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大阪市「思想調査」 回収データようやく廃棄へ 居直り続ける橋下大阪市長

2012年04月07日

市長は反省し市民に謝罪せよ
共産党府委声明 市長の責任正面から問う

 橋下徹大阪市長による「思想調査(労使関係に関する職員アンケート調査)」問題について、調査を担当した「第三者調査チーム」代表で市特別顧問の野村修也弁護士は2日の記者会見で、回収データを7日までに廃棄すると語りました。日本共産党大阪府委員会は3月28日に発表した声明で、橋下市長が今回の調査の違憲・違法性を認識し、自らの責任で直ちに調査の完全中止と回収データの廃棄を実行し、反省と謝罪を表明するよう要求。橋下市長は「法律ぎりぎりの調査を続けていかないと実態解明はできない」と、なおも居直りを続けていますが、憲法・法令に照らして許されるのか、その姿勢が問われています。

違憲性・違法性は明白

 「橋下徹大阪市長はいま何を明らかにすべきか――『思想調査』問題の解決のために」と題した声明は、橋下市長側にも提出されました。
 声明はあらためて、今回の「思想調査」が憲法19条(思想・良心の自由の保障)に抵触・違反することは明白だと強調しています。「アンケート」では、この2年間に特定の政治家を応援する活動への参加の有無や、投票を要請されたかどうかなどを問い、「誘った人」「要請した人」「配布した人」の氏名まで回答を求めており、個々人の思想・政治信条・内心に踏み組む内容。しかも橋下市長の自筆署名で「市長の業務命令」とし、正確に回答しない場合は処分の対象とする脅しで、回答を義務付けたものです。

調査は正当化できない

 橋下市長は日本共産党の北山良三団長の代表質問(3月2日)に、「一定の条件と必要性があるから、憲法19条に違反することはまったくない」と答弁しました。
 これに対して声明は、「一定の条件と必要性」がなければ、今回の調査内容と方法はそれ自体、憲法違反の「思想調査」に当たるという認識を持っていることになると指摘しています。
 橋下市長は「刑事訴訟法に基づく令状であれば、憲法19条違反と言われるような事柄の取り調べも許され、憲法違反ではない」とも答弁。声明は、憲法38条で明確に黙秘権が保障されており、今回のように「答えられない」という項目のない調査を、「業務命令」で強制することはできないとしています。
 また橋下市長が「守秘義務がある」「自分自身も回答内容を見ない」と調査を正当化していることについても、「業務命令」で思想信条の表明を強制すること自体の違憲・違法性が薄まるものではないと批判しています。

調査の矛先は市民にも

 今回の「アンケート」では、一般市民・府民、国民が市職員を街頭演説に誘い、自分の支持する候補者への投票を呼び掛け、紹介カードを渡していれば、その氏名を回答することを義務付けています。
 橋下市長は北山議員の質問に、「僕は市民とか、どこの対象が、どこまでの範囲に及んでいたかは詳細には知りません」としつつ、「なんら問題はない」と答弁しました。
 これに対し声明は、問題は橋下市長が「詳細を知っていたかどうか」ではなく、職員に対する調査項目そのものが、市職員以外にも及ぶものになっていることだと強調。「この一事だけでも、直ちに調査を完全中止し、すべての回収データを廃棄するのが市長の当然の責任」だとしています。

「勧告に従う」のならば

 橋下市長は北山議員への答弁で「労働委員会の勧告には従う」と表明しつつ、市長の責任での調査続行の差し控えの措置をとることは拒否しました。
 声明はこれについて、3つの点を問い掛けています。
 @府労委勧告が、調査チームが当面「凍結」したからよしとする市答弁書の主張を退け、市(橋下市長ら)の責任において調査続行を差し控えるよう求めた結論を、橋下市長はどう理解しているのか。
 A橋下市長は「野村特別顧問に包括的に調査を依頼したから、野村特別顧問の判断を尊重する。凍結との判断ならそのまま尊重するのが僕の責任であり判断」などと繰り返していることについて、もし野村氏が調査を再開し、回答を開封・集計すると判断した場合に橋下市長がそれを尊重すれば、府労委の勧告を踏みにじることになる。
 Bそもそも特別顧問は任意の調査はできても、「業務命令」は出せず、橋下市長の言い分は逃げ口上。調査項目も憲法・労働組合法に抵触・違反し、調査方法も、業務命令は憲法・法令に抵触してはならないとする地方公務員法に違反する。
 その上で声明は、橋下市長が府労委勧告に「従う」と言うなら、野村氏ではなく、自らがきっぱり中止し、データを即時廃棄するしかないと主張しました。(2012年4月8付「大阪民主新報」より)

投稿者 jcposaka : 2012年04月07日

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