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消費税増税、中止させるたたかいを 総選挙で信を問え 日本共産党 宮本岳志衆院議員に聞く

2012年08月25日

 「消費税増税反対」「増税する前に信を問え」の国民世論に背を向け、10日、参議院で民主・自民・公明の3党が強行採決した消費税増税法案。日本共産党の宮本岳志衆院議員に、この間の国会でのたたかいと今後の展望などについて話を聞きました。

尽くされていない審議

 税と社会保障の「一体改革」法案は、特別委員会が4月26日に設置され、6月26日に衆院で可決されました。2カ月間の総審議時間は129時間でした。
 法案を通した側は、戦後2番目に長い審議時間で、審議を尽くしたと言います。日米安保条約の批准が議論された1960年の安保国会が136時間、沖縄返還が議論された1971年の沖縄国会が126時間ですから、確かに戦後第2の長時間に渡る議論をしたことになります。
 しかし審議を尽くしたというのはまったくのでたらめで、中央公聴会と同時並行で民主・自民・公明3党による密室談合で3党合意ができ、修正案が作られて以降は、わずか2日半、十数時間の審議だけで衆議院で採決されたわけです。つまり129時間のうちの100時間以上は、今回成立した法律とは別の、元の政府案を議論したのであって、審議を尽くしたとは到底言えません。
 中央公聴会と並行しての密室協議も、一方で政府案への意見を国民から聞きながら、その一方でそれとは別物に作り替える相談を3党でやるという、ひどいやり方でした。

3党修正で政府案さらに改悪

 税と社会保障の「一体改革」は、消費税も増税し、社会保障も年金は切り下げ、医療の窓口負担は引き上げ、保育の公的責任を投げ捨てるというもので、社会保障と税の一体改悪じゃないかと私たちは厳しく批判してきました。
 政府案では、消費税だけを上げるのでは国民は納得しないだろうということで、大金持ちの所得税増税や、大資産家の相続税の増税なども抱き合わせになっていました。ところが3党による修正の過程で、大金持ちや大資産家の増税は削られ、結局、庶民大増税だけが残りました。
 社会保障はどうかというと、最低保障年金とか後期高齢者医療制度の廃止など、民主党が3年前の総選挙で約束したことの残り香ぐらいは政府案にありましたが、その香りまで全部取り下げられ、自民党が新しく作った社会保障破壊法ともいうべき新法が付け加わって出てきました。
 社会保障制度改革推進法は、法案提案者がわが党の質問に対し、「この法律には自民党の哲学が貫かれている」と答えるぐらい、自民党が作った法案を民主党が丸のみしたものです。その中身は、健康で文化的な最低限度の生活を国が保障するという憲法25条の原則を投げ捨て、これからの社会保障は国民の自立自助で行い、困ったら国民同士で助け合え、それでも駄目なら国に言ってきてもいいが、国にやってほしかったら消費税を10%どころか、さらに引き上げても、文句を言うなという仕組みになっているわけです。

民自公の暴挙と7党の不信任案

 3党修正案については、参議院での論戦が一番の中心舞台になりました。参議院でも日本共産党の果たした役割は非常に大きいものでした。
 衆議院での論戦で、安住財務大臣などは繰り返し、社会保障にしか増税分は使わないと言っていましたが、増税分を社会保障に充てる分、もとの税金が7兆円も浮くこと。それは結局、無駄な公共事業などに使われることになると追及し、政府も認めざるを得ませんでした。ところが3党合意で付け加えられた附則18条2項には、社会保障目的どころか、経済成長のためや事前防災と称する公共事業に堂々と使えるという大穴が開けられたのです。これも山下芳生参議院議員の論戦で明らかになりました。
 こういうものまで忍び込ませて民自公3党で衆議院も参議院も押し切ったことは、暴挙以外の何ものでもありません。
 3年前の総選挙での公約を民主党は変更して消費税の増税をやるというのなら、その前に国民の信を問うのは当然のことです。自民・公明両党も、この間一貫して民主党の消費税増税案を公約違反だと批判してきたのです。
 ところが3党修正合意後は、自公両党は手のひらを返したように、公約違反をけしかける立場に変わり、いわば公約違反政治の共犯者になったわけです。
 とても国民の納得を得られるものではありません。そこでわが党が呼び掛けて、採決前に内閣不信任案を提出し、可決させて解散・総選挙を勝ち取り、消費税増税法案を廃案に追い込むとともに、国民の信を問わせようという立場で話し合いを進め、最後には衆議院で野党6会派による内閣不信任案提出という大きなたたかいになりました。

48議席分の仕事をした共産党

 衆議院では、日本共産党は480議席のうち9で、50分の1程度の議席です。しかし今回の審議時間129時間のうち、わが党は、私も含めて約13時間もの質問を行いましたから、これは総審議時間の1割。つまり衆議院議員480議席に換算すると、わが党議員団は48人分の仕事を衆議院でやったことになります。
 そのわが党の論戦と国民のたたかいが、3党を崖っぷちまで追い込み、最後は「3党党首合意」という国民不在の最悪の談合が行われたものの、いったんは自民党でさえ、国民の声に押されて、独自の不信任案を提出せざるを得ないというところにまで追い込んだことに、あらためて確信を持ちたいと思います。
 消費税が8%に上がるのは2014年、10%はその翌年です。14年の実施までには参議院選挙があるし、総選挙はそれまでに必ずあります。野田首相が「近いうちに」と言っているのですから、年内にはあると言われている総選挙で、民自公増税勢力に国民の審判を下し、日本共産党の躍進で、消費税増税はきっぱり中止させようではありませんか。

大政翼賛会以上の悪政大連立 

 消費税大増税を推し進めた民自公3党の議席占有率は衆議院採決時に86%に達していました。
 戦前、共産党以外の政党がみんな解散して、戦争推進の大政翼賛会に合流しましたが、1942年4月30日に実施された総選挙では、帝国議会の81・8%の議席を占めました。今国会の実際の採決では「造反」が出たため86%にはなりませんでしたが、3党による暴挙は、それ以上の悪政大連立だと言わねばなりません。
 6月26日、衆院本会議で可決通過させられた時には、悔しさと歯がゆさで歯ぎしりし、敗北感も頭をもたげましたが、その3日後の6月29日夕刻、帰阪しようと議員会館を一歩出ると、首相官邸前が20万人の人で埋まっていました。それを見て、やっぱり国民を裏切る政治には、国民は決して黙っていない。3年前の政権交代を起こしたのも、そういう国民の力だった。「国民こそ政治の主人公」なのだということをあらためて教えられました。

米言いなり、財界中心政治

 同時に、なぜ首相官邸前が何十万の人で埋まるほど高まっている原発再稼働反対の声に、野田政権が聞く耳を持たずに進めるのか、自民も公明もなぜそれでよしということになっているのかを考える必要があると思います。
 それは国民がこれほど反対していても、原発の再稼働を歓迎しているのが財界であり、民主党も自民党と同様、結局は国民の声より財界の声しか聞かない政党だということが、日増しに明らかになってきているということです。TPP(環太平洋経済連携協定)の問題にしても、財界はとにかく早くやれということですから、結局、「財界中心の政治」は自民党でも民主党でも変わらないということが見えやすくなっています。
 オスプレイの日本配備の問題でも、沖縄県や山口県岩国市では党派を超えて反対の声が上がり、知事や市長はもちろん、自民党でさえ配備に反対し、全会派一致の決議や集会が進められていますが、政府はアメリカには一言も「ノー」と言わず、安保がある以上は拒否できないと、国内を説得しようとする。
 オスプレイ配備反対のたたかいでは、「それならそんな安保条約のままでいいのか。安保条約そのものを見直せ」という声が上がり始めています。日米軍事同盟絶対の「アメリカ言いなり政治」の害悪が、非常に見えやすくなってきているのです。
 いま尖閣諸島の領有権をめぐってさまざまな動きがありますが、尖閣諸島や千島列島をはじめとした領土問題でも、日本共産党は日本の領土であることを、歴史の事実と国際法の道理に基づいて明らかにしてきました。それは、あの侵略戦争に命懸けで反対を貫き、アメリカだけでなく、旧ソ連や中国など、どんな大国に対しても、何の遠慮もなく正面からものが言える党だからこそできることです。

自民政治より反動の橋下・維新

 では、国政進出を狙う橋下・大阪維新の会はどうか。橋下氏が、関西電力会長との秘密会合の後、大飯原発再稼働の容認に転じたことや、「維新八策」でも「安保・外交」は「日米同盟基軸」とはっきり掲げられていることをみても、結局「財界中心政治」と「アメリカ言いなり政治」という点では、自民党や民主党の政治となんら変わるところはありません。
 それどころか、「決められる政治」などと言ってやろうとしていることは、選挙に勝てば何をやっても許されるという民主主義否定の独裁政治です。この勢力を打ち破るたたかいはますます重要になっています。

「国民が主人公」の政治に全力

 いま、原発再稼働反対をはじめ国民生活のあらゆる分野で、これまでにない奥深いところから国民が立ち上がりつつことを実感します。同時に消費税増税反対でも、オスプレイ日本配備反対でも、TPP問題でも、国民の願いを阻むものが「財界中心政治」と「アメリカ言いなり政治」であることが、非常に見えやすくなっている情勢でもあります。
 この「2つの政治悪」を打ち破ろうというのが日本共産党綱領の立場ですから、日本共産党にとっては、わが党の綱領が見えやすい情勢だと思います。まさに日本共産党の出番の情勢、「国民が主人公の政治」を掲げ、私も国会内外で全力を尽くす決意です。(2012年8月26日付「大阪民主新報」より)


投稿者 jcposaka : 2012年08月25日

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