政策・提言・声明

2017年07月24日

学ぶ権利奪う 大阪市立3高校統廃合方針
高校再編整備計画は撤回を

 大阪市教育委員会は14日、市立西高校(西区)と南高校(中央区)、扇町総合高校(北区)を統廃合する方針を決めました。扇町総合高校校地に新校を2022年4月に開校する予定です。

 これは、維新政治のもと13年11月に定められた府立高校・大阪市立高校7校程度廃校計画にもとづくものです。高校統廃合計画は、憲法が保障する子どもの学ぶ権利を奪うものであり、撤回すべきです。

教育条件整備を

 統廃合の理由としてあげられているのは、子どもの数の減少です。しかし、当面する府内公立中学校卒業者数の変動は、府内の高校の募集学級数を調整することで十分対応できます。高校を減らす必要はありません。

 生徒が減るときにやるべきは、全国平均(1学年あたり6学級)からみて過大になっている大阪の公立高校・全日制の学校規模(同8学級)を縮小することや、子どもの学力向上で有効な施策である少人数学級・35人学級を高校に広げるなど、教育条件を整備・拡充することです。
一方、市の中心部に位置する西区や中央区などの人口急増地域では、子どもの数が増え、保護者や学校関係者から、小・中学校の教室不足を心配する声が上がっています。学校の新増設を促進することが必要です。

 学校は長い年月をかけて地域社会と深く結びつき、地域での文化的役割を担っています。市立高校の存続・発展は、地域の振興にとっても重要です。とくに西区で西高校がなくなれば、区内の高校がゼロになると危惧されています。

 西高校は1921年に西区の経費で西区商業学校として設立され、48年に学制改革で西商業高校とし、94年に西高校(英語、流通経済、情報科学の各科)と改称、創立96周年です。

 南高校は37年に南高等女学校(5年制)として開校、48年に南高校(3年制普通科)となり、88年に英語科、91年に国語科をそれぞれ設置し、創立80周年です。

 扇町総合高校は23年に扇町商業学校として開校し、48年に扇町商業高校として設立、2001年に扇町総合高校へと校名を変え総合学科を開設し、創立94周年です。

慎重な議論必要

 こうした歴史と伝統をもち、多くの卒業生を送り出し、地域にねざして社会に貢献してきた、大阪の宝ともいうべき高校を統廃合していいのかが厳しく問われます。

 高校の「再編整備」は、生徒や保護者の意見をよく聞き、学校関係者のあいだでの慎重な議論と合意が必要です。教育行政が高校に対して強権的に統廃合を押し付けることは許されません。

 すべての希望する子どもに高校教育を保障するため、府民的討論と共同を広げ、高校を守り発展させる取り組みを進めることが求められます。
              (小林裕和・日本共産党大阪府委員会文教委員会責任者)
                     (「しんぶん赤旗」2017年7月22日付)
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