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泉北高速の外資売却案否決 住民・行政も「白紙撤回」を 府議会 維新が過半数割れに

2013年12月22日

 泉北高速鉄道などを運営する府の第3セクター・大阪都市開発(OTK)の民営化議案が16日の府議会で否決され、外資系企業への売却計画が白紙に戻りました。賛成を決めていた大阪維新の会府議団から4人が反対。結党以来初めてのことで、同府議団は同日、造反議員の除名を決め、府議会の過半数を割ることに。府民の財産を売り払い不要不急な大型開発に投じる大阪都構想がつまずきました。

維新政治にノー

 議案には維新とみんなの党が賛成し、日本共産党や自民、公明、民主などが反対。本会議前の都市住宅常任委員会で、堺市南区選出の維新府議が反対に回り、議案は否決。記名投票となった本会議でも維新4人が反対し、反対が53票と賛成51票を上回りました。
 OTKは府保有の株を含めた売却・民営化方針が、橋下徹前知事時代に立てられ、松井一郎知事は売却益を「遅れ続けている都市インフラの再構築」に投じると説明。堺、和泉両市にはない4路線の整備に充てることなどを示していました。
 売却先を決める公募で、外資の投資ファンド・ローンスターが781億円を提示。次点の南海電鉄は720億円でした。しかし民営化に伴う乗り継ぎ運賃の値下げ幅でロ社は10円、南海は80円を提案していました。
 これに対し堺市議会では、選定の白紙撤回を求める決議、和泉市議会も運賃の大幅値下げを求める決議を可決。通学定期が高額に上る沿線3大学や堺市自治連合協議会などからも要望が出され、竹山修身堺市長は13日の松井知事との会談で「鉄道という公共的公益的施設については、安心安全、継続的にできる企業が望ましい」とし、議会での慎重審議などを求めていました。
 泉北高速の初乗り運賃は1971年の運行開始時は北大阪急行と同額の30円でしたが、80年代以降、2倍の開きが生じました。

1381億円利益を他事業損失に補填

 背景として、日本共産党の宮原威府議は13日の総務常任委員会で、泉北ニュータウンの開発で得た利益1381億円は失敗したりんくうタウンや阪南スカイタウン、二色の浜など大型開発の損失補填に充てられ、泉北のまちづくりに使われなかったと指摘。泉北高速の発展に貢献してきた地域住民の願いを汲み取るべきと松井知事に主張しました。
 また売却先のロ社関連会社が過去に東京国税局から約140億円の申告漏れを指摘されていたことを示し、売却先選定を白紙に戻し調査からやり直すべきと主張しました。
 同党の堀田文一府議は同日の都市住宅常任委員会で、売却先公募で各社の利便性向上提案に比べ、売却価格の提示を過大に評価したと指摘。都市インフラ整備に充てるとされる売却益についても、「まず泉北ニュータウンのために使うべきだ」と指摘しました。
 議会後、松井知事(大阪維新幹事長)は白紙に戻ったOTKの今後について「公募するかしないかも含めて考えたい」と表明。過半数割れについては「府政運営は厳しくなる。大阪都構想は公明党との協議、同意が必要になる」との認識を示しました。

通行人「良かった」「否決当然」

 府議会否決の翌17日、日本共産党が泉ヶ丘駅で行った宣伝では通行人から、「否決で良かった。年金生活でも気軽に出掛けられるような運賃にしてほしい」(81歳女性)、「否決は当然」(66歳女性)、「投資ファンドに売られなくて本当に良かった」(77歳男性)などの声が寄せられました。

2週間で3千超

 泉北ニュータウンなどで、売却の白紙撤回を求める住民運動が急速に広がり、府議会採決の16日までの2週間で3千筆を超す請願署名が集まりました。
 住みよい堺市をつくる会南地域連絡会は15日に緊急集会を開催。集会後、泉北高速鉄道泉ヶ丘駅で行われた署名宣伝にも列ができました。
 中区在住の75歳の女性は「維新の会を応援してきたけれど、こんなことしてたらあかん」と言い、ビラに書かれた維新議員に電話をかけ反対の意思を伝えると話していました。最寄り駅が光明池駅という24歳の女性は「売却しても府の借金の穴埋めに回ると聞いた。強引なやり方に怒りがわいてきます」と語りました。
 ゼロ歳から9歳の子ども5人の母親(27)は、「泉北高速は買い物など頻繁に利用しますが、運賃が高く切実です。少子化が問題というなら利用者の利益を考えてほしい」と憤っていました。

地域の財産はじっくり議論して

 15日の緊急集会で講演した中山徹奈良女子大学教授は、泉北ニュータウンは独立採算で街づくりが進められ、泉北高速の財産形成は、歴史的に見てそこの土地を買い、鉄道などを利用してきた住民によるものと説明。松井知事の「府民全体の利益が優先」という主張には妥当性がないことを明らかにし、地域との関わりでじっくり議論する必要性を述べました。


住民運動と議会論戦で否決に
維新政治と府民の矛盾広がる
日本共産党 宮原府議団長・山口府委員長が談話

 日本共産党の宮原威府議団長は「泉北ニュータウン住民の運動と府議会の論戦が、不当な大阪都市開発売却案を否決に追い込んだ」とのコメントを発表。「橋下流政治や『大阪都』構想の行方にも大きな影響を与える歴史的な可能性を含んでいる」としています。
 同党の山口勝利府委員長は、「府民の良識が『維新政治』の暴走を打ち破った勝利。『維新の会』にとって、売却案否決は、参院選、堺、岸和田市長選での敗北に続く打撃となるもの。背景には、『大阪都』構想推進など、『維新政治』と府民との矛盾がいよいよ大きく広がっていることがある。『大阪都ストップ・維新政治打破』の旗を大きく掲げ、一点で共同しうるすべての団体・個人の皆さんと力を合わせ、府民の暮らしと自治を守り、発展させるために全力を尽くす」とのコメントを発表しました。(2013年12月22日付「大阪民主新報」より)

投稿者 jcposaka : 2013年12月22日

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