連載

大阪市廃止=「都」構想 住民投票の焦点

2.暮らしはどうなるのか

 

 住民投票の最大の争点は、くらしをよくするのか、壊すのかです。

サービスは後退

 「都」構想は、大阪市を廃止し、四つの特別区をつくるためコストが少なくとも1300億円(15年分)かかります。基本はすべて特別区の負担です。特別区は、財源がない自治体になり、大阪市が実施してきた特色ある市民サービスの切り捨て、後退は必至です。

 一方、大阪市廃止=「都」構想のためのムダ遣い1300億円をやめ、市民サービスに使えば、市民の願いは実現できます。

 さらに、政令市・大阪市の大きな権限と財源を市民のために使えば、医療、公衆衛生、介護など命と健康を守る施策を充実させることができます。新型コロナで打撃を受けたくらしと経営の立て直しや、今後増える社会保障の増大にも対応できます。くらしをよくし「明日の大阪」への展望が開けます。(表)

府の交付金頼み

 大阪市廃止=「都」構想では、特別区は財源の65%が府に吸い上げられ、財政は府からの交付金頼みとなります。新たな施策を展開したくても、自分でできなくなります。

 東京の特別区からは、東京都からの交付割合が固定化し、社会保障の需要増などの変化に対応しにくく、自治権は極めて制約されるとの指摘がされています。

 また、市町村事務とされている水道や消防なども府の事務になります。水道料金は府が決めます。府内で一番安い大阪市の水道料金を、府内並みにすると府が決めれば、大幅値上げになります。納税や料金は払うけど決定権はない―自治体とは言えない特別区の姿が鮮明です。

 くらしをよくするのか、壊すのか。自治の拡充か、破壊か―争点は鮮明です。

■【「都」構想では】

 大阪市・廃止分割に少なくとも1300億円ものコストがかかり、市民サービスが切り捨て、後退させられる

(例えば)

 18歳までの子ども医療費助成

 メトロ・バスの敬老優待乗車証(敬老パス)

 新婚・子育て世帯向け住宅ローンの利子補助

 塾代助成

■【大阪市のままなら】

 大阪市廃止・分割の費用はないので、新たに市民サービスができる

(例えば)

 子どもの医療費助成の窓口負担ゼロ(必要財源19億円)

 ひとり親家庭の医療費助成窓口負担ゼロ(4億円)

 重度障がい者医療費助成窓口負担ゼロ(13億円)

 30人学級実現(102億円)

 市立大学の授業料半減(16億円)

 介護保険料の17.3%引き下げ(85億円)

 保育士(勤続7年以上)の給与月4万円引き上げ(10億円)

しんぶん赤旗 2020年9月22日付