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橋下流「改革」 市民施策切り捨て押し付け ごまかしの「財政危機」 日本共産党.井上市議が追及

2012年05月12日

 赤ちゃんから高齢者まであらゆる世代に負担増を押し付ける橋下大阪市政の「市政改革プロジェクトチーム」(PT)が打ち出した「施策・事業の見直し試案(PT試案)」に、市民の怒りが広がっています。橋下市長らは「毎年約500億円の収支不足」を市民施策の廃止・削減の理由にしていますが、そこには橋下流≠フウソとごまかしが満ちています。
 平松前市政の財政試算では、「収支不足」は年間約150億円程度。橋下市長になって一挙に膨れ上がった原因の一つに、「収入の範囲で予算を組む」としながら、例年行ってきた土地売却収入など補てん財源を「収入」に計上しないというからくり≠ェあります。
 「過剰に財政危機をあおっている」――PT試案を審議した1日の大阪市議会市政改革特別委員会で、日本共産党の井上浩議員は強調し、市民施策を守るために「補てん財源」の活用を要求。「補てん財源に依存しない財政基盤を確立する」としたPT側に、「活用するのが財政運営の定石。前提が間違っている」と述べました。
 井上議員は09年から10年間の財務リスクが大きいのは、失敗した阿倍野再開発事業の穴埋めがあるためだと指摘。19年度以降はその負担も公債費も減少する一方、借金返しのための公債償還基金が着実に積み立てられていくこと(19年度見込み約4700億円)を示し、同基金を適切に活用せよと提案しました。

財政明言にせず市民に責任転嫁

 PT側は「将来世代に負担を先送りしない」と活用を拒否。井上議員は「『不足分は市民でなんとかしろ』というところにPT試案のひどさがある。財政状況を正確に示さず、市民に責任転嫁するもの。市民生活を守るために財政をどうやりくりするかという発想がない。地方自治の本旨にもとる」と、橋下市政のやり方を批判しました。
 PT試案で橋下市政は、まだできてもいない「大阪都構想」を前提に「大阪市解体」を進めようとしています。来年8月に公募区長が現在の24区を8〜9に再編する区割り(ブロック)案を示すとして、区民センター(34カ所)や屋内プール(24カ所)、スポーツセンター(同)を一挙に9カ所に削減。明らかな住民サービス低下です。
 しかも区割りされた9のブロックに均等に残されるのではなく、9カ所分の財源を確保するというもの。1日の市政改革特別委員会でPT側は「ブロック内区長会議で区民に提供するサービスの配分を決める」「区長自らが判断し、選択できる」と答弁。地域によって施設サービスに格差が生じるのは必至です。

「次はだまされへん」
プール存続の声聞け

 大阪市淀川区の市立プールを利用する67歳の女性は、「次の選挙では絶対、橋下・維新にはだまされへんと仲間で話しています」。
 医師の勧めで毎日約2時間、腰痛予防の水中ウオーキングに訪れます。「プールに通って運動不足を解消できました。市民の健康づくりに役立つよう、市営プールを活用することが市の仕事ではないでしょうか」
 区民プールの利用料は、一部を除き全施設共通で、大人700円(小中学生と65歳以上は半額)。各施設が、ウオーキングや水泳教室、水中ダンスなど独自のサービスメニューを設け、子どもからお年寄りまで多くが利用。市外の利用者も少なくないといいます。
 平日午前11時、1歳の娘と下福島屋内プール(福島区)を訪れた母親(31)は、「生後6カ月からベビースイミングに通っています。低料金で、安心して通えるプールをなくさないでほしい」と語りました。

「GO!GO!」市音.コンサート
世界的指揮者.佐渡裕さん「全力挙げて応援」
宮川彬良さんら呼び掛け3千人

 橋下徹大阪市政の「PT試案」が来年度廃止を打ち出している大阪市音楽団(市音)。その演奏を一人でも多くの人に知ってもらおうと5日夕、大阪市中央区の大阪城野外音楽堂で「GO!GO!市音!大阪市音をほめる会」が開かれ、約3千人が詰め掛け、超満員になりました=写真。市音のアーティスティック・ディレクターで作曲家の宮川彬良さんと、市音「友の会」の共催。市音メンバー有志が、宮川さんの司会・指揮で「シャル・ウイ・ダンス」や「宇宙戦艦ヤマト」などを演奏しました。
 宮川さんは、演奏の合間に市音との出会いを振り返り、「楽団員は針の穴に糸を通すようなオーディションに合格していまがある。全国の吹奏楽界の頂点の一角にあり、プロとしての自覚とプライドを持っている」と語りました。
 特別ゲストで世界的指揮者の佐渡裕さんと、淀川工業高校吹奏学部顧問・名誉教諭の丸谷明夫さんが登場すると、驚きの声とどよめきが広がりました。佐渡さんは25年前、学校鑑賞会の指揮者として大阪市音楽団を指揮。京都市生まれで中学生時代に吹奏楽部でフルートを演奏していた佐渡さんは、「プロの楽団が関西にある。憧れでした」。
 東日本大震災を受けて、「音楽家として何ができるか」と自問してきたという佐渡さんは、「それは全力で立ち向かうこと。市音がモデルになっている。全力を挙げて応援したい」と語りました。
 最後の曲目「マツケンサンバU」が始まると、再びステージに登場した佐渡さんも笑顔で手拍子、観客席は総立ちに。アンコール演奏の後、宮川さんはこう訴えました。
 「きょうはこどもの日で、何とか発電所(原発)がすべて止まった日でもあります。目に見えないものは、時に人々を苦しめる。しかし音楽も目に見えない。目に見えないものを軽んじちゃいけない」

大阪市音楽団
全国の吹奏楽界を牽引

 1923年に創立された日本最古の交響吹奏楽団。前身は1888年設置の陸軍第四師団軍楽隊で、存続を求める市民の声が当時の大阪市政を動かし、「大阪市音楽隊」として組織されたもの。46年に現在の名称に。自治体の吹奏楽団としては日本で唯一です。
 市の公式行事の他、市民向けの「定期演奏会」「たそがれコンサート」や、中高校生を対象にした講習会、学校別指導など、吹奏楽部の活動支援に力を入れてきました。選抜高校野球大会の入場行進の録音、全日本吹奏楽コンクール課題曲参考演奏の録音・録画など、日本の吹奏楽界を牽引する役割を果たしてきました。

学童保育
「楽しみなのに」「背筋凍る思い」

 市民生活総攻撃のPT試案に反対する市民の運動が広がっています。
 4月30日、大阪市中央区内で行われた学童保育への補助金全廃の撤回を求める統一行動=写真=で、「生まれて初めて街頭で署名を集めます」と話すのは、大阪市此花区の「あすなろ学童」に小学2年の長男を預ける鈴木理子さん(36)。4歳の長女も小学生になって学童保育に行くのを楽しみにしていると言います。
 「此花区では3月末で学童が1カ所閉所し、いまは『あすなろ』だけ。PT試案が出て、背筋が凍る思いがしました。学童保育がなくなれば、働く親は大変なことになります」
(2012年5月13日付大阪民主新報より)


投稿者 jcposaka : 2012年05月12日

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