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命 守る共同わが街から 共産党吹田市会議員団主催 「地域医療シンポ」 に150人

2008年04月05日

 深刻な医師・看護師不足や 「医療崩壊」 が大きな社会問題になっている中、 医療関係者や市民が地域医療を守る道を共に探求しようと、 日本共産党吹田市議会議員団 (倉沢さとし団長) が3月30日、 「『地域医療』 を考えるシンポジウム」 を開きました。 会場の同市総合福祉会館には、 満員の150人が参加。 医師会長や市民病院総長、 救命救急センター長はじめ、 吹田の医療界の第一人者がパネリストとなり、 熱心に討論しました。

 開会あいさつした倉沢団長は、 「この数年間で制度が劇的に変化し、 医療が国民から遠ざかり、 医療界内部でも深刻な事態になっている。 医療問題を国民的課題として研究したい」 と、 シンポジウム開催の意義を強調。 阿部誠行府議の司会で進行しました。  基調講演した、 大阪府保険医協会勤務医部会の原田佳明さん (寝屋川市・協仁会小松病院副委員長)が、 同部会の実態調査 (06年) を基に、 勤務医の激務と医師不足の深刻な現状を報告。 5割近くが週60 時間以上勤務 

 同調査には、 府内の病院・診療所で働く医師のうち、 管理職を含む560人が回答。 1週間の勤務時間が労働基準法に定める週40時間だったのは13%に過ぎず、 46・4%が60時間以上になっています。  宿直時の連続勤務時間では、 24時間以上が54・2%、 36時間以上が32・7%。 原田さんは 「長時間労働が、 医療事故や 『ひやり・はっと』 につながりかねない」 と指摘。 「深夜労働として扱われるべきものが、 医師は当直扱いになっている」 と指摘しました。

 大阪府南部では、 新臨床医研修制度が始まった04年度以降、 南大阪病院 (大阪市住之江区) で小児科が閉鎖。 同市南部の小児救急が堺市や松原市に流入し、 態勢が維持できなくなるなど、 「ドミノ倒しのように医師不足が進行し、 地域医療が崩壊している」 (原田さん) 事態になっています。  原田さんは、 日本の医療費が対GDP (国内総生産) 比で先進7カ国中最低で、 医師数も人口1千人当たり2・0人すぎないことなどを挙げ、 「医療費総額と医師養成を抑制する政策を転換し、 総理と国会は、 政治の責任を果たすべき」 と主張しました。

医師会長・市民病院総長・救命救急センター長…
地元医療界の第一人者が討論

人の命と健康は「聖域」でなければならない
小谷泰吹田医師会長

 吹田市医師会長の小谷泰さんは、 「医療費抑制政策の結果、 国民は望ましい医療を受けられず、 現場の医師も過重労働を強いられている」 と指摘。 日本医師会総合政策研究機構の調査でも、 夜間休日診療や救急医療体制の整備を求める要望が多いことや、 国民の7割、 患者の8割が、 所得に格差があっても、 医療に格差がないことを強く望んでいるとして、 「公的医療保険を堅持し、 拡大するべき」 と語りました。
 小谷さんは、 吹田市医師会 (会員数554人) のうち開業医が293人で、 平均年齢は59・2歳、 60歳以上が38%に上るなど、 医療従事者も高齢化している現実や医師不足への不安を訴え。 小泉政権以来の 「聖域なき 『構造改革』」 に対して、 「人の命、 健康は絶対に聖域でなければならない」 と力説しました。

長時間過重労働の中での勤務告発
椿尾忠博吹田市民病院総長

 吹田市民病院総長の椿尾忠博さんは、 同病院の現状を詳しく報告。 医師不足が深刻な泉州地域に比べて、 大阪大学の協力も得られる北摂地域の市立病院はまだ機能しているが、 「一杯一杯のところでやっている」 とし、 産科や麻酔科などの体制確保の苦労を語りました。
 医師の過重労働の問題で椿尾さんは、 ことし2月の平均勤務時間 (当直含む) を紹介。 部長以上で内科89時間・外科89時間。 医長でも内科84時間・外科で105時間と、 長時間労働になっている実態を明らかにしました。
 また同病院は2次救急告示病院で、 昨年11月の救急患者数は1538人 (救急車が20%)。 そのうち、 救急患者の重複などや専門外のために救急車の受け入れを断ったのは73件あると報告しました。

搬送・転院先も問題
甲斐達朗済生会・千里救命救急センター長

 済生会・千里救命救急センター長の甲斐達朗さんは、 救命救急医療のシステムを解説しながら、 2次救急告示病院が減少している中で、 最も重症な患者を受け入れる3次の救命救急センターに搬送せざるをえない現状があると指摘しました。
 さらに救命救急センターに入院した患者が一般病院にすぐ転院する条件がないため、 「入口と出口の問題を考えなければならない」 と話しました。
 千里救命救急センターの取り組みとして、 救急車に医師や看護師が乗り込んだ 「ドクターカー」 を出動させ、 重症度や適切な搬送先を医師が現場で判断していることを紹介。 都市部で 「ドクターカー」、 過疎地で 「ドクターヘリ」 を整備することで、 「入口の問題は大丈夫。 出口の問題は次のステップとして出てくる」 と甲斐さんは語りました。

救急医療機関は最後の砦 山本智光特養ホーム「いのこの里」施設長

 吹田市内にある特別養護老人ホーム 「いのこの里」 は、 定員80人で平均要介護度は4・1、 入所者の平均年齢は83・4歳の施設です。
 施設長の山本智光さんは、 同市内の特別養護老人ホームの施設長会議で、 介護職員が見つからないことと、 救急搬送病院がなかなか決まらないことが、 大きな話題になっていると切り出しました。
  「いのこの里」 入所者が入院したケースは07年度59件。 そのうち救急車利用は22件、 夜間が9件ありました。 山本さんは高齢者福祉施設にとって、 「救急医療機関は最後の砦。 役割は大きい」 と強調しました。
 合わせて山本さんは、 入院した認知症高齢者について、 家族も高齢化する中で、 入院中の治療や食事介助にあたって、 人間としての尊厳を守る重要性を訴えました。

医療保障は国が責任持つべき  
日本共産党山下よしき参院議員

 日本共産党の山下よしき参院議員は、 医療問題での国会論戦を中心に発言。 昨年、 奈良県の妊婦が搬送中に死亡しましたが、 「最大の問題は、 奈良県に総合周産期母子医療センターがないこと」 と山下議員。 医師・看護師を確保し、 センター新設に、 国が責任を持つべきだと強調しました。
 救命救急問題で、 山下議員は、 府内の2次救急医療機関数が00年度304カ所から07年度258カ所に激減していることを示しながら、 「救急医療情報システム整備だけなく、 根本にある医療費抑制政策を変える必要がある」 と強調。 この転換を実現し、 現在6%台の日本の医療給付費をドイツ並みの8%台に引き上げれば、 新たに9兆円の財源が生まれ、 患者の窓口負担の廃止 (5兆円) などが可能になる展望を語りました。

投稿者 jcposaka : 2008年04月05日

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