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府民運動と日本共産党の論戦が橋下府政を動かす 日本共産党府議団宮原団長に聞く

2008年11月06日

 橋下徹知事が就任してから9カ月になります。 橋下府政の動向や現在の特徴、 福祉・教育・文化の切り捨てに対する府民の運動、 日本共産党が果たしている役割について、 同党大阪府議会議員団の宮原威団長に聞きました。

知事は財界と二人三脚

   9月府議会で浮き彫りになったことは。
宮原 何よりもまず、 関西財界と二人三脚で府政運営を進めるという橋下知事の姿勢が、 鮮明になったと思います。 橋下知事が並々ならぬ意欲を示している、 大阪市の第三セクター 「大阪ワールドトレードセンタービルディング (WTC)」 への府庁移転、 大阪市が開発の破たんを認めたベイエリア地域の活性化、 阪神高速淀川左岸線延伸部の推進、 そして道州制の実現。 これらはそもそも、 関西財界が狙ってきたものばかりで、 橋下知事はそれを後追いしているにすぎません。
 府議会総務常任委員会で私が 「財界と一緒ではないか」 と指摘したのに対し、 橋下知事は 「偶然の一致」 だと答弁しました。 WTCへの府庁移転について 「早くから目を付けていた」 と言う橋下知事ですが、 これは知事選でも公約していなかった問題。 関西財界が府政運営に意見を述べる 「アドバイザリーボード」 (9月) で、 財界代表がWTCに入るのは 「府でも市でもいい」 と発言していたように、 もともとは財界発です。

府庁移転で正論を対置

   WTC移転問題は、 9月府議会の大きな焦点になりました。
宮原 橋下知事は8月22日WTCを視察して 「ここで決まり」 と発言しました。 しかしこの時点で、 現庁舎を利用している府民の数や防災対策などについて何も調べていなかった。 本末転倒、 まさに 「WTC移転先にありき」 でした。
 これに対してわが党は、 9月中旬に知事への要望書で移転問題について具体的な提言を出したほか、 議会論戦でも移転案が財界本位であることを明らかにするとともに、 防災対策などの問題点を真正面から指摘しました。
 特に地方自治法第4条は、 庁舎の位置について 「住民の利用に最も便利」 であることが最重要で、 その決定は出席議員の3分の2の賛成が必要だと定めています。 「日経」 (10月15日付) は 「府庁WTC移転案迷走」 という記事を出し、 「各会派からは 『府民の利便性が悪くなる』 などWTC移転案を懸念する意見が続出した」 と書きました。 他会派がWTCの買収価格などの質問に終始する中で、 住民の利便性という原理原則から庁舎問題を論じたのは、 日本共産党だけでした。
 8月末に、 府の経営企画会議ではWTC移転について 「9月議会中に方向性を出したい」 などの議論がありましたが、 橋下知事の当初の計画は大きく狂った形です。 最近では幹部職員の間でも 「議会の様子から見て、 WTC移転はどうもだめだと思う。 知事がなぜあれだけ固執するのか分からない」 という声が出ているほどです。

府民運動はさらに発展

   9月府議会では福祉4医療費助成制度の現行制度堅持を求める請願、 府立国際児童文学館を当面現地で存続することを求める請願が、 日本共産党、 自民党、 民主党、 公明党の主要4会派の賛成で採択されました。
宮原 いずれも橋下府政とのたたかいの中での大きな変化です。 7月臨時府議会では日本共産党以外に、 福祉4医療費助成制度の現行制度堅持を主張した会派はありませんでした。 ところが9月府議会では、 各会派とも質問や要望で現行制度堅持を求めました。
 府は 「大阪維新プログラム案 (維新案)」 で、 同制度の自己負担1割化を来年4月から実施するとしていましたが、 いまは 「来年度中」 ということに変わってきています。 府が市町村と設置した同制度の研究会の中間報告が11月末にも出ますが、 市町村の中でも 「いまのままでもいい」 という声が出始めています。
 9月府議会で主要4会派の足並みがそろった背景には、 医師会はじめ医療関係団体、 府民団体の粘り強い取り組みや、 吹田市や高槻市などの議会で現行制度堅持を求める決議や意見書が採択されるなど、 世論と運動の発展があります。 わが党もさまざまな団体との対話を重ね、 議会論戦でも府民生活の実情や制度の重要性を主張してきました。
 今後、 来年度予算の中で制度のあり方と、 各党の態度が問われるだけに、 現行制度堅持を求める府民運動をさらに広げることが重要だと思います。
 府立国際児童文学館や大阪センチュリー交響楽団やワッハ上方 (上方演芸資料館) など、 「維新案」 で切り捨ての対象にされている各分野で、 存続を求める当事者の皆さんの熱意とともに、 文化団体と大阪自治労連などが共同して結成した 「府立の施設と文化を考える府民の会」 の活動など、 超党派の運動の発展が大きな役割を果たしていると思います。

暮らし応援の府政こそ

   橋下知事が 「財政再建の次の一手として今後の大阪の将来像を示す」 としていた 「将来ビジョン・大阪」 素案を発表しました。
宮原  「世界をリードする大阪産業」 「水とみどり豊かな新エネルギー都市」 「ミュージアム都市」 などの 「将来像」 を掲げています。 橋下知事の 「財政再建」 には、 「将来世代に負担を先送りしないため」 ということで一定の府民の支持を得た局面もありましたが、 「将来ビジョン」 には、 全国的にも際立っている大阪府民の暮らしの困難、 貧困と格差の拡大をどう打開するのか、 具体的な政策が見えません。
 いま、 大阪府政に求められているのは、 困難を増している府民の暮らし、 福祉と教育を守りながら、 中小企業を含む大阪経済の振興を図ること、 依然深刻な府財政を再建することです。 そのためには橋下 「行革」 案を撤回し、 福祉や教育、 文化の存続と削減した予算の可能な限りの復活を図るとともに、 WTCへの府庁移転、 第2名神関連府道や淀川左岸線延伸部など大型開発の抜本見直しと中止、 同和行政の完全終結など無駄をなくす。 「三位一体改革」 で削減された地方税財源の復活などを国に求めることが必要です。
 日本共産党府議団はこの立場から府民との共同を広げ、 府民生活を応援する緊急対策の実現を府に求める活動に取り組むとともに、 解散・総選挙での日本共産党の躍進に奮闘します。

投稿者 jcposaka : 2008年11月06日

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