政策・提言・声明

2018年08月27日

維新政治はどこへ

維新政治はどこへ (1)

新たな「与党」宣言

 通常国会の会期末、7月19日の衆院本会議。日本維新の会は野党5党が提出した安倍内閣不信任案に反対討論を行いました。反対理由は「重要法案で政府与党と修正協議して、よりよい法案を成立させたから」「野党はモリカケ(森友・加計疑惑)ばかり持ち込んで議論をひっくり返すから」。そして、「いまの与野党を比較すれば、どちらに内閣を預ける方がよいかと問われれば、安倍内閣」というものでした。

 新たな「与党入り」宣言で、維新は安倍政権与党の補完ぶりを改めてくっきりさせました。

 維新が通常国会で見せた姿は、戦後最悪の安倍内閣、いわばその欠陥・暴走車に対し、二人三脚で走る「伴走車」としての姿でした。

何でも賛成

維新連載1の写真 安倍内閣が提出した81本の法案で維新が反対したのは、参院選挙制度改定案と受動喫煙対策法案の2本。他は「過労死促進法」とまでいわれた「働き方改革」法案も、「究極の売国法」といわれたカジノ実施法案も、何でも賛成(賛成率97・5%)でした。

 中でも際立ったのは、カジノ実施法案と「森友疑惑そらし」の競演ぶりでした。

 カジノ実施法案は、刑法が禁じてきた民営賭博を米カジノ大手事業者の言うままに解禁する点でも、震災・豪雨災害への救援対策は二の次にして国会審議を強行した点でも、二重三重の暴挙でした。維新はこれが「東京一極集中を打ち破る観光戦略、成長戦略」などとうそぶき、法案成立に手を貸し、カジノの「大阪誘致」を叫んでいます。

 森友疑惑は、安倍政権による国政私物化、公文書改ざんという民主主義の根本が問われる国政の一大スキャンダルです。同時に、その舞台は大阪です。維新府政はなぜ森友学園の要望で設置基準を緩和し、「私学認可ありき」で「瑞穂の國記念小学院」設置に突き進んだのか。大阪府議会で徹底解明が求められるのに、維新は百条委員会設置を拒み続けています。

大本は改憲

 安倍政権との二人三脚の大本には改憲戦略があります。松井一郎知事はこの春、国会で「モリ・カケ疑惑」が大問題になったとき、疑惑解明が進まないことよりも「(憲法改正について)今は熟議ができる雰囲気になっていない」ことを嘆きました。(「毎日」3月17日付)

 改憲をめぐる激しい攻防の中で、「自公維VS市民と野党共闘」の対決構図はより鮮明になり、大阪でも全国でも「自公とその補完勢力を少数に」を掲げたたたかいと共同の輪がさらに広がります。

 大阪の維新政治は、その一枚看板である「大阪都」の視界が開けず、さまざまな面で新たな行き詰まりを見せています。橋下徹府政が登場してからちょうど10年。維新政治を連載で追います。

 (つづく)

維新政治はどこへ (2)

袋小路の「大阪都」

 大阪では「大阪都」構想の行き詰まりがあらわになっています。

 3年前、大阪市の住民投票で、維新は「ラストチャンス」と叫び、総がかりで挑みました。しかし、市民は「ノー」の審判を下しました。維新はその民意を足蹴(あしげ)にし、今度は「大阪を副首都にするために」と看板を掛けかえ、「特別区」だけでなく公明党が掲げる「総合区」も一緒に議論するとして同党を抱き込み、大阪府・市「大都市制度(特別区設置)協議会」(法定協議会)を設置。2度目の住民投票を今年の「9月、10月に実施する」としてきました。

9月10月は

 ところが、維新の松井一郎代表(大阪府知事)はこの春、早々と「9月、10月」は断念すると表明しました。

 住民投票延期の背景をみると、一つは世論調査(NHK)で「特別区」や「総合区」よりも、「いまのままの大阪市」を求める声が最大多数になっていることです。二つは前回敗北した「5区特別区案」をやめて「4区案」を出したものの、コストや事務分担、財源調整など新たな矛盾が噴出していることです。「特別区」の名称の一つに「東西区」なるものをつけ、維新内部からもブーイングがでました。「バージョンアップ」どころか、破綻があらわになっています。頼みの綱の公明党もゴーサインを出せないでいます。

 5月に開かれた法定協議会で、自民党からは法定協議会の廃止を求める動議も出されました。維新は、あわてて数の力で否決したものの、「都」構想論議は思惑通りに進みません。4月には、「自民党総裁選対策」のため自民党大阪府連大会にきた安倍晋三首相が「都構想反対を支持」と口走る一コマもありました。これには松井代表が「安倍首相は本心をごまかしている」とインターネットのWEBサイトに投稿するなど、動揺を隠せませんでした。

なぜ1兆円

 維新は、窮余の策として、「大阪都」による歳出削減効果調査を民間団体公募で行い、1000万円で仕事を受けた嘉悦学園が7月、「10年間で1兆円の効果」なるものを打ち出しました。しかし、メディアも大きな疑問符を投げかけています。もともと「大阪都」の効果額なるものは、前回、松井知事が「年間4000億円」などと打ち出しましたが、論戦するとすぐに雲散霧消しました。今回は大阪府・市当局としては「効果額は出せない」としていました。5日の大阪市議会大都市税財政制度特別委員会は、市当局では説明できないとみたのか、効果額についての質問を受け付けず、最後の数分、理事者が代理説明しただけでした。「1兆円の効果」のまともな論証はできそうにありません。

 「大阪都」視界不良の深刻さが表れています。(つづく)

維新政治はどこへ (3)

カジノ誘致に狂奔

 カジノ実施法が強行された7月20日の夜に放映されたNHK「かんさい熱視線」は、米大手カジノ業者の「大阪詣で」をクローズアップしました。大阪の風物詩「天神祭」の船渡御(ふなとぎょ)にも、カジノ業者のMGMリゾーツ・インターナショナルが顔をだしました。

巨額の税金

 維新は結成当初からカジノにのめり込んできました。元代表の橋下徹氏は「カジノは都構想の試金石」(2013年、大阪府市IR立地準備会議)と叫び、「ちっちゃい頃からギャンブルを積み重ね、勝負師にならないと世界に勝てない。国民を勝負師にする必要がある」(10年、ギャンブリング・ゲーミング学会の大会)と述べています。

 維新が「カジノ推進」の大義にしているのは、IR(統合型リゾート)こそが「東京一極集中を打開」し、「ナイトライフ充実で観光客増」「国際会議が開ければ日本の国際的与信を高める」などというもの。IRはカジノの隠れ蓑(みの)で、大阪では人工の埋立地・夢洲(ゆめしま)でIRと「2025年大阪万博」をセットにし、巨額の税金をインフラ整備などに注ぐ計画をすすめています。

 カジノの現実はどんなものか。お隣、韓国の江原(カンウォン)ランドでは周辺4村にまたたくまに「カジノ中毒」が広がり、いまでは「月に1回」の利用制限をかけています。ソウルから200キロメートル離れたこの地には、地元以外からも多数の人が車で乗り付け、車を質屋に預け、元手も擦(す)って「カジノ難民」になる姿も際立ちます。昨年、当地を訪れた、わたなべ結さん(党府委員会国政対策委員長)らに、賭博管理センター、カジノ中毒センターのスタッフは、口をそろえて「カジノの中毒罹患(りかん)率は他のギャンブルの比ではない」「大阪のような大都市につくるべきではない」と語りました。

防災にこそ

 大阪は6月に北部地震に見舞われ、死者5人、住宅損壊2万戸以上の被害をだしています。大阪府・市政に問われているのは、「カジノ誘致」などでなく、救援復興と防災対策です。カジノ問題を考える大阪ネットワークなど市民団体は、「カジノはあかん」「カジノより防災対策を、福祉を」のとりくみを広げ、7月には大阪の立憲民主党、日本共産党、社民党、自由党など野党がそろって市民共同の宣伝もしています。

 日本共産党大阪府委員会は8月4日、アピール「大阪にカジノはいらない。カジノ実施法は廃止を」を発表。共同の力で「カジノ大阪誘致」を許さず、統一地方選、参院選では「カジノ推進・大阪誘致派」を少数にと呼びかけています。(つづく)

維新政治はどこへ (4)

教育の“競争漬け”

 大阪市の吉村洋文市長は2日、記者会見で、全国学力テストの結果について「(大阪市が)万年最下位でいいと思うなよ」と切り出し、今後はテスト成績の結果によって学校ごとに教員のボーナスの額に反映させるとぶちあげました。

厳しい批判

 大阪市学校園教職員組合や新婦人大阪府本部などがただちに抗議したのをはじめ、教育各界からも「市長ともあろう人が無知にも程があるのではないでしょうか?」「あまりにも〈世界の常識〉にも反した政策―恥ずかしい限りです! 学力調査の目的とは大きくズレている」(教育評論家の尾木直樹さん、4日のブログ)、「調査の趣旨を逸脱しており、学力の実態を把握する調査の役割がゆがめられる」「教員評価に直接使うのは無謀だ」(全国の学力調査専門家会議座長の耳塚寛明・お茶の水女子大教授、3日の朝日新聞デジタル)など、厳しい批判が集中しています。

 吉村市長や前任の橋下徹市長は「維新は大阪市の教育予算を5倍にした」とウソとペテンをふりまき、「塾代助成」自慢もしてきました。その破たんがあらわになるや、今度は矛先を現場教師に向けているのです。

 大阪の教育をめぐって、維新は「私立高校授業料を無料にした」「幼児教育も無償化した」と宣伝します。「教育の無償化」そのものは世界の流れであり、府民も強く求めてきたもの。「どの子も育つ」ための教育条件を整備することは政治の当然の責任です。

 しかし、維新の「教育目的」とは何でしょうか。橋下知事時代に決めた大阪府教育基本条例によると、それは「激化する国際競争に迅速的確に対応できる、世界標準で競争力の高い人材を育てる」ことであり、教職員はそのために「教育委員会の決定、校長の職務命令」にひたすら従う存在だといいます。

 ここから大阪では他県にはない、異常なまでの“競争漬け”が始まっています。

6校が廃校

 その一つが「チャレンジテスト」です。1回のテストで高校受験の内申点が決められることも批判の的ですが、点数の決め方も問題です。まず学校別平均点でランクを分け、ランクごとに差をつけ、個人に振り分けます。そのため「学校平均が下がるから、あいつにはテストを受けてほしくない」「俺は学校のために受けへんわ」とテスト当日に欠席するなど、学校現場に混乱をもちこんでいます。

 また大阪市では校区をとりはらう「学校選択制」をとっており、小中学校入学説明会用の「学校案内」には各区とも、小学校、中学校の一校一校、各教科の「学力テストの平均点」を掲載しています。これを参考に学校を選べというわけです。

 府立高校も、「3年連続定員割れ」で容赦なく廃校の対象とされ、これまで6校が廃校になっています。

 維新は、「35人以下学級」の実現、そのための教職員配置には背を向け、大阪の教育現場では慢性的な教員不足と長時間労働が深刻です。

 「子どもの貧困」問題も大阪は全国ワースト2位であり、学校内の暴力や不登校などのストレスをかかえています。

 維新政治の犠牲になる子どもたち。その転換こそ、教育分野でもっとも強く求められています。(つづく)

維新政治はどこへ (5)

経済よくなった?

 維新は「大阪経済はよくなった」と宣伝します。もっぱら彼らが挙げるのは「インバウンド(外国人の訪日旅行者)の増大」です。しかし、維新の「大阪経済」論には、初めから大きな疑問符がつきます。

ウソ重ねて

 維新の「大阪都」構想は「大阪の危機は深刻である。府内総生産はこの10年で2・41兆円減少している」(浅田均政調会長)など、「大阪の危機」をあおりにあおって打ち出したものでした。ところが維新政治が続く中で、いつまでも「落ち込んでいる」のでは具合が悪いとばかりに「大阪経済はよくなった」と言い出しました。それなら彼らの理屈でも、「大阪都」構想はいらないことになります。ウソとペテンで、深刻なジレンマに陥っています。

 この10年、大阪経済はどうなったかは数字がリアルに物語っています。

 ―2008年のリーマン・ショック後も、大阪府内の経済成長率は全国平均に追いつかず、東京、愛知など他の大都市部との差は広がりつつある。

 ―雇用者20人以下の企業数は09年からの5年間にも3・5万社以上が減り、製造業では事業所、従業員、出荷高ともに全国シェアを下げ続けている。

 ―インバウンドは09年の170万人から17年に1111万人へと6・5倍(大阪観光局)となっているが、肝心の府民の所得や消費は増えていない。スーパー販売額を07年と17年で比べると3%減、飲食料品が14%増の一方、衣料品は55%に落ち込んでいる。家計消費も落ち込んだまま(勤労者家計調査)。

 ―「子どもの貧困」も深刻で、山形大の戸室健作准教授の研究では、大阪の貧困率は、全国ワースト2位となっている。大阪府が16年に実施した子どもの実態調査によると子どものいる世帯の貧困率は14・9%にも及ぶ。

 大阪経済をめぐって、関西財界の中からも、まれですが、「賃金上昇を伴う生産性向上を」の声も出ています(関西経済同友会経済政策委員会「アベノミクス5年間の検証と我が国の生産性向上に向けて」)。

貧困が拡大

 維新の大阪府・市政は、これまでの住民サービス削減で個人消費をいっそう冷え込ませ、貧困と格差を拡大する方向をたどります。18年度の府予算をみると、大阪経済の主役である中小企業へのものづくり支援予算は07年度の4分の1、商店街など小売業振興予算は25分の1に激減させています。一方、まともな「成長戦略」を描けないまま、府民の不幸を食い物にする「IR=カジノ」頼みのいびつで危険な施策に踏み出そうとしています。また「万博誘致」ともセットに、ゼネコン浪費の大型事業にまたぞろ巨額の税金を注ごうとしています。

 そのかじを切り替える以外に、大阪経済のまともな発展は望めません。(つづく)

維新政治はどこへ (6)

共同の前進のなかで

 「大阪都」構想に審判を下した2015年の住民投票からちょうど3年たった5月17日、「明るい民主大阪府政をつくる会」「大阪市をよくする会」は「大阪市をなくしたらアカン そやね 大阪都構想ストップ! 府民のつどい」を開きました。平松邦夫元大阪市長、中野雅司「大阪市を知り考える市民の会」代表、浅野秀弥「民意の会」代表、中野冬美「あかんカジノ女性アピール」呼びかけ人、中條良一堺市副市長、辰巳孝太郎参院議員らが来賓として出席し、「オール大阪」の力で「住民投票先送りではなく、都構想そのものの断念を」と訴えました。

スクラムを

 来年の統一地方選、参院選、そして大阪府知事・市長ダブル選挙へ、「反維新の共同」の新たなたたかいが開始されています。

 維新が結成され、11年のダブル選挙で橋下徹氏らが「大阪都」「教育基本条例」「職員基本条例」という「3点セット」を掲げ、これまでにない民主主義と地方自治・教育破壊の脅威が浮き彫りになりました。この「異質の危険」を前に、これまで大阪府政・市政で対立してきた自民党、共産党、民進党、社民党、自由党など、維新以外の各党が市民とともにスクラムを組みました。「反維新の共同」の力が15年の住民投票や13年、17年の堺市長選で勝利する原動力になりました。

 昨年の総選挙前の党首テレビ討論で、維新の松井一郎代表は日本共産党の志位和夫委員長に「なぜ大阪では自民党と組むのか」と質問しました。志位さんが「それは大阪の維新政治がひどすぎるからだ」とズバリ述べると、松井氏は二の句を継げませんでした。

 維新の「野党」「改革者」ポーズに対する幻想は、大阪ではなお強いものがあり、「維新か、自民か」の偽りの「対決構図」もふりまかれています。

総力挙げる

 これを打ち破るうえで、国会での維新の姿をより暴露するとともに、大阪でも、日本の政治の対決軸は「自公・補完勢力VS市民と野党の共闘」にあることを徹底して浮き彫りにすることが重要です。そして大阪府・市政で維新政治を終わらせるためには、維新以外のすべての政党と市民が手をつなぐ「反維新の共同」が求められます。

 そこには複雑さもありますが、「維新を助ける安倍政権は許せない」との声が保守層で広がるなど、相乗的に発展する可能性もはらみます。国会でカジノ実施法強行に手を貸した各党の支持層も、多くは「カジノは大阪にいらない」という点では一致します。

 いずれの面でも大阪の日本共産党の政治的組織的影響力の前進がカギを握ります。日本共産党大阪府委員会は、いま取り組んでいる「参議院選挙・統一地方選挙躍進 党勢拡大特別月間」でも、大阪こそ日本共産党の躍進が求められていると党勢拡大に総力を挙げています。

(しんぶん赤旗日刊紙 8月22日(水)付~8月27日(月)付に掲載)

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