政策・提言・声明

2013年10月13日

大規模開発推進で府民に負担増 過去の過ち繰り返す都構想

府議会本会議 曽呂利府議が一般質問

 日本共産党の曽呂利邦雄府議は7日の府議会本会議で一般質問し、「大阪都構想」について府が過去に行い失敗した大規模開発事業と同じ過ちを繰り返すことになると厳しく批判しました。

府民と市民にうそをついた

 曽呂利府議は大阪市を5か7の特別区に分割する4案が法定協議会に示されていることについて、「大阪市はつぶしません」などと選挙で示していた松井一郎知事に「府民と大阪市民にうそをついたことにならないか」と質しました。

 松井知事は「私と(大阪)市長が掲げたのはあくまでも役所の再編」などと述べました。  曽呂利府議はかつて府が進めた、りんくうタウン(事業費6058億円)やアジア貿易の拠点として建設されたATC(同1465億円)、WTC(現府咲洲庁舎、同1193億円)など「破綻・失敗した開発が財政悪化の原因」とし、「これらの事業で大阪経済はよくならなかった」と指摘しました。

二重行政だから破綻と強弁

 府と大阪市が描く「グランドデザイン大阪」には、最大で14分しか時間短縮できない鉄道「なにわ筋線」(2500億円)や関空リニア(5400億円)、高速道路淀川左岸線延伸部(3千億~4千億円)などをはじめ、多くの大型開発事業が並びます。

 松井知事は、過去の大型開発について「2元行政、2重行政でやってきたことによって破綻した。現在考えている様々なインフラ整備は都市としてこれから成長していくために必要な事業」と述べました。

 曽呂利府議は「大型開発ではなく防災福祉型の身近な公共事業こそ必要」とし、「成長戦略のカギは中小企業と府民生活関連だ」と強く主張しました。府が補助金を支出している企業では、2012年度までの5年間で正社員とアルバイト・パートの雇用人数は大企業1904人に対し、中小企業は2959人と大きく上回っています。

「労働特区」はもってのほか

 曽呂利府議は「ブラック企業」対策で大阪労働局と連携し実態把握するとともに、経済団体にもその根絶を要請することを求めました。また解雇ルールや労働時間規制の緩和を図る国の「労働特区」について「もってのほかだ」と批判しました。

 松井知事は「ブラック企業に対する指導監督は労働基準行政であり国の役割」との答弁を繰り返しました。

 9月1日に厚労省が実施した無料電話相談には近畿2府4県で200件の相談が寄せられました。相談内容は「賃金不払い残業」53%、長時間労働・過重労働39%、パワハラ15%でした。民青府委員会の実態アンケートには「社長の一声で始業時間がどんどん早くなり、朝5時から夜7時、長い時は9時まで働いている。それでも手取りは月20万円を切る」「『仕事が遅い』と見せしめのように怒られ、人影のないところに呼び出され殴られた」など、青年労働者らから深刻な実態が寄せられています。

 曽呂利府議は府が「大阪維新プログラム(案)」の「次の一手」とする「将来ビジョン大阪」で、「就職ナンバー1」など多くの項目で日本一を目指すとしていることを引き合いに、「若者が安心して働ける日本一を目指すべき」と主張しました。

 認知症の予防・早期発見など対策強化を曽呂利府議は求めました。

特養の補助元に戻すべき

 タッチパネルで認知機能を測定する機器を全市町村に設置することや、国に介護保険制度改悪を撤回するよう求めることを要求しました。

 特別養護老人ホームの待機者はことし4月時点で8690人に上ります。府の建設補助は、30人以上の施設で1床当たり371万円だったものが、橋下・松井府政下で270万円に削減されました。曽呂利府議はその復活を求めました。

 松井知事は「現在の財政状況から困難。高齢者も、将来世代に全てツケを回してまで、自分たちの福祉を充実したいと考えていない方は大勢いる」などと述べました。

 曽呂利府議は「世代間の対立、民間と公務員、制度を受けるものと受けないものなど、府民の中で分断と対立をあおるような議論ではよりよい方向に進まない」と主張しました。

国民皆保険を破壊する特区

 国立循環器病研究センター移転に絡み、混合診療を解禁する特区を府と大阪市が提案していることについて、曽呂利府議は「現在の国民皆保険制度を破壊するもの」として「行うべきではない」と主張しました。

 また府は同センターに、転売や収益目的に使用しないことなどを前提に吹田市内の府有地を売却していますが、用途を指定した契約の期限は17年3月末であり、18年度とされる同センターの移転以降の売却などに府は関与しない姿勢を示しました。

 曽呂利府議は大型開発による環境悪化を心配する近隣住民の声を紹介し、「この問題に府は特区構想を含めて深く関わっている」と指摘し、責任ある対応を求めました。松井知事は「吹田市が判断する」など述べるに留まりました。

(2013年10月13日付「大阪民主新報」より)

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