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編集長のわくわくインタビュー お天気キャスター 片平 敦さん お天気の楽しさ伝えたい 分かりやすい解説と評判です

2009年10月30日

   青空の下での 「わくわくインタビュー」、 初めてなんです! 片平 晴れ男なんですよ。 僕 (笑い)。 いま気温は20度か21度。 風もそよそよと吹いているので、 風力1bか2b、 空気は乾いていてさらさらな感じなんで湿度も40%から50%ぐらいかな。

   体で分かるんですか?すごいですね。  片平さんが必ず毎日、 番組の中で披露されている駄じゃれは、 ファンが多いらしいですね。 片平 視聴者の方からも、 「こんな駄じゃれ、 どうでしょうか?」 というお便りが来ますが (笑い)、 駄じゃれは、 あくまでも天気予報を分かりやすく理解していただくきっかけ。 「駄じゃれも面白いけど、 天気予報の解説が分かりやすい」 と言ってくださるのがうれしいですね。    先日も、 雲の毛布という表現をされていましたね。

自分の言葉で天気を伝える

片平 ええ。 夜に風が穏やかだったりして晴れた日というのは、 地面からどんどん宇宙に熱が逃げていっちゃうんですね。 専門的には放射冷却現象が大きくと言いますが、 その仕組みをイメージしやすい言葉に置き換えると、 雲が毛布の役割をして、 曇っているときのほうが意外に冷え込まない、 逆に雲がないと毛布なしで寝ているようなもんですから、 どんどん熱が逃げていって寒くなるという。
 気象予報士という資格は、 あくまでも明日のお天気を予報できる人。 一方、 お天気キャスターには資格はないんですが、 天気予報を自分の言葉で、 見ている人に伝える役割を持った人。 まったく別の仕事ですから、 気象予報士の資格を持っていて、 それを自分の言葉で咀嚼 (そしゃく) して分かるように伝えるのが、 両方する僕らには求められているんですね。
   地球温暖化の問題などで学校で講演活動もされているそうですね。
片平 最初の1時間はパワーポイントなどを使いながら、 温暖化はこういう原因で起きているんだよと話して、 残りの1時間は、 二酸化炭素と普通の空気をあっためたらどっちが先にあったかくなるかなと、 温度を測りながら実験します。 厳密に地球温暖化をそのままやってるわけじゃないですが、 二酸化炭素は熱がこもりやすいことを知ってもらうんですね。

温暖化を考えるきっかけに

 それで食卓の議題に上がって、 自分たちに何ができるかなと考えてもらうきっかけになったり、 中学生や高校生になった時に、 「あーお天気予報のダジャレのお兄ちゃんが来て言ってくれたのは、 こういうことだったんだなあ」 と思い出してもらえたらなあと。
   お天気に興味を持たれるようになったのはいつごろからなんですか?
片平 小学校入学前から 「お天気のおじさん」 になりたいと言っていたみたいです。 親に言わせると、 ずっと空を見るのが好きな子でした。 体育の時間に体操している時も、 ボーっと空ばっかり見てて、 そのせいで運動はからっきし駄目でしたね。 中学校の最初にもらった理科の教科書で天気図を見て、 「天気図って自分で書けるんだ!」 って分かって、 先生から天気図用の白地図みたいなのをもらってコピーして、 3年間ほぼ毎日つけてました。
 テレビの 「天気予報のはしご」 は物心ついたときから。 一番のあこがれはTBSの森田正光さんでした。 切り口が独自で楽しい。 天気予報をしてますよという雰囲気じゃなくて、 普段の話し言葉でやっておられるのを見て、 こういう解説がしたいなあと思ってました。
   まさに初志貫徹ですね。
片平 先輩のお天気キャスターからも言われたんですが、 「小学校、 中学校でお天気キャスターを目指す人は結構いる。 だけど中学校や高校に進むとだんだん現実が見えてきて、 堅実な路線に行ってしまう。 片平君は子どものころの夢を貫いて気象予報士にもなってお天気キャスターにもなった。 これは同じ夢を持つ子どもたちにとっては、 自分の目指す道になるから、 簡単にやめたらあかんで」 と。
   苦労とかはないんですか?
片平 天気予報が外れても誰のせいにもできないので、 その日晴れるだろうと思って旅行の予定を組んで雨が降っても文句を言えない (笑い)。 外れた時はやっぱり悔しいですが、 何で外れたのかを考えるのが楽しいし、 町を歩いてると、 「片平君、 きのう当たったなあ」 と言ってもらえるのもうれしいし、 「逆に何で外れたんやー」 と言われて、 「すみません。 上空の寒気がー」 と言って、 「おーそうか分かった。 明日頑張りや」 と言われたら、 また頑張ろうといい気になります。
   お天気の魅力は何ですか?
片平 一つは生活に密着して、 生活の中にあるということ。 それと、 天気の変化自体に同じものが二度とない、 いましかないということですね。

防災の時こそ心に響く予報

 同じ晴れでもきのうの晴れときょうの晴れは違う。 それを図で表したら天気図や雲の画
像であったりするんですが、 同じものが二度とないことを、 明日はどうなるんだろうと自分の知識を最大限に活用して、 こんなふうに外に出て風を感じたり、 雨のにおいを感じたり、 五感をすべて使って明日はこうだと考える。 同じ天気図は二度とないので、 結局死ぬまで勉強です。
 そして実際どうだったかという、 まるで毎日テストがあって、 答え合わせをしているような感じですが、 それが人の役に立つというのはすごくうれしいですね。
 普段は雨が降っても人は死なないので、 半分おちゃらけたりしますが、 大雨とか台風の時は、 人の命を守るのが僕らの一番の使命ですから、 そういう時こそ、 いま何を伝えるべきかをすごく工夫します。 どれだけ台風の進路や大雨の予想が当たっても、 見ている人が分からなければ意味がない。
 だから防災の時こそ、 心に響く天気予報、 天気解説をしたいと思っています。
   なるほど。
片平 僕はこの仕事を 「自然の町医者」 だと思ってるんです。
 その地に一緒に住んでいる人の病状や容態を普段から知っていて、 町ですれ違った時に、 明日寒 (さむ) なるから風邪ひかんようにニンジン食べときやとか、 そんな日常会話が僕にとっては普段の天気予報で、 いざ病気になって駆け込んできた時の対応が防災だと。
 僕の天気を予報を見てお天気って楽しいんだと思っていただいて、 気象予報士を受験していただくのもよし、 自分の家で気温を毎日つけるようになるのもよし、 外で空をボーっと眺める時間をつくるのもよし、 その人の生き方にお天気を巻き込んで、 お天気のある生活をしていただく一つのきっかけになれば、 それほど幸せなことはありませんね。
 そしてそう思って下さる方というのは、 普段から天気に敏感に感じてくださって、 台風や大雨の時も危ない所には行かないし、 危ないと思ったらすぐに避難してくれるでしょうし、 最終的に大きな台風が来ても犠牲者ゼロで、 大きな被害も出ませんでしたということになるようになればいいですね。

かたひら・あつし 1981年、 埼玉県出身。 法政大学人間環境学部人間環境学科在学中にBS-iの天気予報 『i-NEWS』 内 「キャンパスウェザー」 でデビュー。 卒業後、 日本気象協会に入社。 昨年10月からウェザーマップに移籍。 テレビ、 ラジオでの気象解説者として活躍する傍ら、 学校や講演会などで環境問題や地球温暖化問題の講師としても活動。 現在、 関西テレビ 『スーパーニュースANCHOR』 (月〜金) に出演中。 自身のブログは 「風まかせお天気日記」 (http://ameblo.jp/katahirablog/)。

投稿者 jcposaka : 2009年10月30日

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