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橋下知事「広域化」に固執 国保料アップ ″制裁°ュ化に府が「標準設定」罰則も 国保守る実行委 反対運動へ

2010年12月04日

 国民健康保険(国保)料の大幅値上げにつながる府内統一保険料について、「年内に制度設計を行う」としていた橋下徹知事は、10月の府議会で「断念」を表明しました。しかし国による医療制度改悪の流れを先取りする形で、国保広域化はあくまで固執し、市町村を巻き込んだ「支援方針」を今月にも決めようとしています。これに対し、国保「広域化」・値上げに反対し、大阪の国保を守る実行委員会は11月25日に「意思統一決起集会」を開き、大運動に取り組んでいます。 大阪市北区のいきいきエイジングセンターで開かれた決起集会では、実行委員会の寺内順子事務局長(大阪社会保障推進協議会事務局長)が基調報告し、国保広域化をめぐる情勢や問題点について明らかにしました。

 後期高齢者医療制度に代わる新制度は、20日の高齢者医療制度改革会議で最終取りまとめが出る予定です。  新制度について寺内氏は、75歳以上の高齢者医療を、新たに作る都道府県単位の国保に加入させ、次の段階で74歳以下の国保も広域化していく議論になっていると述べました。

国の悪政を先取りする知事

 寺内氏は、すでに厚生労働省の幹部が、後期高齢者医療制度の見直しを「市町村国保の広域化を進めるためのビッグチャンス」「年末に発車するバスに乗り遅れるな」などと公言していることを紹介。この動きに全国知事会は難色を示している中で、国の改悪を先取りしているのが、橋下府政による国保広域化だと語りました。
 ことしの通常国会での国保法改正で、都道府県による「国保広域化等支援方針」策定が盛り込まれました。府の「広域化等支援方針(素案)」(ことし9月)で、自治体の規模ごとに国保料収納率の「標準設定」を示し、市町村に目標達成を迫っています。
 寺内氏は、「標準設定」の目標が高く、現実に収納率が低い市町村には実現不可能なものだと指摘(グラフ参照)。また、目標の達成いかんにかかわらず、全市町村に、小刻みな「メリット設定」で収納率アップを求め、達成できない市町村には、府からの調整交付金を減らすペナルティーを課す仕組みもあると語りました。
 さらに、過去の滞納繰越分は次年度内での解消を目指すとされ、前年度滞納者への財産調査や滞納処分の実施も明記。寺内氏は「このままでは大阪市でいま起きている事態そのものが、府内市町村でも起こると予想せざるを得ない」と警告しました。

高すぎる国保料には触れず

 寺内氏は、「広域化等支援方針」の策定には法的な義務はないものの、ことし12月中に策定すれば国はペナルティー(調整交付金減額の50億円)を解除するという「アメ」がある中で、府は「広域化等支援方針」の策定を急いでいると指摘しました。
 その上で寺内氏は、府の「広域化等支援方針」には、収納率低下の最大の原因である″払いたくても払えない″bキぎる国保料の問題について何も触れず、収納率向上や「財政安定化」だけを狙いにしたものだと批判。「住民に、これ以上国保料を払えというのでしょうか。広域化を進める中で、さらに搾り取る。上から押し付けられる方針を許さない運動を進めましょう」と述べました。

府・市各議会向け大運動を

 意思統一決起集会であいさつした井上賢二実行委員長は、「広域化で府民に何のメリットもない。負担の限度を超える国保料の最大の問題は、84年当時45%だった国庫負担が25%まで減らされていることだ」と力説しました。
 大阪市の国保をよくする実行委員会の喜多裕明氏は、大阪市が09年度に1円でも滞納があれば短期証を交付するなど制裁≠強めているとし、「府の方針は大阪市が実行していることそのもの」と指摘しました。
 日本共産党のくち原亮府議は、国保「広域化」問題での府議会の論戦などを報告。橋下知事は議会答弁で「国保の市町村支援は府の仕事ではない」「受益があれば一定の負担はしていただく」などと公言していることを語りました。
 行動提起した大阪自治労連の前田仁美委員長は、12月と来年2・3月議会、来春のいっせい地方選に向けて「広域化」反対の学習、宣伝・署名や意見書採択など大運動を起こそうと呼び掛けました。

国保料の収納率 高い「標準設定」

 大阪府は「広域化等支援方針(素案)」(ことし9月)で、自治体の規模ごとに国保料収納率の「標準設定」(赤の棒グラフ)を示し、市町村に目標達成を迫っています。しかし08年度収納率でみても、12年度の標準設定をクリアしているのは、堺市をはじめ、高槻市、岸和田市、河内長野市など9自治体しかありません。
 「被保険者5万人以上の市」で見ると、八尾市は87・05%で10年度の標準設定(85・80%)は達成していますが、12年度の標準設定(87・80%)には、わずかにとどきません。府内最下位の寝屋川市(79・66%)は、標準設定から大きく下回っています。
 「町村」では、標準設定自体が高く、12年度では94・60%の高設定。クリアしているのは、豊能町(96・62%)のみとなっています。

生活実態″s政にぶつけ
滞納あっても通常証
大阪市住吉区

 保険料滞納者への制裁を乱発している大阪市。大阪市は10月に、09年度の保険料を1円でも滞納していれば短期証に変更する方針を発表しています。しかし住吉区では、保険料を滞納していても、生活実態によっては保険料の6割を納付していることを条件に、通常の保険証を発行しています。住吉民主商工会(住吉民商)が毎月の区役所交渉・納付相談で、勝ち取ってきたもの。同民商は、交渉前に社会保障制度の学習会を開き、参加者同士が生活実態を交流して、交渉の力にしています。
 11月26日に大阪市内で開かれた「国保をよくする実行委員会」の代表者会議で、同民商の吉田豊事務局長は、「国保加入者は年間所得300万円未満が8割。ものすごく苦しんでいる人がいるが、そこにわれわれはまだ手が届いていない。その方たちの生活実態を(行政に)ぶつけていけば、どこかに突破口ができるのではないか」と話していました。(12月5日付「大阪民主新報」より)

投稿者 jcposaka : 2010年12月04日

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