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大阪府「市場化テスト」 自動車税の問い合わせ・完納照会・未納者への催告を委託

2009年07月24日

徴税や水道の管理運営を企業に丸投げ
府議会関与のない管理委員会が業者選定
個人情報流出の危険性も
学習会に200人

 大阪府が 「大阪版市場化テスト」 で府税はじめ府の業務の民間委託を進めようとしている中、 「府税の民間委託を考える府民大学習会」 が15日夜、 大阪市中央区のエルおおさかで開かれました。 大阪府職労などでつくる実行委員会が主催したもので、 会場いっぱいの200人が参加しました。  大阪府は、 福祉・医療・文化など公務が担ってきた仕事を次つぎに民間企業に開放。 「大阪版市場化テスト」 に基づいて、 今年度から自動車税の問い合わせや完納照会などの業務をNTTマーケティングアクトに委託。 8月からは自動車税未納者への電話催告業務をも同社に行わせようとしています。

 さらに府財政の中心である府税の仕事も、 「大阪版市場化テスト」 で民間企業へ丸投げすることを計画。 昨年末には対象業務として徴税などの税務を含め、 府営水道や府立図書館の管理運営など9つを決定。 業者の選定は、 府議会の関与がない 「監理委員会」 が行います。  主催者を代表して、 全大阪消費者団体連絡会の飯田秀男事務局長が、 「市場化テストは公共サービスの向上が口実だが、 府民の個人情報が漏えいする危険があることを、 府民が知らないうちに進めることは許されない」 と批判しました。  自動車税コールセンターの実態を訴える寸劇に続いて、 「『公務の市場化』 は府民に何をもたらすか」 のテーマで、 城塚健之弁護士 (大阪法律事務所) が講演 (別項)。 参加者から 「大阪国税局では、 記帳指導や確定申告期の電話相談など4業務を、 税理士に外部委託している」 (清家裕弁護士)、 「大阪市税の徴収が民間委託され、 自殺者を生んでいる実態がある」 (住吉民主商工会)、 「レセプトのオンライン請求義務化で、 個人情報の漏えい、 悪用の危険がある」 (大阪府保険医協会)、 「法律で無料とされて、 もうからない図書館を民間委託すれば、 ワーキングプアが増える」 (元府立中之島図書館司書部長) などの発言が続きました。  学習会では、 市場化テストなどの民間委託の抜本見直しと、 8月から予定されている民間社屋内での自動車税コールセンター業務の中止を求める府民アピールを採択しました。

「市場化テスト」は構造改革
城塚弁護士が講演

 城塚氏は、 貧困と格差が広がり、 内閣府の 「国民生活に関する世論調査」 (08年8月) でも、 日常生活で悩みや不安を感じている人が81年以来初めて7割を超えていることを紹介。 新自由主義や 「構造改革」 路線への反省が生まれ、 官製ワーキングプア問題も注目されていると語りました。
 その一方、 橋下徹知事が公務員バッシングで高支持率を集めつつ、 自治体解体を進めている中で、 城塚氏は自治体での 「構造改革」 問題に言及。 新自由主義的改革の柱である 「小さな政府」 の狙いは、 ハード面では財政支出を削減し、 多国籍企業に奉仕する強権的な統治機構づくりで、 ソフト面では公務員を変質し、 財界要求を公務の遂行に直結していくことにあると解明しました。
 城塚氏は、 「小さな政府」 をつくる手法が 「官から民へ」 の名で進められている公務の市場化にあり、 その一つに 「市場化テスト」 があると指摘。 その本質は、 国や自治体の一体の業務を官民・民間の競争入札とすることにあり、 対象業務は個別法で禁止されていない限り、 無制限に広がっていると語りました。

公共性と能力、責任感、民主的コントロールが喪失する

 城塚氏は、 「大阪版市場化テスト」 について、 参入を希望する民間企業に府の仕事を切り売りする大規模民間委託だと強調。 市場原理が貫かれることで@住民は主権者ではなく、 「消費者」 として扱われ、 公共性が確保されないA公務からノウハウや監督能力、 責任感が失われるが失われるB民間企業は 「企業秘密」 で、 民主的コントロールが及ばないなどの問題点を挙げました。
 税務分野について城塚氏は、 個人情報が民間業者に渡る問題点を説明。 自動車税では、 登録状況 (車種、 年式、 新車か中古車かなど)、 所有状況 (台数、 ローンか現金購入か)、 納税状況も民間業者が把握することになると指摘。 成果主義による高圧的な対応や、 ノルマを達成できればそれ以上電話をしないなど、 住民に対する不平等な扱いも生まれると述べました。
 さらに城塚氏は、 公務の市場化の中で、 人権保障や文化水準も低下し、 企業はもうからなければ事業から素早く撤退し、 自治体と住民に責任を負わないことや、 公務員の分限免職や官製ワーキングプアも増大すると述べ、 「公共性を担うのは現場の人間。 公務の意義を、 現場の皆さんが言葉豊かに語ることが必要」 と力説しました。

投稿者 jcposaka : 2009年07月24日

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