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「いじめ」「体罰」 解決の道探る忘れ物で1時間正座$[刻な実態も 教職員も心身ともに疲れきっている 日本共産党が懇談会

2013年04月14日

提案「『いじめ』のない学校と社会を」
子ども守るため府民的な議論を

 日本共産党府委員会が6日、大阪市中央区内で「『いじめ』・『体罰』をなくすために――子どもと教育を語り合う懇談会」を開きました。日本共産党書記局長代行で同党の「いじめ」問題対策チーム責任者の山下よしき参院議員が、同党の提案「『いじめ』のない学校と社会を」(12年11月)に基づいて報告。参加者からは、提案を歓迎する声と同時に、大阪の子どもたちや教育現場の深刻な実態に触れた発言も相次ぎ、「こんな懇談会を地域で開きたい」「子どもを守るために粘り強く府民的討論を広げよう」などの感想が寄せられました。
(6面に山下氏の報告大要を掲載)

日常生活に暴力

 民青同盟府常任委員で高校生を担当している酒巻真世さんは、学校で教科書を隠されるなどの「いじめ」や、忘れ物をして1時間正座させられた事例、校則で男女交際を禁止する学校もあることを紹介。
 「実態アンケートを基に府教委にも要請したい。テレビ番組や学校、家庭など日常生活に暴力があふれ、高校生は『これはおかしい』と考えている。そんな思いや願いを出し合える場をつくり、高校生と一緒に解決していきたい」と語りました。

根深い体罰問題

 ある女性は、中学生の息子が野球部の活動の中で受けた体罰について発言しました。
 スパイクで蹴られた息子が、「(殴った)先輩が公式戦に出られなくなるかも知れないから、学校には言わないで」と訴えたことや、口の中が切れるほど殴られたときも「俺よりも殴られているやつがいっぱいいる」と話したと報告。「『(野球が)強い学校はどこでも殴っている』と、殴ることを望む保護者もいることが、体罰の温床になっている。問題は根深い」と訴えました。

保健室に教師も

 元中学校養護教諭の女性は「保健室には子どもたちだけでなく、教師もやって来る。教職員が長時間過密労働に追い込まれ、数値目標で競争に駆り立てられて、心身ともに疲れ切っている」と実情を訴え。日本共産党が提案で、教員の「多忙化」の解消や養護教諭の複数配置基準を「800名以上」から「500名以上」にして増員を図ると打ち出していることに、「本当にうれしい」と話しました。

格差社会の克服へ

軍国主義の悪習

 この他、大阪教職員組合の田中康寛委員長が、大阪の教育現場では25年間にわたり「いじめ」や体罰を乗り越える実践が積み重ねられていると述べ、「管理教育の強化ではなく、生徒の自治を大切にすることで子どもは変わっていく」と力説。関西大学名誉教授の鰺坂真さんが、「戦前の軍国主義以来の悪習である体罰を一掃し、憲法を守り、民主主義を発展させよう」と呼び掛け。日本共産党の地方議員が各自治体や議会での取り組みを発言。たつみコータロー参院大阪選挙区候補があいさつしました。

草の根から声を

 討論を受けて山下氏は、寄せられた意見や大阪での実践を基に、提案を充実し、問題解決への発信を強めたいと発言。「問題の根本にある競争教育と格差社会を克服したい。子どもたちのことを話し合う場を地域でつくることが、『いじめ』や『体罰』のない社会をつくることにつながる。全国に2万の党支部という草の根の組織を持つ日本共産党の出番」と結びました。
 懇談会に参加した教員志望の女性は、「いじめや体罰にどう対応したらいいのかを知りたくて参加しました。どちらもしてはいけないと分かっていても、具体的にどうするのか。一言では言えないけれど、いまの道徳教育は本当に生徒の心を育てるものにはなっていないと思った。引き続き学んでいきたい」と話していました。

「いじめ」をどう解決するかが大事
大阪経済法科大学教授 丹羽徹氏
子どもの声を生かすことが不可欠
元大阪教育大学助教授 石井郁子氏
教育関係者が問題提起

社会の歪み原因

 憲法・教育法を研究している大阪経済法科大学の丹羽徹教授は、どんな社会でも人間関係の中で「いじめ」は生まれるが、それをどう解決するかだと強調。「いじめ」と「体罰」には密接な関係があり、社会の歪みが大きな原因になっていると述べました。
 さらに成績向上などの「結果」を出すことを強要する「数値目標」が教育現場にも持ち込まれていることに触れ、「成果を出すためには競争になる。短期的な目標に合わせて教育される子どもたちは教育の材料≠ノ過ぎなくなる」と警告しました。

生きづらさ反映

 日本共産党元衆院議員で元大阪教育大学助教授の石井郁子さんは、日本政府が子どもの権利条約を批准しながら順守せず、国連から3回も勧告を受ける一方、世界では子どもの意見を政策決定に反映させる流れが広がっていると指摘しました。
 石井さんは「子どもの声を取り上げて生かすことが『いじめ』・体罰問題の解決に不可欠。子どもの生きづらさは、大人が抱えている生きづらさでもある。社会のあり方そのものを議論して共有することで、子どもたちと親、教職員が前を向いて歩んでいくことができる」と問題提起しました。
(2013年4月14日付「大阪民主新報」より)


投稿者 jcposaka : 2013年04月14日

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