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「核抑止力論」から脱却を みんなの力で世界変えよう 冨田関学大教授が記念講演 大阪革新懇「講演と音楽の夕べ」

2009年12月18日

 太平洋戦争開戦68周年の8日、大阪革新懇(進歩と革新をめざす大阪の会)が大阪市中央区のエルおおさか大ホールで、「講演と音楽の夕べ」を開きました。約300人が参加し、「日米同盟と軍事基地を絶対視する日米政府、核兵器廃絶への課題は何か」と題した関西学院大学の冨田宏治教授(原水爆禁止世界大会起草委員長)の記念講演に、じっくり耳を傾けました。

 冨田氏は、起草委員長の役割は、国際会議宣言や広島決議、長崎決議、各種の報告文書をはじめ、徹夜が連続する中で作成しなければならない激務だと紹介。「それでも辞められない理由」は、「再び被爆者をつくるな」「ヒロシマ・ナガサキを繰り返すな」という被爆者の叫びが原点にあるからだと語りました。
 まず、核兵器廃絶を求める新しい動きに言及した冨田氏は、キッシンジャー米国務長官ら米政権の中枢にいた要人ら4氏による「核兵器のない世界へ」の呼び掛け(07年1月、08年1月)などを挙げ、こうした声の集大成として、米オバマ大統領のプラハ演説(ことし4月)があったと指摘しました。
 キッシンジャーら4氏の呼び掛けなどの背景について冨田氏は、支配層の間にテロリストへの「核拡散」と「核テロ」への恐怖が広がり、現実的な選択として、核兵器そのものなくすという流れがあると分析。特に、核兵器の保有を正当化する最大の理由になってきた「核抑止力」論の誤りが国際社会の中で明らかになっていると強調しました。
 冨田氏は、核兵器をめぐる情勢の大きな変化をつくり出したのは、被爆者と連帯した日本の原水爆禁止運動や、ヨーロッパ各国で巻き起こったイラク戦争反対運動など、世界諸国民の世論と運動だと力説。日本でも民主党中心の新政権が誕生し、鳩山首相が「唯一の被爆国としての道義的責任」「『核兵器のない世界』への共鳴」などを国際公約した中で、「いまこそ『核抑止力』論と『核の傘』からの脱却を」と強調しました。
 冨田氏は、来年開かれる核不拡散条約(NPT)再検討会議を成功させ、核兵器全面禁止条約への協議を開始することが求められるとし、「アメリカ型市場万能主義の決定的破たん、ブッシュ政権の退場とオバマ政権の登場、日本でも政権交代が実現し、反貧困の新たなたたかいが始まるなど、世界の潮目は変わった。みんなの力で世界を変えよう」と呼び掛けました。

山口共産党府委員長が情勢報告

 集会では大阪革新懇代表世話人の渡辺武さん(元大阪城天守閣館長)の開会あいさつに続き、タンゴのユニット「Tango倭Yamato」が「夜のタンゴ」など7曲を演奏。日本共産党の山口勝利府委員長(大阪革新懇代表世話人)が情勢報告しました。
 日本政治の新局面について山口氏は、総選挙で「自公政権退場」の審判が下ったが、「異常な対米従属」「財界の横暴な支配」という「2つの異常」から抜け出す新しい政治はまだ定まっていない「過渡的な情勢」にあり、国民が「新しい政治を探求する時代」になったと強調しました。
 山口氏はこの間、肝炎基本法や原爆症基金法が成立するなど、国民の願いが実現する一方、労働者派遣法改正が政府の雇用対策の根幹に座っていないことや、普天間基地問題で「県外・国外移設」の公約を後景にやるという鳩山政権の無責任さを批判しました。
 さらに山口氏は、「過渡的な情勢」の下で、これから国民が大きな政治的体験を通じて、「2つの異常」を直接的な形でつかみ、政治勢力の性格や役割が試される中、「国民の多くが毎日の暮らしの中で、自分と政治の関わりを見つめ、何をなすべきかをつかんでいく。その総量が日本の政治を動かす大きな力となっていく」と述べました。
 その上で山口氏は、日本共産党と革新懇運動の役割は、「国民の自覚と力量の前進を後押しする大仕事に取り掛かること」と強調。現実政治を前に動かすとともに、「2つの異常」の実際を国民に伝え、政治の反動的な巻き返しを許さず、新しい日本を目指す国民の共同、統一戦線を広げることをやり遂げるならば、民主連合政府を樹立する条件が大きく開けるという展望を力説しました。
 「来年30周年を迎える革新懇運動がいっそう輝きを増している」と述べた山口氏は、「わくわくするような情勢の下で、2010年代に入る。革新懇運動発祥の地、この大阪から社会変革の事業にさらに奮闘しよう」と呼び掛けました。

投稿者 jcposaka : 2009年12月18日

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