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竹山氏圧勝の堺市長選を振り返る 草の根から広がった「堺は一つ」

2013年10月05日

 大阪都構想の是非が最大の争点となった堺市長選。現職の竹山修身氏が維新の西林克敏氏を破り、再選を決めました。市民の共同が大きく広がった堺市長選を振り返ります。(小西進記者)

竹山氏を支えた市民の思い

 堺市長選で市民共同の合い言葉となった「堺は一つ」。それは選挙目当てに生まれたものではありません。初めて竹山修身市長を取材したのは昨年2月。「大阪都」構想への不参加を表明した竹山氏が、本紙の単独インタビューに応じたのです。

 竹山氏は堺市を廃止・分割する「大阪都」構想は「堺市民の民意ではない」ときっぱり語り、「政令市である堺市の統治制度について堺市民自身が判断でき、市民の大半が『こういうふうに変えていこう』と合意していなければなりません」と強調しました。  当時、橋下・維新の会は前年秋の「ダブル選」に勝利して国政進出へ動き出し、「橋下総理待望」論も出るなど、絶頂期を迎えていました。2009年の市長選で橋下知事(当時)の応援を受けて当選した竹山氏が下した「不参加」の決断を支えたものは何か。  インタビューで竹山氏は、初当選以来のモットーである「市民目線」「現場主義」を実践し、地域に出掛けて各界の市民と交流してきたと述べ、「そこで強く感じるのは、堺の歴史と伝統を大事にしよう、わが街・堺に誇りを持とうという市民の皆さんの思いです」と話しました。堺に生まれ育った竹山氏自身の熱い決意を感じずにはいられませんでした。

自治の実践と探究積み重ね

 堺市ではこれまでも、堺市職員労働組合(市職労)による自治体白書づくりなど、「市民が主人公」の市政を目指す実践が続けられてきました。
 橋下・維新の会が「大阪都」構想を打ち出す中、市職労を中心に「『大阪都構想』から堺市を守る自由と自治・堺の会」が「大阪都」構想に反対する市民アピール賛同運動を展開。自治会長や保守層も含めた多彩なパネリストを迎えた市民シンポジウムを全行政区で開き、その蓄積も踏まえて政策提言「堺市ビジョン2013」をまとめました。
 竹山氏は7月末の事務所開きで「『都』構想ノー」を示すには「広範な政党、団体、市民の固い絆が必要」と力説しましたが、今回の市長選で広がった新しい市民共同は、草の根からの粘り強い取り組みが合流したものです。
 「住みよい堺市をつくる会」は選挙結果を受けた声明で、維新の会の西林克敏氏に投じられた14万余票について、「いまの政治や経済に不満を持ち『何とか現状を変えてほしい』という市民の気持ちの表れ」だと指摘。市民共同の発展と政令市・堺の自治の発展、要求実現へ力を尽くすと表明しています。

大きな誤報と居直り続ける

 惨敗した橋下・維新の会。9月29日夜、敗戦の弁を述べた橋下代表は、第1に「竹山市政が評価された」と認めざるを得ませんでした。その一方で「第2に僕に対する反発、第3に『都』構想に対する大きな誤報が堺市民に広がった」と発言。「『都』構想で堺はなくならないと伝える活動が不足していた」などと語りました。
 どんなに言い訳をしても、堺市をなくすのが「大阪都」構想です。「大都市地域における特別区設置に関する法律」は「道府県の区域内において関係市町村を廃止」(第1条)と明記。橋下氏は「(争点は)『都』構想の是非ではなくて、法定協議会に入るかどうかだった」「協議会に入れば『堺がなくなる』ことはうそ八百だとすぐ分かる」とも言いましたが、法定協議会の目的は特別区の設置=堺市の廃止そのものです。
 まず堺市で下った「『大阪都』構想ノー」の審判。橋下氏は「大阪市長選は僕が通った」「大阪市で説明する時間は十分だ」と語りましたが、とんでもありません。8月に公表された特別区設置のための制度設計案は、「大阪都」構想の矛盾や行き詰まりを示すものです。

破綻浮き彫りの大阪都構想

 「府市再編」の「削減効果」として示された976億円のうち、約700億円は地下鉄民営化(275億円)、市民施策削減(237億円)など「大阪都」構想と無関係のもの。2千億円以上といわれる特別区設置の初期費用を640億円と低く見せかけています。
 9月の法定協議会では「特別区は裁量経費も少なく、財産格差が生まれ、自前の庁舎もない。『大阪都』構想で自立的な自治体は大阪市域から消えてしまう」(日本共産党の山中智子議員)など、各会派から批判や疑問が噴出しています。議論すればするほど破綻が浮き彫りになる「大阪都」構想を、「あとは住民投票だ」(橋下氏)などと強行するのは許せません。

投稿者 jcposaka : 2013年10月05日

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