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市民の願いに応えよ「都構想」で暮らし福祉向上せず 大阪市議会一般質問 共産党 山中幹事長が追及 橋下市長はすり替えに終始

2012年01月21日

 11日の大阪市議会本会議で、橋下徹大阪市長の所信表明演説(昨年12月28日)に対する各会派の一般質問で、日本共産党を代表して山中智子幹事長が質問に立ちました。「選挙で勝てば何でもできる」とばかり、「大阪都構想」の実現や教育基本条例案の提出などに突き進む橋下市長。山中議員は、その政治手法を正面から批判するとともに、「政治を変えてほしい」という市民の願いに応えて、暮らし・福祉を向上する地方自治体の役割を果たすことこそ、いま求められていると主張しました。(関連記事2面)

21色どころか市はバラバラ

 所信表明で橋下市長は、ダブル選で平松邦夫前市長が得た52万票を「重く受け止める」と述べながら、市民・府民の選択は「新たな統治機構をつくる」ことだとして、「府市統合本部」を舞台に、「大阪都構想」を推進しようとしています。
 山中氏は、橋下市長に市民が託した願いの中心は「暮らしを良くしてほしい」という政治の中身を変えることであり、「大阪都構想」を選択したとはとても言えないと強調。市民の多様な願いを「大阪都構想」一本に集約、すり替えることは、あまりにも手前勝手な解釈で、民主主義否定の姿だと迫りました。
 山中氏は、大多数の市民は「大阪都構想」を正確に理解していないと指摘。選挙中のビラで「大阪市をバラバラにはしません」「24区24色の鮮やかな大阪市に変えます」などと書いて中身をごまかしてきたことを示し、「『大阪都構想』の下で大阪市はなくなり、8つか9つの特別自治区に分割する、バラバラにするのではないか」とただしました。
 さらに山中氏は、まるで府と市が一つの自治体であるかのようにして、橋下市長が「大阪全体の問題だ」と勝手に判断したものを、何でも「府市統合本部」で決めることは、「あまりにも民意を無視したもの」と述べました。
 これに対し橋下市長は答弁の最初から、「(共産党は)民主主義を否定してはいけない」「日本の政治には多数への配慮が欠けている」などと見当違いの反論。「大阪市はなくならない」という説明で持ち出したのは、「東区と南区が中央区に合区しても、空堀商店街はなくなっていない」といった話ばかりで、肝心の「大阪市がなくなるか、どうか」については一切答えることができませんでした。

新たな財源で巨大開発推進

 山中氏は、橋下市長や維新の会が掲げる「大阪再生」について質問。橋下市長は、府と大阪市の「二重行政」を解消して、4千億円の財源を生み出すなどとする一方で、「この仕組みづくりは、直接暮らしの向上に結び付くものではない」とも主張しています。
 「生み出したお金でもうけて、市民の暮らしに回すというのは、まるでギャンブル」と山中氏。結局、高速道路淀川左岸線延伸部や地下鉄なにわ筋線、リニアモーターカーなど関空アクセス改善の無駄な巨大開発に投じるだけではないかと指摘し、「こんなことに巨費を投じて大阪経済が活性化する保障はどこにもない。まったくいつか来た道、『大阪再生』どころか、さらなる沈没への道ではないか」と批判しました。
 その上で山中氏は、「いまなすべきは、市民の願いに応えて、暮らし・福祉の向上という地方自治体本来の仕事をしっかり行うこと。市民が潤ってこそ、消費意欲が高まり、ひいては大阪経済の活性化、大阪再生へとつながる」と主張しました。
 橋下市長は、「住民のサポートにお金を使っていきたい」としつつ、「大阪の都市力を強化して、経済活性化にも使わなければいけない」と答えた程度で、巨大開発に財源を投じることについては一切沈黙しました。

「敬老パス」は中身を見直し

 「多くの市民の暮らしは限界に来ている。待ったなしに市民の暮らしの実態をどう認識しているか」と問い掛けた山中氏。選挙中に橋下市長が「敬老パスはなくしません」と繰り返し、ビラでも「敬老パス制度を維持します」と大きく書いていたことを挙げました。
 「『維持』とは『そのままの状態でもち続けること。つなぎもつこと』(「広辞苑」)。文字通り、『そのままの状態でもち続ける』と受け止めて、あなたに票を投じた人もおられるだろう」と指摘し、ビラの通り、現状のまま維持するのかどうかと迫りました。
 橋下市長は、「制度を維持して中身について見直していくとタウンミーティングで言っている。(見直した)制度が駄目なら議会で否決するか、4年後に僕を落としていただくということになる」と答弁。「こういう制度でいいのか、議論していかなくてはいけない」と平然と語りました。

普通の話し合いできない

 傍聴した多田濱子さん(73)=大阪市城東区=の話
 橋下市長の答弁を聞いて、赤バスや敬老パスがなくなるのではという不安を強く持ちました。赤バスがあるから高齢者は手押し車でも外出できます。敬老パスがあるから、年金生活でもたまには友人と外食しようと思えるのです。橋下市長は選挙中に「敬老パスはなくさない」と言っていたのに、「見直す」なんてよく言えると思います。普通の話し合いができる人じゃない。論点をすり替え、まともに答えていません。(2012年1月22日付「大阪民主新報」より)


投稿者 jcposaka : 2012年01月21日

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