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橋下市政 市営バス路線の半分バッサリ 「初めて聞いた」市民困惑 方針撤回へ行動開始

2012年10月06日

 橋下市政は赤バスを含む現行132系統の市営バスについて、70系統は採算が取れないとして基本的に廃止。残る62系統は、採算性の見込みがある「事業性のある路線」として、当面存続するものの将来は民間に譲渡する方針を打ち出しました。利用する市民からは困惑と不安の声が上がっています。
 廃止対象の70系統のうち、一般市バス41系統の廃止時期については、「府市統合本部」がことし6月に「13年3月末廃止」としていましたが、区長との協議が進んでいないなどとして「14年3月末」に1年間延期。「暫定運行」の間に、「府市統合本部」が示す代替の運行ルートなどを基に、最終的には区長が判断するとしています。
 赤バス29系統のうち26系統は予定通り来年3月末で廃止する方針。残る3系統は一般市バスとし、運賃を現行100円から200円に引き上げ、14年3月末で廃止する方針です。
(3面に廃止対象のバス系統と主な路線の一覧表を掲載)


西淀川
食料品の買い出しにもバス
陸の孤島になりかねない

 大阪市西淀川区の阪神出来島駅前で、市営バスを待つ高齢の女性。数年前に脳梗塞を患い、月に数度、佃にある千舟病院へ通います。通院で利用するバス路線が廃止されるかもしれないと聞くと、「タクシーがあるから大丈夫」と言いながら、しばらくして「でも、いつもたくさんの人が乗っているのに。困る」とつぶやきました。バスが来ると、女性はゆっくりと立ち上がり、手すりにつかまりながら乗り込みました。
 バスの利用客は高齢者や子ども連れ、若いカップルもいました。「本当ですか?初めて聞いた」「えっ!なくなるのは赤バスだけでしょう」―。日常の足である市営バスの廃止方針は、ほとんど知られていません。

車がなければバスしかない

 同区は淀川を流れた土石が堆積してできたといわれます。「御幣(みて)島」や「姫島」などの地名は、この地がいくつもの島であった名残りとされています。
 中島地域へは、阪神出来島駅から出来島大橋を渡らなければ行けません。市営住宅も小学校もありますが、買い物ができるのはコンビニエンスストア1軒のみ。日常的な食料品の買い出しなどにも、1時間に2本程度しかない市営バスが利用されています。
 中島から孫(3)を連れて出来島駅前のスーパーまで、翌日の運動会の弁当の食材を買いに来た女性(66)は、「1人のときは歩くけど、小さな子が一緒なのでバスで来ました」と言います。息子夫婦は仕事と地域の祭の準備で家を空け、女性が子守りも兼ねて外出。「バスがなくなると高齢者は大変。家族が車を出してくれるときはいいけれど」と、不安な表情を浮かべました。
 中島に住む長谷川弘さん(73)は、「この年になって初めてバスのありがたみが分かった」と話します。定年退職後に請われてビル清掃のアルバイトをしています。吹田市内への通勤には、市営バスで阪神出来島駅へ。尼崎を経由して大阪へ出て、市営地下鉄御堂筋線で江坂駅に向かいます。
 ことしの始めまでは、駅まで15分掛けて歩いていました。しかし足を痛め、途中にある出来島大橋のスロープを上がるのがつらくなり、バスに乗るようになりました。
 「誰もがいつかはつえを必要とする日が来る。(バス路線廃止は)これまで日本を支えてきた高齢者の足を奪う。橋下(大阪市長)さんを支持していたが、もうやめた。彼はもっと地に足のついた行政をしなければならない」
 中州状の佃地域は阪神千舟駅がありますが、区役所など区内へはバスを利用する住民が多くいます。この地域を通る赤バスと市営バスも、両方が廃止の対象です。
 佃で赤バスを降りた女性(70)は、区内の大型スーパーへ行き、区役所に寄って帰るのに赤バスを利用しています。「税金もきちんと払っているのに、廃止は納得できない」

此花
大阪市をよくする会此花連絡会が行動
ビラで知らせて世論広げ

 同市此花区ではバス路線10路線中、赤バスを含む5路線が廃止の対象となっています。
 「大阪市をよくする会此花連絡会」は、路線廃止の詳細を知らせるビラを、9月27日から30日までの4日間で3万枚、全戸配布。10月1日には、区内にある大阪駅方面行きのバス停17カ所でいっせいに宣伝し、436枚のビラを配布しました。「もう決まっているのか」と質問する女性客には、「これから議会論戦になる」と伝えて署名を訴えました。
 全戸ビラで廃止方針を知っていた利用客も多くいました。手押し車を押し、病院へ向かう利用客は「なくなると困る」と話しました。
 連絡会は3日にも舞洲方面行きのバス停で宣伝。今後も赤バスの停留所での宣伝を計画しています。

病院へも学校へも行けない

 日本共産党の瀬戸一正衆院大阪5区候補(前大阪市議)は、バス路線廃止に掛かる区内4カ所で集いを開開催。赤バスが来年4月に廃止される春日出南地域では9人が参加し、「病院へ行けなくなる」「区長へ要請を」などの声が出ました。
 桜島地域では26人が参加。地域の小中学生は2〜3`b離れた学校への通学に、バスを利用しています。ところが、バス路線廃止後の代替案を府市統合本部は示していません。
 ビラを見て廃止を知った参加者は、「インターネットで情報を探したが、府市統合本部のサイトにはあっても市交通局のサイトにはない。市民に知らせずに決めるのは許せない。これが橋下流なのか」と憤りました。
 「当面存続」とされた酉島地域の集いには16人が参加。「黒字にして民間に売るといわれるが、黒字にならなかったら廃止されるのではないか」、「民間に売られたら路線や本数が減らされたり、料金が値上げされるかもしれない」など不安の声が出されました。
 西九条地域の集いには8人が参加し、それぞれの地域で、署名や運動に力を入れる決意を固めました。

移動の自由保障せよ
実施させない運動 市民と共に
日本共産党 北山良三市議団長

 市営交通は、市のどの地域に住んでいる人にも移動の自由を保障するのが本来の役割です。今回の方針はその役割を放棄するもの。高齢者や障害者をはじめとする市民全体の暮らしに大きな障害をもたらすだけでなく、町の活力低下にもつながります。
 日本共産党市議団として、これを実施させないために、市民の皆さんと一緒になって頑張ります。
(2012年10月7日付「大阪民主新報」)

投稿者 jcposaka : 2012年10月06日

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