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ダブル選から1年 橋下・「維新の会」が語る実績

2012年12月02日

 昨年11月27日に府知事・大阪市長のダブル選が行われ、橋下徹大阪市長の就任(昨年12月19日)から間もなく1年になります。この間、橋下氏は「大阪都構想」実現に突き進む一方、国政進出へ日本維新の会を結成。テレビ討論や街頭演説で「知事と市長の両方をやったのは日本で僕だけ」と語り、松井一郎知事などと共に、大阪での「実績」を盛んに宣伝していますが、橋下氏や維新の会が大阪でやってきたこと・やろうとしていることは何でしょうか。

「大阪都構想」で景気回復?
大阪市解体、破綻した「呼び込み開発」を推進

 橋下・「維新の会」は昨年のダブル選で、「大阪都構想」で「成長戦略」を実行し、「大阪経済を活性化させ、景気、雇用を伸ばします」と宣伝しました。
 ことし8月末の国会で、「大阪都構想」を後押しする大都市地域特別区設置法が民自公各党などの賛成で可決・成立。11月には大阪市の公募区長プロジェクトチームが24行政区を5ないし7の特別区に再編する案を公表しました。
 橋下市長や松井知事は区割りや財政調整を協議する法定協議会の設置を急いでいますが、「大阪都構想」の狙いは大阪市の権限・財源を「都」に吸い上げ、淀川左岸線延伸部や関空リニアなどの巨大開発を進めることにあります。
 松井知事は府議会で咲洲など「国際総合戦略特区」への進出企業に法人税を5年間ゼロにする条例を制定したことを「成果」と強調。「大阪にどんどん人、企業が入ってくる。働く場所をつくり、消費に回してもらい、景気回復できる」(11月19日、難波・騠島屋前)と演説しましたが、こうした「呼び込み型開発」に見通しがないことは府のりんくうタウン、WTCビルなど大阪市のベイエリア開発の破たんからも明らか。大企業優遇の一方で維新の会は国民生活や中小企業に深刻な影響をもたらす「消費税の地方税化」「税率11%」などを掲げています。

無駄なくす「府市統合本部」?
市民の財産売り飛ばし福祉の切り捨てを強行

 昨年12月に設置され、橋下市長らが「司令塔」と位置付ける「府市統合本部」。松井知事が本部長、橋下市長が副本部長で、両首長が任命した特別顧問らで府市政の重要問題を決定。橋下市長らは「バーチャル(仮想)大阪都」と呼びますが、法律や条例の裏付も、対応する議会もない地方自治と民主主義をじゅうりんする仕組みです。
 松井知事は11月19日、難波・騠島屋前での街頭演説で「大阪府と大阪市の二重行政を一から見直し、税金の無駄遣いを全て変えていく方向で進んでいる」と自慢しましたが、実際は住吉市民病院を廃止して府立急性期・総合医療センターに統合する計画など、「機能強化」(松井知事)どころか、住民施策の切り捨て。同病院の地元・住之江区では、廃止反対の署名が有権者過半数に達するなど、橋下・「維新の会」の暴走を許さない共同が広がっています。
 黒字の大阪市営地下鉄は民営化する一方、採算のとれない市営バス路線や赤バスの廃止を計画。橋下市長はダブル選で「敬老パスはなくしません」(維新の会法定ビラ)と公約しながら、有料化を打ち出し、この間の全国遊説でも「(高齢者が無料なのは)とんでもない」などと叫んでいます。橋下市長の「市政改革プラン」では敬老パス有料化はじめ市民サービスを今後3年間で395億円削減しようとしています。

公務員の意識を変えた?
言いなりになる職員づくり、恐怖政治全国へ

 橋下・「維新の会」が大阪府議会と大阪市議会で強行した教育関係条例、「職員基本条例」の基本的な内容を決めたのも「府市統合本部」。教育関係条例や、3年連続で定員割れの府立高校の統廃合、大阪市立小中学校の序列化や統廃合につながる「学校選択制」の導入など、行き過ぎた競走教育をさらに進めるものです。
 橋下市長は今年度の新規採用職員の発令式で「皆さん(公務員)は国民に対して命令する立場」と発言。市議会でも「職員は市民の顔色でなく、市長の顔色を見て仕事をするのが当然」と答弁しています。
 松井知事は難波・騠島屋前での街頭演説で「職員基本条例」を実績≠ノ挙げ、「役人の意識を変えた」「2年連続で最低評価になり、直らない職員はやめてもらう」と述べましたが、憲法で「全体の奉仕者」と定められた公務員を、住民施策切り捨てなど自らの言いなりになる職員にする狙いがあります。
 橋下市長が「業務命令」で全職員に強制した「思想調査」は、憲法が保障する思想・良心の自由や政治活動の自由を踏みにじるもの。各界からの抗議や日本共産党の追及で回収データは廃棄されましたが、橋下市長は「問題ない」と居直り、謝罪もしていません。そればかりか維新の会は「大阪府・市の公務員制度改革を国に広げる」(維新八策)と掲げています。

定数削減で自ら身を切る?
民意切り捨て、企業献金や政党助成受け取る

 橋下氏は「消費税5%上げても社会保障はもたない。保険料引き上げ、給付見直し、厳しいことを言わないと日本は立ち行かない」(11月21日、京阪寝屋川市駅前)と叫び、松井知事は「まずは自らが身を切ることをしっかりやる。それをやってお願いすべきはお願いする」(11月19日、難波・騠島屋前)などと主張しています。
 松井知事が「身を切る」例として挙げるのは維新の会が府議会で昨年6月に強行した定数削減。現行109を88に2割カットするものですが、定数1の小選挙区が33から48に拡大し、昨年の府議選の結果を当てはめると約4割が議席に結び付かない「死票」になるなど、民意切り捨てが本質です。
 国民の税金を各党が山分けする憲法違反の政党助成金(320億円)。日本共産党は一貫して受け取りを拒否してきました。「身を切る」と言うなら廃止を主張すべきですが、維新の会は「3割削減」を掲げるだけです。
 維新八策では「企業・団体献金の禁止」を掲げてはいましたが、「形を替えた企業献金」と批判されている政治資金パーティーの開催は容認。しかも太陽の党との合流に当たり、橋下氏は一転して「一定の上限を設けて企業・団体献金を認める」と公言(11月20日)。「第三極」の野合のでたらめぶりが、ここにも現れています。
(2012年12月2日付「大阪民主新報」より)

投稿者 jcposaka : 2012年12月02日

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