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さわやか対談 元薬害C型肝炎訴訟大阪原告団代表 桑田智子さん 大阪市議・参院大阪選挙区候補 清水ただしさん

2010年03月18日

桑田「すべての肝炎患者の救済早く」
清水「命懸けのたたかい政治動かし」

 日本共産党の清水ただし大阪市議・参院大阪選挙区候補が、元薬害C型肝炎訴訟大阪原告団代表の桑田智子さんと対談。「命の線引きは許さない」を合言葉にしたたたかいを振り返りながら、今後の課題など語り合いました。

清水 初めまして!去年の総選挙では、難波の日本共産党街頭演説で、弁士として訴えていただきありがとうございました。一聴衆として参加していましたが、本当に心に響く訴えでした。
 昨年11月、すべての肝炎患者救済を目指す肝炎対策基本法ができ、先日(12日)は全国でたたかっておられるB型肝炎訴訟で、初の和解勧告が札幌地裁で出ましたね。
桑田 基本法成立は画期的なことでした。自公政権で何度も国会要請したけど廃案になり、民主党になればすぐにできるかと思っていたら、政権につくと及び腰。当事者、被害者、患者が行動しないと政治は動かないんだと、全国キャンペーンをはって街頭にも出ました。肝炎患者が自ら行動して政治を動かすというのは、薬害肝炎訴訟からずっと引き継がれていて、B型肝炎訴訟のように私たちのたたかいを受けて声を上げようという人が大勢出てきているのは、本当にうれしいことです。
 でも患者が安心して治療を受けられる体制にはほど遠い。特に肝硬変、肝臓がんなど重篤の人たちの支援が不十分です。基本法成立は国が進めるべき根拠法ができたということで、患者のための医療体制の整備は、これからの課題になると思います。
清水 新聞報道など見ていると、C型肝炎の方も、病気のために離職しなければならないとか仕事につけない、治療費に多額の費用がかかるなど経済的にもつらい思いをされています。そこへの助成などもこの法律を根拠にして、一日も早く安心できる制度をつくることが大事だと思います。すべての方を救済という法律の理念からも、B型についても国は一刻も早く和解に応じるべきです。
 昨年の臨時国会でも法案が廃案になるのではという危惧がありましたが、共産党国会議員団が与野党に働き掛け、議員立法で提示できました。最終的には欠席した自民党も、委員会では賛成。桑田さんたちが国会要請など命懸けのたたかいを世論と共に進めてこられてきたからこそ、そういう状況に追い込んだんだと思います。
(8面へ続く)

福祉に力入れて滅びた国はない
大阪市議・参議院大阪選挙区候補 清水ただしさん
清潔な政治で薬害のない社会に
元薬害C型肝炎訴訟大阪原告団代表 桑田智子さん

(1面からの続き)
清水 桑田さんは訴訟で実名をあげられましたが、ためらいやご苦労はありませんでしたか?
桑田 提訴する時は抵抗はなかったです。周りにも理不尽を許さないという仲間が大勢いたし、会社の不当配転とたたかわれた方や地域の方が中心になって「桑田ファミリーを支える会」をつくってくださいました。前に働いていた住友の職場でも、先輩が男女差別是正を求めて立ち上がっておられたし、裁判にもちゅうちょはありませんでした。

多くの患者の代弁者になる

清水 薬害肝炎を突き止めるための、カルテ開示までもずいぶん苦労されたのではないですか?
桑田 1年半ぐらいかかりました。薬害エイズのたたかいの解決後、第9因子製剤を使用した医療機関の公表があり、その中に私が出産した病院があり、これしかないと思って電話しました。ところが15年近く前のことなのでなかなか対応してもらえず、何度も電話したり、病院へ行ったりしてカルテがあることを突き止めました。
 開示まで長い時間がかかりましたが、裁判に行くと、いつ感染したかも分からない、自分は原告になれるかどうか分からないという患者さんが大勢傍聴に来られていました。私は幸運にもカルテが開示されたということもあり、声を上げられない人たちの代弁者にならなければと思いました。
清水 私の地域(大阪市福島区)でも、肝炎にかかった方がおられるんですが、カルテを病院に求めても、5年以上前なので処分したと言われ、泣き寝入り状態でした。体も思うようにならず、精神的にもつらくなって起きられなくなると話されていました。
 実はその方から2007年にこんなものをいただいたんです。缶コーヒーのメーカーの懸賞で当たって、金粉の名刺を一枚だけ作ってもらい、名前の上に「ウィルス性肝炎をなくしましょう、感染を防ぎましょう」と書かれたんです。
桑田 (名刺を見て)うわー、すごいですね。
清水 「一枚しかない大事な物、本人が持っとかんと」と言うと、「清水さんに持っておいてほしい」と言ってくれて。だからいつも名刺を出す時は、これを見て彼のことを思い出しながら頑張ってるんです。

共産党の質問時間短すぎて

桑田 一番つらかったのは、大阪地裁判決で国に敗訴した時でした。インターフェロンの治療中で、大阪では最初に私が実名を出して、350万人のウイルス性肝炎患者のために頑張るんだと言ってきたのに、結果を出せなかった。全体としては勝訴判決だったので、それを武器に全員救済を迫りに国に訴えに行かなきゃいけなかったんですが、世間に顔向けができないと思い、3日間暗い部屋に閉じこもっていました。
 そしたら「支える会」の人が、「あなたが実名を出して先頭に立ってきたから、すごい結果が出せたのよ」と励ましてくださって、暗い部屋で寝ていて喜ぶのは国と企業だと思い、自分を奮い立たせて東京行動に参加するようになりました。
 厚生労働委員会では、共産党の高橋千鶴子衆院議員や小池晃参院議員が被害者の声を代弁して質問してくださいました。だけど質問時間があまりにも短くて。共産党に二つ議席があれば政府をもっと追及してもらえるのにと思いました。
清水 私も小池議員の予算委員会での質問を生で傍聴したことがありますが、後期高齢者医療制度問題で大臣を理詰めで追及し、他党もうなるような質問をされました。ところがたった10分。本当に歯がゆかったですね。
桑田 いまの政権も企業団体献金で問題が出てきていますが、清潔な政治でなければ薬害は絶対なくせません。薬を作っているのは企業ですから、そこに政治家が天下るような状況で、本当に国民の命を守れる政治ができるのかと思います。
清水 薬害エイズの時、ミドリ十字もひどかったし、今回のトヨタのリコール問題にしても、安全性より企業の利益を優先にしたことが背景だといわれています。この問題でも共産党はいち早くリコールの対象にすべきだと訴えてきましたが、国もマスコミも後手後手に回って企業任せにした。人の命、暮らしを最優先に主張できるのは、企業からお金を受け取らない共産党の専売特許だと思います。

福祉の心ない政治変えたい

桑田 私たちは「命の線引きは許さない」とたたかいましたが、後期高齢医療制度とはまさに「命の線引き」そのものだと思います。
清水 75歳以上の方は、送られてきた保険証を見て何事かとショックを受け、怒っておられます。
 鳩山さん自身が信じられない制度だと言っていたのに、しばらく続けるという。4年間先送りしてどんな制度ができるか影も形もない。しかも社会保障にお金を使ってほしかったら消費税増税を、という話まで出ています。
 軍事費や無駄な公共事業を削って、企業のため込み資金にメスを入れたら、たくさんの財源を生み出せるということをもっと知らせていかなければと思います。
桑田 ヨーロッパでは医療費無料で、肝炎の治療もインターフェロンも無料でできるらしいです。日本もそういう風になればいいと思います。健康で元気に働いている間は何とかやれても、病気で歯車が狂ったり、何かあったら立ち行かなくなって命まで奪われるという世の中を、何とか変えていきたいと思います。
清水 日本はお金がないのではなく、まさに福祉の心がないんですね。医療や福祉に力を入れて滅びた国はありません。日本よりGDP(国内総生産)が低い国も医療費無料の国はたくさんあります。そうした外国の優れたところにも目を向け、誰もが安心して生活できる国になるよう頑張りたいと思います。

くわた・さとこさん 1960年生まれ。02年、C型肝炎を発症。医療機関に開示を求め、第1子出産時の出血の止血剤にフイブリノゲン製剤が使われたことを突き止める。03年、大阪訴訟で13番目、初めて実名を公表し、原告に。大阪肝臓友の会役員。岸和田市在住。

投稿者 jcposaka : 2010年03月18日

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