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子ども医療費 府内11自治体で年齢拡充 願い実現.一方で自治体間格差もいつでも受診¥A学前まで医療費無料に

2010年04月09日

 子どもたちの命と健康を守る上で重要な役割を果たしている医療費助成制度で、今年度に府内で11の自治体が、対象年齢を引き上げることが、本紙の調べで分かりました。住民の世論と運動が背景にありますが、府の助成制度が全国的にも低い水準にある中、市町村の努力にもかかわらず、対象年齢や所得制限に大きな格差も。一貫して子どもの医療費無料化を求めてきた日本共産党は、国会でも鳩山政権に対して「いまこそ国の制度として実施すべき」と迫っています(7面に、4月1日現在の各市町村の実施状況一覧表を掲載)
 府内での子ども医療費助成制度について、ことし4月1日現在の実施状況などを各市町村の担当課に取材しました。
 4月から対象年齢引き上げは、能勢町(通院就学前児童から小学3年生年度末)など3自治体。ことし7月からは、堺市が入通院とも就学前児童から中学3年生年度末まで、四條畷市が通院を3歳未満から就学前児童まで拡充するなど、6月から10月にかけて、11自治体が対象年齢を引き上げます。
 これらを含めた引き上げ後の対象年齢の状況(図)をみると、通院で最も多いのは就学前児童31(72%)で、中学3年生年度末1、小学3年生年度末3、小学2年生年度末1、5歳未満1、4歳未満5、3歳未満1となっています。
 入院では、就学前児童27(59%)が最も多く、中学3年生年度末4、小学6年生年度末8、小学3年生年度末3、小学2年生年度末1。実施内容の前進がみられる制度拡充が進む一方で、自治体間の格差も目立ちます。

遅れた府制度

 子ども医療費助成制度は現在、国の制度がない中で、全国のすべての都道府県、市区町村が独自の制度として実施しています。
 大阪府では財源を府と市町村が2分の1ずつ負担していますが、府制度の対象年齢は通院で3歳未満、入院で就学前児童。全国的には35県が、入通院とも就学前児童またはそれ以上を対象に助成している中で、大阪府は全国的にも低い水準です(09年度)。
 今年度中の制度拡充も含め、府制度に上乗せして助成する府内自治体数は、通院で42(98%)、入院で16(41%)に上ります。
 「持続可能な制度に再構築する」として太田房江知事時代の04年11月から、子ども医療費助成はじめ福祉医療制度に、窓口自己負担の導入を強行。1医療機関当たり1回500円(月2回限度)を支払わなくてはなりません(1カ月当たり負担限度額2500円)。

 「体の具合はどうかな?」。聴診器を手にした西淀病院の副院長、安達克郎さん(小児科)が、胸の音に耳を澄ませます。
 この日、診察を受けたのは、大阪市西淀川区に暮らす中原智さん(35)の子ども3人。それぞれアレルギー症状があり、定期的な医療ケアが必要です。小児ぜんそくの指定を受けた長女の美優さん(7)、二女の愛菜ちゃん(2)、長男翔ちゃん(1)の順番に、無事に診察が終わると、中原さんの表情にも笑顔が戻ります。
 子どもたちは、突然の発熱や中耳炎などの受診も多いと言う中原さん。耳鼻科はじめ複数の医療機関に掛かることも多く、「医療費負担は家計にもずしりと響きます。それでもなんとか落ち着いて受診できるのは、医療助成があるから」。
 安達医師は、「子どもたちの命を守ることは、日本社会の未来を守ることでもあります。小児科の場合は医療のハードルを低くして、いつでも受診できるようにすることが第一。国の制度化と府と自治体の制度拡充が求められます。就学前までの医療費無料は全自治体で実現し、さらに対象年齢を引き上げていくことが必要」と語ります。

国会論戦
日本共産党「国制度つくり市町村応援を」
鳩山首相「優先的な課題」

 「医療費無料化は、命を救うために本当に切実な声。だからこそ既にすべての都道府県、市町村で何らかの形で助成制度が行われている」――3月1日の衆院予算委員会で、日本共産党の穀田恵二議員が、子ども医療費無料化を求めて質問に立ちました。

命守る制度に格差いらない

 穀田議員は、「政治を変えてほしい」という国民の声に応え、自公政権の社会保障削減路線で改悪された医療、介護、福祉制度を元に戻し、拡充への一歩を踏み出すとともに、総合的な子育て支援を実行すべきだと強調。当面、小学校入学前までの子どもを対象に、無料化を実施するよう提案しました。
 「財政的な難しさがある」などと答弁した鳩山首相に対し、穀田議員は、政府見解でも約3千億円で就学前児童の無料化が可能なことや、自治体間の格差を示し、「命を守る制度に格差があってはならない。国として制度をつくり、市町村を支援すべき」と力説。鳩山首相は「大変重要な課題。財政との相談の中で、優先的な課題として扱いたいテーマだ」と答えています。

ペナルティーすぎにやめよ

 さらに穀田議員は、子どもの医療費助成を行う市町村に、国民健康保険への国負担分を減らすペナルティーを課していることは、「国の助成制度がないために、独自に助成している地方自治体に水をかけるやり方だ」と強調。ペナルティーは1305自治体・約65億円(07年度)に上ることを示し、「直ちにやめるべき」と迫りました。
 長妻厚労相が「ペナルティーではない」と強弁したのに対し、穀田議員は、自公政権時代に舛添厚労相さえ「何らかの前進を考えたい」と言明していたことに照らし、「冗談じゃない」と批判。鳩山首相は「前進できるように努力してみたい」と答弁しています。


投稿者 jcposaka : 2010年04月09日

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