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防災でも「一点共闘」 命最優先の政治へ 南海トラフ 堤防耐震化が急務 西淀川区で広がる運動

2013年12月28日

 「最悪死者13万人」――府が2013年10月末に公表した「南海トラフ巨大地震」の被害想定(別項)に衝撃が広がりました。大阪市西淀川区では深刻な被害が想定されている地域を中心に防災に向けた住民の自主的な取り組みを始め、日本共産党も辰巳孝太郎参院議員が現地視察に入るなど、災害から住民の命と安全を守る「一点共闘」が広がろうとしています。 「堤防が壊れて水が流れ込み、津波が来たらどこへ逃げたらいいの…」。西淀川区佃3丁目に住む女性(40)は被害想定のニュースを見て不安に駆られました。佃地域活動協議会(地活協)が2013年12月21日夜に開いた防災講演会(別項)にも9歳の娘と参加し、「地震や津波についてあらためて勉強できた。正しい情報を知ることがまず大切」と話します。

 約1万6千人が住む佃地域は、兵庫県尼崎市との県境である左門殿川と神崎川に囲まれた中洲。堤防に囲まれた海抜ゼロb地帯で、マンションや市営住宅、民家、工場が混在し、小学校3校、中学校1校があります。想定では地震直後に液状化で堤防が沈下・倒壊し、津波が到達する前に浸水が始まります。

被害想定で新たな問題浮き彫り

 日本共産党の北山良三市議は「今までは、津波が来るまでにいかに避難するかが課題でしたが、今回の想定で新たに堤防崩壊の問題が浮き彫りになった」と指摘。約90`bに渡って液状化が生じる堤防の中で緊急対策が求められる約9`bのうち、7・9`bは左門殿川、神崎川の関連です。
 府は堤防の液状化対策などで40億円の補正予算を計上。府議会決算委員会(11月)での日本共産党の宮原威議員の質問に、府は年度内に対策をまとめると答弁。一方、約9`b全体の耐震化には300億円かかるとされており、「耐震化は急務。管轄する府はもちろん、震災対策で国、市も含めて予算化することが求められる」と北山議員は言います。

日本共産党が現地調査

 臨時国会閉会後の12月12日、日本共産党の辰巳孝太郎参院議員(国土交通委員)が、佃地域の防潮鉄扉や淀川右岸の堤防などを現地視察。国交省近畿地方整備局や府、市の担当部局などが案内し、佃地活協の平田房夫会長(佃連合振興町会会長)ら連合町会役員も合流しました。
 佃地域で生まれ育った辰巳議員。「大阪での被害想定が出たことで防災対策への住民意識も高まっている。『国土強靭化』の名で無駄な大型開発を進めるのではなく、国民の命と財産を守ることを最優先にすべき。国が率先して予算を立てるよう求めたい」と語りました。

「逃げ惑う街」にさせぬよう全力

 視察に同行した同党西淀川区府政対策委員長の石井美鈴さんは、東日本大震災直後の11年5月に救援ボランティアで岩手県陸前高田市に行き、津波に襲われた街の惨状に「声も出なかった」と振り返ります。11月には日本共産党府議団が主催した津波・高潮ステーション(大阪市西区)の見学会に参加。その後、さっそく後援会員ら20人と一緒に再訪しました。
 被害想定が出て、「逆に、ハード面の整備の遅れなど課題がはっきりした」と語る石井さん。「区民の皆さんとの対話でも防災について質問や意見が寄せられ、辰巳議員を国会に送り出したこともあり、日本共産党への期待の高まりを実感します。西淀川区を災害時に『逃げ惑う街』にさせないために、私も全力を挙げます」と話します。

防災講演会を開催――佃地域

 佃地活協の防災救助部は12月21日の防災講演会に向け、案内チラシを地域内の約6600世帯に全戸配布。会場の佃西小学校には、高齢者から子ども連れのお母さんまで約700人が詰め掛け、超満員となりました。

 開会あいさつした地活協の平田代表は「自然災害は人間の知恵で止めることはできないが、みんなで勉強し、語り合い、防災の取り組みを」と呼び掛け。大阪市危機管理室の担当者が地震や津波が発生するメカニズム、災害時の緊急対応の方法などを説明しました。  地元選出市議を代表して日本共産党の北山議員は、「南海トラフ巨大地震の対策では、何党も関係ありません。地域の皆さんと力を合わせ、命を守れる状況をつくりたい」と強調しました。

死者13万人余に
南海トラフ巨大地震.府の被害想定

 府が2013年10月末に公表した「南海トラフ巨大地震」の人的・物的被害の想定では、冬の午後6時に、住民の3割が津波が来るまで避難しないなど最悪のケースである「低避難率」の場合、大阪湾岸部を中心に13万3891人が死亡。同じ時刻でも浸水域にいる住民100%が5〜10分以内に避難を開始する「迅速避難」の場合は、8806人に激減するとしています。
 西淀川区では冬の午後6時の「低避難率」の場合、1万9725人が死亡(うち1万2978人は堤防崩壊に伴う浸水による死者)。同じ時刻の「迅速避難」でも、堤防崩壊に伴う浸水による死者が5665人(大阪市全体の72%)に上り、同区では堤防の耐震化などが急務となっています。(2013年12月29日・2014年1月5日合併号「大阪民主新報」より)

投稿者 jcposaka : 2013年12月28日

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