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「凍結」ではあかん 橋下市長の「思想調査」 中止と謝罪、廃棄を

2012年02月24日

 橋下徹大阪市長による憲法違反の「思想調査」(労使関係に関する職員のアンケート調査)に対して、大阪・全国から中止・撤回を求める世論と運動が広がる中、同調査を担当する市特別顧問の野村修也弁護士が17日、「凍結」を表明しました。ところが、「僕は、なんら問題ないと思っている」などと居直る橋下市長。日本共産党大阪府委員会は、「凍結」という居直りではなく、調査の中止と謝罪、データの即時廃棄を求めて徹底的にたたかい抜くとしています。

世論と運動の急速な広がり

 野村弁護士の「凍結」表明は、連合系の大阪市労働組合連合会(市労連)が大阪地方労働委員会に救済を申し立てたのを受け、「法的手続きの推移を見守る」というもの。しかしその背景には、大阪弁護士会の中本和洋会長(14日)、日本弁護士連合会の宇都宮健児会長(16日)が抗議声明を発表したのをはじめ、憲法違反で暴走する橋下市長を包囲する世論の急速な広がりがあります。
 日本共産党大阪府委員会は13日、勝田保広副委員長の談話で調査の中止と回収データの廃棄を要求。16日には志位和夫委員長が記者会見で、「思想調査」には政治・選挙活動に職員を誘った一般市民の氏名まで回答することを強制していることを指摘。橋下市長の無法行為の矛先は市職員だけでなく、全市民・全国民に向けられていると告発し、「大阪市にとどまらず、日本の民主主義にかかわる重大問題」と強調しました。
 同党大阪府委員会は翌17日朝に大阪市役所前で緊急宣伝を行い、志位委員長の会見内容をビラにして配布。1時間で2千枚が市職員、通勤途中の市民らに受け取られるなど、大きな反響が。野村弁護士が「凍結」を表明したのは、その日の午後でした。

「問題ない」と居直る橋下氏

 「凍結」は、当分はアンケートの開封・集計をしないというもの。野村弁護士自身、「私たちは武器≠持った。労働組合に問題があれば、いつでもオープンにできる」としています。
 橋下市長は自署入りの文書でアンケートへの回答を「職務命令」で強制しておきながら、「凍結」は「野村顧問が弁護士として判断したこと。お任せしている以上はそうすべきなんでしょね」などと、まるで他人事のような顔をしています。
 それどころか橋下市長は、「(野村弁護士に)強力な調査をやって下さいとお願いした。僕自身は問題ないと思っているが、とにかく実態解明ができればいい」「(「凍結」で)時期は若干ずれるかも分からないが、そんな生ぬるい調査をしても意味がない」「法律の範囲内で、許される範囲内でぎりぎりのところまで踏み込んだ調査を」などと、違憲・違法にまったく無反省で、居直っています。

完全中止までたたかい抜く

 日本共産党大阪府委員会は「凍結」表明の翌18日午後、JR・京阪京橋駅頭で、山口勝利府委員長、清水ただし府副委員長(衆院近畿比例・大阪4区候補)、大阪市議団の山中智子幹事長らを先頭に宣伝しました。
 山口氏は、「『解凍』すれば復活する『凍結』という中途半端な対応で済まされる問題ではない」ときっぱり。「調査の中止、撤回をただちに実行し、調査資料はただちに廃棄を。橋下市長は職員、市民に謝罪すべき。この大阪を、憲法が通用しないまちにしてはならない」と力説しました。
 寒風の中、立ち止まって山口氏らの演説を聞いていた大阪市都島区の女性(63)は、「異なる意見を認め合って物事を進めるのが民主主義の根本です。公務員には思想・信条の自由を認めないという橋下市長の『思想調査』は、むちゃくちゃで許せない」と話していました。
職員と市民の共同で撤回させよう
全大阪生活と健康を守る会連合会の事務局長 大口耕吉郎さん

 今回の大阪市役所アンケートは、「教育基本条例案」「職員基本条例案」と同様、自治体職員と私たち市民を分断、対立させ、お互いにものを言えない状態にし、「大阪都構想」など首長の思い通りの政治を進めようというものにほかなりません。とりわけアンケートは住民にも監視の目が向けられているのが明白です。
 5年前、北九州市で生活保護を受けられなかった元タクシー運転手の男性が「おにぎりが食べたい」という遺書を残し自殺した事件がありましたが、ここは地元の八幡製鉄所(現新日鉄)を優遇するために、5つの市が合併した後、生活保護の抑制政策が強引に進められ、餓死者、孤独死、自殺者をたくさん生みだしました。担当部局では市民の生活実態でなく、生活保護利用者をいかに減らすかが話し合われ、保護申請を拒否した職員だけが評価されました。
 大阪のアンケート、2つの条例は、自治体職員も市民も不幸にするものです。橋下・維新による分断攻撃を乗り越え、職員と市民が手をつないで、どんなことがあっても撤回させたい。

教職員への実施否決
大阪市教育委員会会議

 「労使関係に関する職員のアンケート調査」を、市費採用教職員を対象に実施するかどうかを検討していた大阪市教育委員会会議は、21日の会議で提案者の永井哲郎市教育長を除く4人が反対、1人が「継続審査」を表明し、アンケート実施を否決しました。
 14日の会議で各委員から異論が続出し、継続審議に。この日も、「アンケートの内容に問題がある」「この一週間の状況は、この調査への疑念を増すもの」などの批判が相次いで出されました。(2012年2月26日付け「大阪民主新報」より)

投稿者 jcposaka : 2012年02月24日

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