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さわやか対談 密接につながる平和と国民の暮らし 日本の平和運動も共産党も世界遺産

2010年05月07日

参議院大阪選挙区候補・前大阪市議 清水ただしさん フリー・ジャーナリスト 薄井雅子さん

 アメリカ在住のフリー・ジャーナリスト薄井雅子さんと日本共産党の清水ただし前大阪市議・参院大阪選挙区候補が対談。戦争と平和をめぐる両国の状況や、海外から見た日本や日本共産党などについて語り合いました。

薄井 私がアメリカに住み始めたのは2000年。翌01年に同時多発テロ事件が起き、すぐにアフガニスタンへの攻撃が始まり、03年からはイラク戦です。(「ニューヨークタイムズ」紙を広げて)清水さん、これを見て下さい。
清水 ネームズ・オブ・ザ・デッド。亡くなった方の死亡記事ですね。
薄井 国防省発表の戦死広告です。イラクへの侵略戦争が始まって8年になるのに、まだ続いている。アメリカは他にもたくさんの対外干渉をしています。毎日が戦争なんです。
 日本では、戦争というのは空襲を逃げ回るもの、飢えるもの、とにかく嫌なものだという雰囲気がありますでしょ。ところがアメリカでは、戦争とはアメリカが世界を平和にし、自由と民主主義を与えるという発想です。私はいま「戦中人間」なんですけど、その中で、当たり前に思ってきた日本の憲法9条が、すごいものだと実感しています。
清水 読売新聞などの世論調査でも、憲法9条は変えないほうがいいという人の数が過半数になり、変えたほうがいいと答えた人を逆転しました。全国津々浦々の「九条の会」の活動などが大きな力になっているのを感じます。
 その一方で、国会議員の定数を制限し、戦争反対勢力を国会から排除する動きも出ています。自民党のタカ派の古参議員が、憲法を変えられなかったのは共産党が衆議院で9人もいるからだと言っているんですね。

アメリカに物言えない

薄井 それは一理ありますよ。アメリカでは二大政党なので、真の野党として正論を言う党がいないんです。戦争をやめてくれるはずのオバマさんも、実は大統領選挙では、イラクとアフガンと両方と戦うのは大変だからイラクから手を引いてアフガンに集中しようと言いました。この戦争は国際法違反だとか、そもそも対外干渉はいけないとか、経済が大変だから軍事費を削れなどと主張する人がいないのです。
清水 日本でも、自公政権は我慢できないということで民主党政権に代わりましたが、肝心なところでゆきづまってしまい、平和の問題では軍事同盟が基軸になってアメリカに物が言えない、暮らしや経済の問題でも財界や大企業に頭が上がらない。結局この2つの政治悪に切り込めず、選挙の時の公約と国民の期待との矛盾が広がって、支持率は坂道をころげるように急降下しています。
薄井 日本に帰ってくるとびっくりするんです。新聞を見ると、アメリカが何を言ったか、日米同盟にひびが入るからそんなことはできないとか。何でこんなにアメリカ中心になっているのかと。
 アメリカは世界中に米軍基地を持っていますが、国民は、米軍が外でどんなことをして、どれだけその国や土地の人々を踏みにじっているかを知りません。逆に自分の息子が兵隊に入ったら、行った先でなるべくいい思いをしてもらいたい。だからアメリカ並みの住環境やゴルフコース、プールを用意するわけです。特に日本は思いやり予算で…。
清水 至れり尽くせり。普天間基地のヘリコプター部隊も、1年を通じて半分ぐらいは海外にいる。そして日本では悪いことやっても捕まらない。引き逃げ事件、暴行事件、窃盗。日本国民を守るためではなく、逆に命を脅かしている。真の対等平等とか日米友好と言うのなら、軍事同盟中心の考え方を変え、アメリカに対して基地はいらない、帰って下さいと言うべきなんです。

第9条も共産党も世界の宝

 日本はアジアの一員で、憲法9条も持っています。原子爆弾を落とされたつらい経験もしているこの国が、平和を広げるためにイニシアを取ることが、いまこそ求められていると思います。
 それなのに、日米核密約の問題にしても、共産党が20年近く前から指摘しているのに、そんな証拠はないと歴代政府は言ってきた。政権が代わって、記録はあったけれど密約ではない。暗黙の了解でしたと言って、アメリカには何も言わず、非核三原則をないがしろにするという情けない態度をとっているんですね。
薄井 日本は核兵器をなくす運動で世界の最先端をいっています。憲法9条は戦争をしないというだけでなく、軍備を持たないと言っている。先進国である日本が、戦争しないでいることだけでも、どんなに世界に貢献しているか。その中軸に日本共産党があり、力を発揮していることも世界の光だと思います。どちらも世界の宝、「世界遺産」(笑い)ですよ。
清水 日本で核兵器廃絶運動や平和をさらに広げていくことは、国民の暮らしを守ることとも密接にかかわっています。政府は、年間4兆8千億円規模の軍事費を毎年計上しています。実は自公政権の時より、民主党政権のほうが軍事費が増えているんですね。そしてアメリカにもお金を払う。鉄砲の弾を鉄砲で当てるようなミサイル防衛システムに1兆円とか、グアムの米軍基地移転に6千億円。そういうものを削り、大企業や大資産家にも応分の負担を求めて財源を生み出して、脆弱(ぜいじゃく)になってしまった社会保障に予算を回せば、国民生活も豊かになって国内の消費力も高められると思うんです。

基本的人権さえ無保障

薄井 アメリカには公的保険制度がありません。サンフランシスコに住む私の友達が足をくじいて救急車に運ばれた時、車の中で最初に聞かれたのが「あなた保険証持っていますか?」。アメリカでは保険の種類によって行ける病院が決まります。お金のない人は死ねということなんですね。
 オバマさんも最初は「公的保険制度をつくります」と言っていたのに、そんな制度は社会主義だ、個人の健康にまで国がなぜ口を出すんだと言われ、結局断念し、国民に補助金を出して民間保険に入ることを義務付けた。保険会社からするとお客が増えるわけです。こんな時に、日本の共産党のように、健康に生きるのは基本的人権で、それを実現するのが政治であり、政府はそれをやるべきだという政党がいたらと思います。イライラすることが多いです。清水さんにバナナのたたき売りを習ってスカッとしたいと思いますよ(笑い)
清水 ただ日本でも、高い保険料を払って医者にかかったら、窓口でまた払わなければならないし、75歳以上は「姥捨て山」行きのバスに乗せて別建ての乗車賃(保険料)を徴収し、4月から大阪でも5%上がりました。しかも、この制度をやめると言っていた民主党が考えた新しいバスは、なんと65歳になったら乗らなければならないというものなんです。

投票したい政党がある

薄井 アメリカでは、ヨーロッパ的な福祉国家はアメリカンドリームには合わない、そんなこと言ってたら起業家精神も育たない、法人税を高くしたらやる気が起きないからと言ってきた。そんなことやってきたから、社会保障もできないできて、失業者も増えてきたんですね。そのアメリカの真似をしてきた日本で、どんどん社会保障が切り崩されてきました。
 アメリカに住んでみて、共産党という名前を出して、いまの社会をどう変えていくかという確かな道筋を苦労して考えて、実践してきた日本共産党はすごいとあらためて感じています。投票したい政党がある、投票用紙に書ける人がいる日本人の私たちは本当に幸せです。私もアメリカに住む日本人の中にもっと広めようと思っています。
清水 私も頑張ります!

うすい・まさこ
 福島県出身。福島大学教育学部卒業。『しんぶん赤旗』『女性のひろば』記者として21年間活動。米ミネソタ州在住。「平和憲法を守る在米日本人の会」呼び掛け人。『えひめ丸事件語られざる真実を追う』『戦争熱症候群―傷つくアメリカ社会』(ともに新日本出版社)著者。

投稿者 jcposaka : 2010年05月07日

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