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大阪府知事候補 梅田章二さん 大阪市長候補 わたし考一さん 対談 防災・福祉の大阪へ 原発ゼロ、自然エネへ 命と未来守る行政を

2011年09月23日

梅田章二わたし孝一 府知事選と大阪市長選の「ダブル選」が確実となっている中、「明るい民主大阪府政をつくる会」の知事候補・梅田章二さんと、「大阪市をよくする会」の大阪市長候補・わたし考一さんは出馬表明以来、大阪の各地を駆け巡り、橋下徹知事や維新の会、平松邦夫市長が進める財界流の開発優先政治ではなく、防災・福祉の先進都市大阪をともにつくろうと訴えています。その合間をぬって、府市政転換への思いを語り合ってもらいました。(司会は本紙編集部)

国民が震災を経験した中で

わたし 出馬表明以来、団体や地域の集会などであいさつさせていただいていますが、「私たちの候補者が決まった」という声や歓迎の雰囲気を肌身で感じ、身の引き締まる思いです。梅田さんは3回目の挑戦。決意していただいて、ありがとうございます。
梅田 私も同じ思いです。過去2回の知事選の繰り返しでなく、「3・11」を国民が経験した後の選挙。政治や社会のあり方について真剣な模索が広がる中でのたたかいですから、生半可な決意ではなかったですね。
 ――東日本大震災と福島原発事故から半年以上が過ぎましたが、お2人とも、震災ボランティアで東北に出掛けられたそうですね。
梅田 まず4月末から5月初めにかけて、日本弁護士連合会が取り組んだ避難所での法律相談に参加しました。仙台市を拠点に石巻など3カ所でしたが、避難所の生活がいかに大変かを痛感しました。学校や公共施設の避難所を「何か困っていることはありませんか」と聞きながら訪ねるのですが、段ボールで囲まれた一つの区画が「家」で、中に布団や最小限の家具があるだけ。それが何区画か集まって町内会になり、一つのコミュニティになっている状況でした。ただ、その時点では法律相談の前段階で、とにかくいろんな話を聞いてほしいというのがあるんです。長い人で1時間くらい話を聞いたこともあります。
わたし そうなんですね。
梅田 話を聞くと法律の問題になってくるのですが、弁護士としてすぐにサポートできることがあるかといえば、ないのです。大地震、大津波で救済できるのは生活再建支援法に基づく支給300万円しかありません。それも厳重な縛りがかかっていますから。
わたし 全壊でないとそれだけ支給されないわけですからね。私は7月に岩手県に行きました。新婦人、民主商工会からの支援物資を積み込んだ車を2人で代わる代わる運転しながら。陸前高田市で、津波の被害を受けた倉庫の内壁を壊して、浸水した断熱材をはずすという仕事もしました。ちょうど住之江区から来ていた岡野竜也さんという青年が大工歴5年で、彼の指示で一軒分の倉庫の断熱材をはずしました。被災地では宿泊場所が確保できないので、一関市にある、先日の県議選で初当選した高田一郎さんの選挙事務所に寝泊りしていました。

日本共産党に被災者の信頼

梅田 9月に私も陸前高田市、大船渡市、それから福島県に向かいました。もう避難所はなく、仮設住宅や借り上げ賃貸住宅に住む人たちへのケアがボランティアの仕事になっています。私も紀州産の梅干しを届けながら、「どうですか。お困りのことはありませんか」と声を掛けながら訪問しました。そこで聞いた具体的な要望を日本共産党の事務所に届けると、即電話してその日のうちに要望に応えてくれる。行政の手の届かないところで、こうした活動を積み重ねて頑張っている日本共産党が被災地で有権者の信頼を高め、先日の県議選や市町議選で伸びたのが、よく分かります。

震災の対策をやり直すとき

わたし 震災ボランティアを通して、東北の復興を成し遂げるには、国の政治が決め手だとあらためて感じました。
梅田 家族を失い、仕事を失い、家を失い、ともかく自分だけは命からがら助かって、それだけでも有難いが、これからどうしようというのが被災地の声。ですから行政や社会のサポートが絶対に必要です。
わたし そうですね。被災地以外でも「想定外」という言葉が出ないように、震災対策を一からやり直さなければいけないところに来ています。長期的に地震災害に強いまちづくりを進めながら、避難する方法や場所をまず確立することから始めなければなりません。
梅田 阪神淡路大震災、東日本大震災の経験を生かして、自然災害は避けられませんが、地震や津波に伴う人災をいかになくすかを考えることですね。東海・東南海・南海の3地震が同時に発生すれば、M(マグニチュード)9で10メートルの津波もありえるわけです。
 気仙沼では港で恐ろしい火災が発生しましたよね。重油が流出し、流されてきた車が衝突して火花が出て引火したそうですが、大阪湾にもガスタンクや石油タンク、車のターミナルなどがあるだけに、同じような事態が起こりかねません。対策は急務です。
 ――出馬表明に当たって梅田さんは「原発ゼロ宣言、自然エネルギー日本一の大阪に」、わたしさんも「期限を切った原発からの撤退、自然エネルギーへの転換、福祉・防災の先進都市を築く」と、訴えられましたね。

原発と人類は共存できない

梅田 はい。福島県では福島市から飯舘村を経て南相馬市まで行きました。福島市でも放射線の線量計が反応し、飯舘村に入ると急速に線量計が上ります。車の外に見える風景も、避難されて家も残っていますが、人影がない。南相馬市でも小学校の生徒の半数が県外に移らざるをえない状況を聞きました。原発事故が発生すれば、広範囲、持続的に影響が出る。未来を破壊する原発は、人類とは共存できません。
わたし 関西電力は日本の電力会社の中で最も原子力発電の比率が高くなっています。その筆頭株主が大阪市なんです。株主である市民の利益を守るためにも関西電力に自然エネルギーへの転換を求めることは大阪市長の責任です。平松市長は関西電力の株主総会で発言したものの、「経営陣の判断を尊重する」として原案賛成。口では「自然エネルギーをせなあかん」とか言う平松市長ですが、限界が見えたと思います。

早期再稼働を要求した財界

 8月に私の地元の旭区の皆さんと美浜原発を見学しました。原発交付金が切れると、また原発を誘致しなければならない構造がつくられてきた。現地の方から「まるで麻薬だ」という話を聞いて、原発利益共同体が地方自治体を「麻薬患者」にしていることをあらためて感じました。
 だから関西財界が原発の早期再稼働を求めたことは、許せない。その関西財界から高い評価を得ている橋下知事や平松市長には、「原発ゼロ」や自然エネルギーの転換を進めることはできないと思います。(8面に続く)


安心して暮らせる優しい府政こそ 梅田さん
暮らし守り暴走・独裁とたたかう わたしさん
橋下知事と平松市長――開発推進で同じ立場

(1面からの続き)
 ――府市政をめぐっては、橋下知事が旧WTCビル(咲洲庁舎)への府庁全面移転を断念するという象徴的な出来事がありました。

府庁の移転は橋下流の典型

わたし 旧WTCビルの問題は日本共産党市議団でも十数年来取り上げて論戦してきました。
 平松市長は4年前の市長選で、「責任を明らかにしたい」としていた公約を投げ捨て、WTCビル社の銀行借金424億円を市民の税金で肩代わりしました。橋下知事が府庁移転を持ち出してからは、府議団も市議団も、防災拠点になりえないことを一貫して主張してきましたが、東日本大震災でそのことが裏付けられたと思います。
 旧WTCビル(咲洲庁舎)には2千人の府職員が働いていて、橋下知事は第2庁舎として使うことに固執していますが、ぜひ梅田さんに、無駄遣いをきっぱり正していただきたいものです。
梅田 本当に。府庁移転問題は、橋下流の政治手法そのものですね。
わたし 典型でしょう。
梅田 そう、典型。府議会で否決されても、それを押し切って強引に進め、議会や府民の声を聞かない。そうした暴走がさらに130億円という無駄遣いを生み出そうとしているわけです。橋下流の最悪の結果ですね。
 さらに言えば橋下知事の発想は、すでに破たんした大阪湾ベイエリアの開発を復活させて、関西州と結び付け、旧WTCをその拠点にするというものだったわけです。
わたし 関西州の首都にするとも言っていましたからね。
梅田 ええ。旧WTCビルへの府庁全面移転断念は、そうした橋下知事や維新の会の構想の破たんそのものですよね。ところが全面移転はつぶれても、「成長戦略」の名でベイエリア開発やインフラ整備はそのままやっていく。打ち上げている「大阪都構想」の狙いも、いわば政治的キャンペーンに過ぎないと、私は見ています。それで何か新しいものが生まれるかのように言っている。

巨大開発進める目くらまし

わたし 私も「大阪都構想」は、巨大開発を進めるための「目くらまし」のようなものだ思います。
 関空リニアとか淀川左岸線延伸部、なにわ筋線とか、合計すれば2兆円くらいのプロジェクト。ゼネコンや財界は大喜びでしょう。しかしこれこそ、破たんした古い政治の中身ですね。
 ――平松市長は「大阪都構想に反対する一点で」などと語り、マスコミも「橋下VS平松」という「対決構図」をますますあおっていますが。
わたし 財界の要望に応えるという点では、2人はどうかということですね。
梅田 共通している。
わたし そうです。淀川左岸線延伸部の建設について、橋下知事は地下鉄を売却してでもやらないといけないと言ってきました。平松市長は「こんな無駄な道路はいらない」というのではなく、必要な路線だから国が負担を増やせばやるという姿勢。2人とも同じことを目指しているわけです。
 橋下知事や維新の会は、大阪市の「二重行政」を攻撃していますが、彼らが実際に挙げているのは、図書館や体育館、大学や信用保証協会などです。
梅田 二重にあっても府民や市民のためになるものばかりですね。
わたし その通りです。本当に要らないのは彼らが「集中投資」などと言って進めようとしている無駄な巨大開発ですね。
梅田 その開発を進めるための財源を吸い上げ、権限を握る。この本質は変わっていませんが、「大阪都構想」でも橋下知事の言うことは、ころころ変わってきましたね。

国の市町村合併が下敷きに

わたし ええ、特別区だったり特別自治区にするとか。
梅田 さらに周辺市も人口30〜50万の中核市並みに合併するという。大阪で住民が反対して失敗した市町村合併を、この際、住民の意思抜きに上から進めるという、これも強権的なやり方です。
わたし もともと国が市町村合併を主導して、いま1万7千自治体くらいになっているでしょ。これをもっと減らして7千くらいにしたいと考えている。そのときのベースが人口30〜50万人ということで、これが維新の会の構想の下敷きになっていると思います。
 ――開発優先の政治を強権的に進めるのか、暮らし・営業優先かということが問われますね。
わたし 平松市長は暮らしの問題で言うと、国民健康保険料の強権的な取り立て、無慈悲な差し押さえを増やしてきました。学資保険まで差し押さえたわけです。
 平松市長は1200億円の収支不足が出るということで、敬老パスの削減や障害者医療費助成の見直しを掲げていますが、大阪市の財政には実は余力があります。将来の借金返済のために積み立てている公債償還基金から借り入れて上手く運用し、無駄な開発に手を出さなければ、市民のための施策は守れると党市議団としても提言してきました。
 全国の自治体にも先例があり、関市長時代にいったん検討課題になりましたが、平松市長になって突然借りないということになってしまいました。

大企業でなく地元の企業と

梅田 財源問題でいうと、「お金がない、お金がない」というと、橋下知事的になってしまうんですね。いまの時代は発想を大きく転換することが必要です。なによりも府民、市民の暮らしが大変で、給料も減り、営業収入も減っている。それをどうするのかが大きな問題です。
 ですから雇用や仕事を増やすことでも、自然エネルギーの普及と結び付けて、環境型の経済に変えていくことを打ち出したいと思います。「太陽光発電重視」は単なるスローガンではなく、行政と市民、業者が連動して一つの社会運動にしていく方向ですね。
 その点では、太陽光発電の普及率が全国一となっている長野県飯田市の経験が役立つと思います。私も7月に視察しましたが、行政がリードして、市民運動をサポートし、生み出した電気を買い取るという経験をつくっています。巨大企業ではなく地元業者とタイアップしてやっていくことで、地域経済への波及効果もあります。
わたし 大阪市をよくする会でも政策の柱として考えていますので、ぜひ府市一体でやりたいものですね。
梅田 いま社会は、とげとげしくなっています。弱肉強食の「構造改革」路線が、お互い人間が信じ合える基盤を壊してしまったのです。「教育基本条例案」や「職員基本条例案」で橋下知事や維新の会が狙うのは、競争、排除、独裁の政治であり、トップダウンのリーダーシップです。そうではなく、今こそ、包容力のある優しい府政、安心して暮らせる社会を府民の皆さんに訴えたいと思います。
わたし 「教育基本条例案」と「職員基本条例案」は教職員や職員を住民奉仕ではなく、首長への服従を強制するもので、見過ごすわけにはいきません。
 市会議員として平松市政を見てきましたが、一言で言うと、平松市長には哲学がありません。関西財界の圧力を受けて、ふらふらしてきました。ですから私は、財界の圧力をはね返して、橋下知事や維新の会の暴走・独裁とたたかながら、大阪市をよくする会が掲げる、市民の暮らしと営業を守る基本を訴えたいと思います。

変化と響き合う状況広がる

梅田 東日本大震災を受けて府民、国民のエネルギーは高まっていると思います。9月に被災地に行ったときにも、全国から来ているボランティアの人たちと出会いました。「自分も何かしたい」と、飛び込みでやってきた若者が共産党の事務所で活動しているとか。「3・11」がそういう変化を生み出しているし、それを受け止めて頑張らないといけない。
 正論を堂々と訴えることが、そうした変化と響き合う状況が広がっていると感じています。
わたし 本当にそうですね。ともに頑張りましょう。

投稿者 jcposaka : 2011年09月23日

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