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いのちと暮らしを守る大阪へ――「ダブル選」で問われるもの

2011年09月23日

@ 国民健康保険

高すぎる国保料
入院せずに死ねたら…

 府知事選との「ダブル選」が濃厚となっている大阪市長選(11月27日投票)まで3カ月を切りました。選挙の構図を「橋下VS平松」の対決と描き出す動きが強まっていますが、問題は政治の中身。平松大阪市政や橋下・維新の会の実態を見ると、そのどちらにも府民や市民の願いを託すことは、できません。

簡易保険を差し押さえ

 年金生活の下田久登さん(73)=大阪市東淀川区在住=は国民健康保険(国保)の保険料21万2千円余りを滞納し、郵便局の簡易保険300万円を差し押さえられました。60歳で定年退職して以来、収入は3分の1以下に減少。「国保料が高すぎた。収入の1割ですよ。ほかの税金も支払ったら、いくらも残りません」。区役所に相談して分割納付を欠かしてこなかったのに、ことし2月に突然、差し押さえ予告が届きました。滞納保険料と延滞金、督促手数料を合わせ23万円余り。対して預貯金は数万円。払えないでいると、3月末に保険を差し押さえたとの文書が届きました。

今でも毎月分納を続け

 これまで大病を患って何度も入院しただけに、大切な簡易保険を失ったことに「今度、長期入院するときはどうなるのか。入院しないですぐに死んだら楽だが」と肩を落とす下田さん。今も毎月、区役所に出向き、約束した保険料の分割納付を続けています。
 同区で国保料滞納者の相談にあたる日本共産党の岩崎賢太市議は、「保険料の滞納は国や市の政策でつくり出されたもの。それを市は市民に責任転嫁し、払わない人が悪いと言って苦しめている」と話します。

平松大阪市長
公約を投げ捨て過酷な取り立て

 大阪市では全世帯の35・8%に当たる約48万8千世帯が国保に加入しています(ことし3月末現在)。大阪社会保障推進協議会の調査では、40代夫婦と子ども2人の4人世帯で所得200万円の場合、国保料の負担は年間約38万3千円。所得100万円の65歳以上の年金生活者(独居世帯)で年間約14万円もの負担になっています。
 高すぎる国保料の下で、滞納世帯は約13万世帯(加入世帯の26・8%)に上り、短期証5万5789世帯(滞納世帯に対する発行率42・7%)、保険証を取り上げられ資格証明書を交付されているのは1万2200世帯(発行率9・3%)に上ります。
 平松市長は07年の市長選で、国保料の減免制度について「市民の生活実感に応じてその拡充が求められる」(大阪府歯科保険医協会の候補者アンケート)と公約していました。

 ところが市長就任後、強権的な取り立てや制裁措置を進めてきました。平松市政の下で、滞納世帯に対する強引な財産調査や一方的な差し押さえが急増しています(グラフ)。

橋下・維新の会
さらに値上げの「広域化」を狙う

 市政への市民の怒りや不信の広がりに乗じて、「大阪市をぶっ壊す」と繰り返し叫ぶ橋下知事。しかし国保問題で橋下知事や維新の会が狙っているのは、保険料の大幅な引き上げにつながる国保「広域化」。維新の会のマニフェストでも国保や介護保険は、「広域=大阪都」が担うとしています。
 昨年7月、橋下知事と府内市町村長が国保の「府内統一料金」を目指すことで合意。その大前提は、国保料の軽減や減免措置のために府内市町村が行っている、一般会計から国保会計への法定外繰り入れをやめること。繰り入れの総額はは府内全体で約295億円、大阪市では約173億円。これがゼロになってしまうと、府内では、単純計算で1世帯当たり2万円の保険料アップになります。

国保危機の根本正さず

 大阪市の国保会計の累積赤字は366億円(09年度)で、府内自治体の累積赤字総額の45%を占めています。その最大の原因は、国庫負担の大幅削減(84年)や収納率低下などでの調整交付金のカット。橋下知事はこうした国の悪政をただすのではなく、「広域化」をあくまで推進しようとしています。
 昨年末に「広域化等支援方針」を決定した府は、市町村を支援するために国から配分された特別調整交付金(約60億円)の交付基準を、「単年度黒字化」や、「収納率の目標達成」「滞納処分の実施」など、広域化に向けた「取り組み成果」に応じて交付する方針まで打ち出しています。

市民のこと考える市政に
大阪市の国保をよくする会 森野一志代表の話

 平松市長は、市長選で減免制度を拡充するなどと言っていましたが、当選後は正反対のことをやってきました。09年度から国保料の年度内完納を強要し始め、それまでの分納相談をいきなりやめてしまいました。10年度の更新時から短期証の発行基準を改悪し、保険証の取り上げをいっそう進めました。
 また、国保の保険料収納対策グループをつくり、財産調査と差し押さえを強行しています。私たちも運動を通じて学資保険の差押えをやめさせるなど反撃しています。市民のことを考える市政にするためには、市長を変えなくてはなりません。
 橋下知事も昨年、市町村長を集めて国保「広域化」を進めようとしています。「広域化」されると一般会計からの繰り入れができなくなって国保料が上がり、市町村独自の減免制度もできなくなります。彼が市長になると、こうした流れが強まり、いまでも多い滞納者がさらに増えることになり、許せません。

国保料引き下げ、「広域化」に反対
よくする会 明るい会

 大阪市をよくする会は「2011年大阪市長選挙にあたってのアピール」で、高すぎる国保料の引き下げや生活困難者への減免制度拡充、保険料滞納世帯への一律財産調査は中止し、保険料・市税などの強権的な徴収を改めると主張しています。明るい民主大阪府政をつくる会も府知事選に向けた「基本政策総論」で、国保「広域化」「府内統一料金化」をやめ、高すぎる国保料の引き下げを掲げています。

投稿者 jcposaka : 2011年09月23日

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