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民滅ぶ“痛み”「橋下行革を問う」A府立高校非常勤職員「私たちは働き続けたい」350人全員を首切り

2008年07月10日

  「知事にも、 ここでお渡しします。 ぜひ読んでください」   7日の府議会本会議場。 代表質問に立った日本共産党の宮原威議員が、 橋下徹知事に直接、 1冊のパンフレットを手渡しました。 大阪府立高等学校教職員組合が6月末にまとめた 「府立高校にはたらく非常勤職員白書」 です。

  「財政危機」 を理由に府立高校の教員が減らされる中、 実験、 実習などの補助、 プリントなどの印刷、 名簿作成、 備品の補充…府立高校の教育現場に、 なくてはならない役割を果たしているのが、 教務事務補助員などの非常勤職員です。  4月の 「財政再建プログラム試案 (PT試案)」 では、 制度の廃止=350人全員の08年度末解雇を明記。 橋下知事は、 「大阪維新プログラム案 (維新案)」 でも同じ方針を掲げました。

行政がつくったワーキングプア

 夏休みなどの長期休業中は解雇される 「学期間雇用」 で、 年収は110万円ほどにしかならない不安定な身分。 「行政のワーキングプア」 と語る関係者もいるほど。 教職員の多忙化の中で、 勤務時間を超え、 土曜や日曜の労働も少なくありません。
  「白書」 は、 「それでも働き続けたい」 「生徒を支え、 教育に役立ちたい」 という非常勤職員が、 自らの仕事への誇りを込めて記した手記をまとめたもの。 教務事務補助員23人、 図書担当非常勤補助員3人、 理科担当15人、 家庭科担当7人が執筆しています。
  「不安定な雇用で24年間…私なりに働いてきました。 授業で実験の操作に手間取る生徒に側でゆっくり方法を教えます…生徒に 『ありがとう』 『わかったわ』 と笑顔で言われたとき、 やりがいを感じます。 学校が好き、 生徒が好き」 (摂津高校・理科)
  「私は、 母子家庭で82歳の母親と高1の娘を養っています。 私が職を失えば養っていけません…現場の実態を見ることが不可能ならば、 せめて私たちのこうした声から聴き取ってください」 (刀根山高校・家庭科)

イルミの方が大事と橋下知事 

 橋下知事は、 交渉決裂となった6月20日の府労組連との団体交渉で、 非常勤職員の役割の重要性や不安定雇用の実態などについて 「認識している」 としながら、 制度廃止は 「最終の政治判断」 「(非常勤職員より) イルミネーションが大事」 と発言しました。
 東住吉高校の教務事務補助員、 千賀茂世さん (53) は、 4年前まで北野高校の定時制で働いていました。 かつて高校を中退しましたが、 「人生のけじめをつけたい」 と、 同校定時制の3、 4年生に編入し、 生徒会長も務めました。
 卒業後、 通信制大学で学びながら働こうと思った千賀さんが、 学校側から勧められたのが非常勤職員。 2年間勤めましたが、 太田前府政の 「定時制高校つぶし」 で北野高校が標的になり、 雇い止めに。 そして現在の職場では非常勤職員そのものの 「全員解雇」。
  「財政が危機だと職場を減らされ、 財政危機は解決されないまま、 今度は全員首切り。 日本って何?大阪って何?と言いたい」 と千賀さん。 PT試案が出たときは、 眠れぬ夜を過ごし、 「もう辞めてしまおうか」 と思ったといいます。

いなくていいと言う人はいない

 しかし、 非常勤職員制度の廃止反対を求める運動に参加し、 「学校の中でも、 街のお店でも 『あなたたちがいなくてもいい』 という人は誰もいないことを知りました。 『橋下知事を応援している』 という人でも、 一つひとつ話せば、 『それはいけない』 と署名に協力してくれます。 いなくていいと思っているのは、 橋下知事だけ。 そう思ったとき、 私は辞めてはいけないと思いました」 と千賀さんは語ります。

投稿者 jcposaka : 2008年07月10日

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