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教育・職員基本条例案 学校も府政も思いのまま 橋下知事・維新が狙う

2011年09月02日

 大阪維新の会(代表・橋下徹知事)が9月の府議会などに「教育基本条例案」と「職員基本条例案」を提案しようとしています。「民意が反映する教育行政を実現」(教育基本条例案)、「公務員組織を普通の組織にします」(職員基本条例案)と提案理由を説明する維新の会。これまでに明らかになった2つの条例案の内容を読めば読むほど、学校や府政を、橋下知事と維新の会の思いのままにできるように、一気につくり変えてしまおうという危険な狙いが見えてきます。(2面に、両条例案についての日本共産党大阪府委員会・柳利昭書記長の談話を掲載)

教育基本条例案
政治が教育に介入

 教育基本条例案では「教育行政からあまりに政治が遠ざけられ、教育に民意が十分に反映されてこなかった」(前文)と一方的に決め付け、政治が教育に全面的に介入しようとしています。
――知事が、教育委員の任命権限を持ち、高校が実現すべき教育目標を定める。
――教育委員会はその目標実現へ、具体的な目標を盛り込んだ指針を作成し、校長に指示する。その責務を果たさない教育委員は、議会の同意を得て知事が罷免できる。
――校長・副校長は公募し、任期付で採用する。校長は知事が定めた教育目標の実現に努め、教員は教育委員会の決定、校長の職務命令に従い、マネジメントに服さなければならない。
 こうした新しい「教育関係者の役割分担」の中で、教員については校長がS、A、B、C、Dの「5段階」で「評価」し、最低の「D」には教員のうち5%が当てはめられ、「特別研修」で「成果」がなければ免職に。校長の職務命令に5回違反するか、同じ職務命令に3回続けて違反した場合には、ただちに免職にすることを定めています。
 さらに府立高校の学区を廃止して、通学区域を府内全域とすることや、3年連続で入学者数が定員を下回った高校は統廃合することまで条例で定めようとしています。

職員基本条例案
「大阪内閣」で支配

 維新の会は、8月22日に「職員基本条例案」の「概要」を公表した際、「『大阪内閣』をつくる」と説明しました。
 各部局の部長や局長はじめ幹部職員は、新設する任期付の「準特別職」とし、大阪府内外から広く公募することを打ち出しています。維新の会によれば、「準特別職」にふさわしいのは、「首長の政策に賛同する有能な人材」(条例案の「概要」)。「府民ニーズに迅速的確に応じる行政を実現」(同)と言いますが、要は知事や維新の会の言いなりになる人物だけを幹部に据え、府政の中枢機能を独占してしまおうということです。
 一般職員についても、一定数以上は、国内外・官民問わず広く「人事交流」を行うとし、そのために外部人材受け入れの目標を定めることも明記しています。
 一般職員への「人事評価」も「5段階」で、任命権者(知事や議長)が指定した上級職員が実施。2年連続「最低評価」の職員には「特別研修」を義務付け、「改善しない場合」は免職に。教員同様、「職務命令に5回違反、同一の職務命令に3回違反で免職」としています。

どこが「民意」か
数の力頼んで暴走

 両条例案ともに、まさに「最高権力者」の地位を与えられることになるのが、府でいえば、知事です。維新の会は「選挙を通じて民意を代表する知事による政治」(教育基本条例案・第5条)といいますが、両条例案は、橋下知事の選挙公約にも、維新の会のマニフェストにもありませんでした。「民意」を口にするなら、提案そのものに道理がありません。
 維新の会はことし4月の府議選で過半数の57議席を獲得しましたが、得票は約4割。ところが府議会での「数の力」を背景に、5月議会では「君が代」起立強制条例案を突然提案し、強行可決しましたが、これも府議選の公約にはなかったものです。
 同じ5月府議会では府議会定数を109から88へと大幅に削減する条例案も、事実上維新の会の単独で強行可決。ことしの府議選の得票を新定数に当てはめれば、議席に結び付かない死票は約6割になるなど、府議会から民意を大きく切り捨てる暴挙でした。
 そして今狙っているのが、大阪の教育と府政のあり方を根底から変質させる――それが2つの条例案の狙いです。

■ 教育基本条例案の主な内容
○愛国心及び郷土を愛する心にあふれるとともに、国際社会の平和と発展に寄与する人材を育てる。国際競争に対応できる世界標準で競争力の高い人材を育てる
○校長は任期付とし、産業界、法曹界などからも広く人材を求める
○教員は5回の職務命令違反、同一命令に3回違反した場合は直ちに免職
○保護者は教育委員会や学校などに対し、社会通念上不当な態様で要求をしてはならない
○府立高校の通学区域を府内全域とする
○3年連続で入学者が定員割れし、改善見込みがない府立高校は統廃合
■ 職員基本条例案の主な内容
○「民」主体の社会へ公務員制度改革を行う。人材を広く国内外に求め、官民問わず高い専門性のある人材を確保する
○部長、局長などを任期付の準特別職員とし、広く公募する
○一定数以上の一般職員は、国内外・官民問わず広く人事交流を行う。目標を定めて外部からの人材を受け入れなければならない
○人事評価で2年連続して最低評価となった職員に「特別研修」を義務付け、改善しない場合は免職手続きに入る
○5回の職務命令違反、同一命令に3回違反した場合は直ちに免職    

投稿者 jcposaka : 2011年09月02日

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