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35人学級廃止、私学助成削減のPT案 子どもも親も学校も泣く 教育・文化府民会議がシンポジウム

2008年05月24日

 橋下府政の 「財政再建プログラム試案 (PT試案)」 が、 35人学級の廃止や私学助成の大幅削減、 教育施策の切り捨てを打ち出している中、 子どもと教育・文化を守る大阪府民会議が16日夜、 大阪市天王寺区のたかつガーデンで 「これで 『子どもが笑う』 のか・疑問いっぱい 橋下 『教育改革』 を考えるシンポジウム」 を開き、 約230人が参加しました。

財政再建と教育拡充両立できる

 開会あいさつした同府民会議代表の渡辺和恵弁護士は、 橋下府政の動向に触れ、 「『教育改革』 の名で子どもや府民の権利をずたずたにするもの」 と批判。 「教育現場の実情を聞き、 (府政の)現状を正していく集会にしよう」 と呼び掛けました。
 問題提起したコーディーネーターの中山徹・奈良女子大学准教授は、 府のPT試案のように08年度で1100億円という急激な予算削減を前提にすると、 教育・医療・福祉関係の削減が不可避になると強調しました。
中山氏は、 府財政は危機的だが、 橋下知事が繰り返すような 「破産状態」 ではないと指摘。 「1100億円の削減額を前提にせず、 再建期間を長くすれば、 財政再建と教育拡充は両立可能であり、 財政再建の方法を府民的に議論すべき。 これこそが自治体の役目」 と語りました。

35人以下学級は必要条件と教諭

 5人の教育関係者が報告したパネル討論で、 小学校教員の雨越康子さんは、 1年生で1クラス22人と、 1クラス41人を担任した経験から、 子どもの学力形成と発達にとって 「35人以下学級は必要条件」 と力説。 21人のクラスでは、 教師にゆとりがあり、 一人ひとりに目が行き届くなど、 「よく学び、 よく遊び、 よく働く子どもが育ちます」 と語りました。
 高校2年生、 中学2年生、 小学5年生の3人の子どもを育てている吹田市の福井依智子さんは、 橋下知事が掲げる 「習熟度別少人数学級」 について発言。 「できる子」 と 「そうでない子」 がクラスで分かれて競争が激化し、 親の連帯もなくなると語り、 「すべての教科で、 子どもたちがみんな仲良く、 学び合い、 生きる力をつけられることが大事」 と話しました。
 私立の英真学園高等学校の内田準吉校長は、 高校単独の同校の収入は授業料と経常費補助が基本になっていることを紹介。 私学助成削減が実行されれば、 授業料を上げるか、 人件費を削るか、 その両方かの選択肢しかないことを示し、 「憲法は教育の機会均等を定めています。 PT試案がまかり通るなら、 子どもも親も、 学校も泣く大阪になる」 と述べました。

私学助成は私立高校生の「命綱」

 奨学金を借りて千代田短期大学に通う1回生の大谷彩夏さんは、 父親が廃業して家計が大変になる中、 高い学費に罪悪感を感じながら私立高校に通った当時の思いや、 母校の後輩たちの気持ちを語りながら、 「私学助成は私立に通う生徒の命綱。 橋下知事は、 どうか子どもの学ぶ権利を奪わないで」 と訴えました。
 府立高校教員の阿尾和さんは、 これまでの府立高校統廃合や学区再編で、 遠距離通学する生徒が増え、 中学校の進路指導にも困難が生まれている実態などを詳しく紹介。 「大変な状況に置かれている学校で、 非常勤職員の予算を削ったり、 加配を減らすことに非常に怒りを覚えています」 と語りました。

資料寄贈者鳥越さんが講演
子どもに笑われる

 シンポジウムでは、 児童文学研究者の鳥越信さんが講演しました。
 84年に開館した府立国際児童文学館。 現在、 約70万点ある収蔵資料の母体となったのが、 「鳥越コレクション」 と呼ばれる、 鳥越さんの児童文学関連の蔵書約12万冊でした。 鳥越さんから寄贈を受けるにあたり、 府は引き続き資料を収集・整理・公開することを約束していました。
 ところがPT試案は、 「図書館との統合」 を明記しました。 国際児童文学館は法律に基づく図書館や博物館でもない、 子どもの本の専門施設だと力説した鳥越さんは、 「私は図書館に寄贈したつもりはありません。 (統合先の) 府立中央図書館館には70万点の蔵書を置く場所もないと聞きますあ。 どうするつもりなのか」。
  「橋下知事は 『子どもが笑う大阪』 と言ったが、 『子どもに笑われる大阪』、 『子どもにばかにされる大阪』 をつくるもの」 と、 鳥越さんは語りました。

投稿者 jcposaka : 2008年05月24日

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