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高槻市が中学校給食 18校で親子(自校)調理 共産党が繰り返し要求

2012年02月11日

 大阪府内の自治体で中学校給食実施の動きが加速する中、大阪府高槻市が、市内18校の市立中で生徒全員を対象にした市直営の完全給食を実施する方針を決めました。中学校給食のあり方を検討してきた同市立中学校給食実施検討委員会が昨年11月、学校給食法に基づき、「中学校での一層の食育推進を展開するため、完全給食を実施する」とした報告書をまとめていたもの。市は3月1日開会の定例市議会に関連予算を提出します。

 同報告書は、学校給食法が掲げる教育としての給食実施の観点を踏まえ、希望者のみの「選択制」ではなく、「全員制による実施が学校給食の本旨と考える」と指摘。小学校同様に「安全・安心でおいしい学校給食」を目指すとし、徹底した衛生管理による調理、温かい食事は温かいまま喫食できる工夫などが必要だとし、食育や品質、安全性に優れ、コスト面も低く抑えられる「親子調理方式」で中学校給食を実施すると結論付けています。  「親子式」は、調理能力に余裕のある小学校から中学校へ給食を配送する手法。高槻市の場合、市内18校のうち、14校を「親子式」で実施し、残る4校は、独自に調理設備を新設し、「自校」方式で実施する計画。  新年度は2校で試行事業をスタート、給食設備の新築工事や小学校の給食設備改修など準備を進め、2013年度以降に本格実施する計画です。  日本共産党高槻市議会議員団は、この間、市直営の完全給食を実施するよう議会で繰り返し発言してきました。  同市の新日本婦人の会なども、市当局との交渉などで完全給食実施を求めてきました。

中学校給食
実施率はわずか10%
自校調理は2市3町
全国に大きく立ち遅れ
府スクールランチ事業「給食と言えない」の声も

 大阪府内で政令市を除く465校の公立中学で給食を実施するのは10%程度にとどまっており、全国平均約8割と比べて大きく立ち遅れています。
 全校生徒が対象の学校給食は、単独調理場を持つ「自校式」が、門真、和泉、熊取、田尻、岬の2市3町、共同調理場から各学校へ給食を届ける「センター式」が四條畷、交野、大阪狭山の3市で実施中。富田林市が希望者のみの「選択制」で自校給食を行うほか、松原市や箕面市などが一部の学校で給食を実施しています。
 橋下徹前府知事は「中学校給食の完全実施」の選挙公約を投げ捨て、09年度、民間事業者による「デリバリー」方式(弁当配達)の「スクールランチ等推進事業」を実施しました。
 ところがこのスクールランチ事業は、学校給食法に基づく給食ではなく、すべての子どもを対象にした完全給食を目指すものとはほど遠い内容。府内数十校ほどの導入にとどまる不人気ぶりです。
 このため府は昨年、政令指定都市を除く市町村を対象に、初期投資の一部を補助する「中学校給食導入促進事業」を打ち出しました。15年度までとの期限を設け、給食調理施設などの整備補助(上限あり)、食器など消耗品費への定額補助を行うというものですが、ここにも重大な問題があります。
 給食実施率引き上げを目指す大阪府が民間調理場方式(デリバリー)も補助対象にしたこともあり、府が昨年12月にまとめた各自治体の実施意向調査では、「実施する」と回答したのが27市町村に上る一方、この中には希望者のみの「選択制」や「デリバリー式」を目指す自治体も多く含まれており、「これでは学校給食とは言えない」との声もあります。

豊かな給食.子どもたちに
大阪の中学校給食を考える
大阪連絡会がシンポ

 豊かな食生活保障は学びの源泉”育ち盛りの中学生すべてに給食実現を”―。2009年度に学校給食法が施行されて以降、教育、福祉それぞれの観点から、充実した学校給食の実現へ関係者の粘り強い運動が続いています。「豊かで安全な学校給食をめざす大阪連絡会」(会長=樫原正澄・関西大教授)は1月28日、大阪市内で、シンポジウム「大阪の中学校給食を考える―選択制やランチボックスでいいのか?」を開催。給食調理員や栄養士ら学校関係者、自治体職員や市民ら約70人が参加し、中学校給食実施率が全国最低の現状や課題を出し合うとともに、学校給食法に基づく充実した中学校給食の実現へ、取り組みを進めていこうと呼び掛けました。
 大阪教職員組合栄養職員部の石川友美さんが報告。「朝食抜き」「生活リズムの乱れ」など中学生の食生活動向や、貧困と社会格差の広がりの中で、十分食が保障されない子どもの実態を示した上で、「給食を福祉の観点だけでなく、教育の観点で考える必要がある」と強調。若年期の栄養不足に伴う骨粗しょう症や、女子の卵巣機能の障害、動脈硬化などの増加を紹介し、「心身共に成長・発達を迎える時期に、バランスの取れた食事を摂ることは命と健康を守り、学ぶ権利を保障することにつながる」とし、栄養バランスに優れた全員対象の中学校給食が果たす意義を強調しました。
 石川さんはまた、「地産地消、伝統食の継承、発展」「季節感のある献立」「アレルギー食対応」など、自校直営給食の魅力に触れながら、「豊かで安全な中学校給食は、自校直営式で実施するべきだ」と語りました。
 市内8校で「選択制」給食を行う富田林市の実践例が報告され、各校独自献立などの特徴や、平均利用率が32%(11年12月)になっていることなどが紹介されました。和泉市の代表は、栄養士配置による献立の充実や、地元のエコ農産物を活用した多彩な給食の魅力を紹介する一方、児童・生徒が1千人を超える大規模校での調理業務の苦労も紹介。「現場の教職員の苦労は大きいが、それ以上に学校給食の役割は大きい」と述べました。

大東でも署名

 フロア発言で、日本共産党の飛田茂・大東市議は、昨年実施されたデリバリー式の試行事業では利用率低迷で業者が撤退し、次に市が提案したランチボックス方式は市議会が否決。日本共産党や広範な市民が、「自校直営式」給食の実現を求めて署名運動を広げていると発言しました。(2012年2月12日付「大阪民主新報」より)

投稿者 jcposaka : 2012年02月11日

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