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「大阪維新の会」マニフェスト発表 貧困生み出す政治のゆがみを制度の問題にすり替え、さらなる大企業奉仕へ

2011年02月05日

 府議選、大阪市議選で過半数議席を獲得、「大阪都」を目指すという「大阪維新の会」(代表・橋下徹知事)が1月24日、地方選マニフェスト(以下マニフェスト)を発表しました。府民の暮らしと経済の困難を、自治体の形や制度を変えれば豊かさを実現できるかのようにすり替え、新たな大企業奉仕の地方政治を進めようとする危険な内容です。

府民施策の切り捨て、縮減が橋下府政の一貫した実績

 マニフェストは、「大阪都に広域行政を一元化し、都市基盤、産業基盤の整備等を進めます。中核市並の権限を持つ特別区は、住民自治を確立し『住民に身近で、住民にやさしい政治』を実現」としており、これが核心のようです。
 まず指摘しなければならないのは、橋下知事が現実に進めてきた府政が「やさしさ」とは無縁、正反対だということです。
 橋下知事が就任して真っ先に着手したのが、障害者団体への補助金カットや府営住宅家賃減免制度の改革、青少年会館や国際児童文学館の廃館や移転など、暮らしや文化、地域経済を応援する施策や予算の軒並み縮減でした。これから進める「大阪府財政構造改革プラン」では、老人、障害者など福祉四医療助成の見直し、府営住宅の半減、中小企業向け融資制度見直し、市町村と共同で取り組んできた学校警備員配置予算の廃止、救命救急事業への補助金削減など、府民犠牲をいっそう進める計画です。また、国保の広域化で府民1人2万円以上の値上げを押し付けようとしています。「大阪都構想」は、改革を叫ぶことで、こうした府民犠牲の府政から目をそらそうとしているのです。

制度を変えなくてもすぐできる「子どもの医療費助成拡充、中学校給食」

 マニフェストでは、子どもの医療費助成と中学校給食実施などを打ち出しています。しかしこれらは制度を変えなくても実現できるものです。
 大阪府は全国で4番目、大阪市も政令市で6番目と、ともに財政力指数が高い自治体です。にもかかわらず、すでに30県が小学校就学前かそれ以上を対象に子ども医療費助成を実施しているのに府は2歳児までと全国最低クラス、中学校給食実施率は全国平均81・6%なのに大阪は7・7%と全国最低です。32県で中学校への少人数学級に踏み込んでいるのに府は小学校1、2年生だけです。
 これらの要求では多くの父母や教育関係者が運動し、日本共産党も各議会で実現を迫ってきましたが、いつも反対してつぶしてきたのが「維新の会」のメンバーの大半を占める自民党などでした。マニフェストが言う「小中学校へのエアコン設置」にいたっては、橋下知事自身が「教育にとっては、かえってマイナスになるんじゃないか」と言って否定してきたものです。切実な要求が実現しないのは大阪府と市の制度の問題ではなく、住民の願いに対する政治の姿勢の問題なのです。

大企業応援という「維新の会」の方向は失敗が証明済み

 マニフェストが最大限に力を入れているのが成長戦略です。「企業に儲けてもらい、従業員の給料を上げる。すなわち国民の所得を上げ、税収を上げる」と言いますが、具体策は法人税減税や高速道路や関西空港へのアクセス鉄道整備など、数千億円規模の大型開発事業です。これで恩恵を受けるのはごくごく一部の大企業だけで、大阪経済にも府民生活の向上にも役立たないことは、これまでの大阪府・市政の失敗がすでに証明しています。
 自民、公明、民主のオール与党府政”が進めたりんくうタウンやりんくうゲートタワービル、関西空港へのアクセス道整備、破たんしたWTCビルが象徴する企業誘致のための埋め立て地、テクノポート開発などの大企業奉仕の税金ばらまきはことごとく失敗しました。大阪の経済成長は関西空港開港の1994年以降、約1割のマイナス成長と落ち込んでしまいました。その上、府と大阪市が抱えるそれぞれ約5兆円の借金の大きな原因となり、府民の肩にのしかかっているのです。

大企業の莫大なもうけを国民に還元、福祉充実こそ貧困からの解放の道

 このように、維新の会マニフェストは「貧困から市民を解放」と言いながら、やろうとしていることは逆さまです。本当に府民を貧困から解放する道は、大企業の莫大な利益を国民に還元し、賃金の引き上げと福祉の充実で生活の安定を図ることです。こうしてこそ、内需・家計主導の安定した経済成長も実現できます。
 近畿財務局の統計によると、管内2府4県の資本金10億円以上の企業の経常利益は、2001年4―6月期に8105億円でしたが、東京への本社移転が相次いでいるのに、2007年4―6月期には2・1倍の1兆7164億円、リーマンショックによる落ち込み後も急回復し、2010年4―6月期は1兆893億円に増加しました。
 その一方で、昨年7―9月期の府内の完全失業率は全国最悪の7・7%と長期高止まりが続き、勤労者の給与はこの10年間で1割以上も減少、中小企業の下請単価もたたかれて倒産・廃業が相次ぎました。府内に本社を置く、資本金100億円以上の企業は、1年間で1万5千人の正規雇用を削減する一方で、利益のため込み金を25兆円に増やしています。大企業がもうけても、それが給料の引き上げや中小企業の利益に波及しないのが現実です。
 いま大阪府に求められるのは、住民の「福祉の増進」に責任を持つ地方自治体が本来の役割を発揮すること、住民の困難や願いに心を寄せ、その解決と実現に力を尽くす議会の実現です。そして、暮らしと中小企業応援の政治に転換することこそ、大阪経済を再生する一番の力です。4月のいっせい地方選挙では、日本共産党の前進で、こうした府政に転換することができるかどうかが最大の焦点です。

投稿者 jcposaka : 2011年02月05日

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