか、矛盾と破たんあらわな姿がうきぼりです。そこで法的な拘束力のない「基本方向性」なるものを「数の力」でおしつけたものです。大阪市民の利益にてらしての制度設計などはそっちのけで、「大阪市廃止・分割」をごり押しする維新・公明とそれを許さない市民多数との矛盾はいっそう鋭く広がります。

 今回の議論で、維新、公明両党とも、「6月から議論が急速にすすんだ」と語る通り、それまで維新以外のすべての党が「素案」に反対していたものを、ダブル選後、公明党が衆院議席ほしさに維新に屈服し、態度を豹変させたことが、今回の「採決」にいたった最大の背景となっています。

 公明党はこれを覆い隠すため、「4つの条件」を示し、維新がそれを呑んだので「賛成」に転じたといいます。しかし、「住民サービスの維持」については、「協定書」で「維持に努める」という表現を、「特別区設置の際は維持する」「その後は維持するよう努めるものとする」と変えただけで、それを保障する権限、財源は何も担保できないものになっています。

 「設置コストを最小限にする」についても、新たに持ち出したのは「中之島合同庁舎」案です。既存の庁舎に入らない職員をすべて一つに集めるというもので、当該自治体に住まず、通勤もしない職員が多数存在することになり、住民の暮らし、福祉、防災などあらゆる面でおよそ「自治体」としての体をなさない設計になっています。

 わが党などが追及してきたとおり、「特別区」は固定資産税や特別市民税などの財源が「府」に奪われ、地方交付税も「特別区」には直接入ってこないこと、消防や水道、下水道、介護保険も「特別区」は所管できないこと、さらに「大阪市解体」が大阪経済に打撃を与え、「大阪府」の大変質にもつうじることなど、問題は山積しています。

 わが党は、このような「協定書案」づくりにきっぱり反対します。仮に「数の力」で「住民投票」を強行するのなら、政党や団体などの立場をこえた広範な共同の力で、「大阪市廃止・解体」を許さず、「NO!」をつきつけるために総力をあげるものです。

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