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30病院が受け入れ拒否 崩壊寸前 救急医療 根底に医師不足

2008年01月24日

急増する救急活動
減少する医療機関

 府内で救急搬送体制の強化を求める声が広がっています。 昨年12月には富田林市の女性が、 今月は東大阪市で交通事故に遭った男性が、 医療機関に救急搬送受け入れを断られるなどした結果、 死亡しました。 救命は生命にかかわる大事な問題です。 「明るい大阪府政をつくる会」 の梅田章二知事候補は19日、 緊急医療体制強化を呼び掛ける提言を発表、 問題解決へ共同を呼び掛けました。

 東大阪市では今月2日夜、 交通事故に遭った男性 (49) が、 府内5つの救急救命センターで 「治療中」 「ベッドの空きがない」 などの理由で搬送受け入れを断られ、 事故現場から約15`離れた吹田市の千里救命救急センターに運ばれましたが、 翌日に死亡しました。
 関係者によると事故は午後10時24分ごろ発生。 午後10時33分に到着した救急隊は、 「生命にかかわる状態であり、 高度医療が必要な第3次救急救命センターへの搬送が適切」 と判断。 関西医大や府立中河内救命救急センターなど現場から近い病院に連絡しましたが、 5施設から 「処置中だから無理」 などと受け入れを断られました。
 6カ所目の吹田市内の救急センターで受け入れが決まり、 事故から1時間10分後の午後11時35分に病院に到着しましたが、 翌3日死亡しました。
 富田林市では先月末、 30病院に救急搬送を断られた女性 (89) が、 約2時間後に、 搬送先の病院で死亡しています。

10回以上断られたケース123件も

 日本共産党富田林市議団の上原さち子市議は市議会全員協議会で質問。 この中で、 07年の救急車の出動回数5879回のうち、 患者の受け入れを10回以上断られたケースは123件に上り、 このうち死亡事例が2件あることが明らかに。
 女性の受け入れを拒否した30病院のうち、 救急告示病院は27院で、 「なぜ機能を発揮できなかったのか」 との上原市議の質問に対し、 同市消防署長は 「医師不足が根本原因」 と答えました。
 大阪府内の救急活動状況は、 1989年の約24万件から約43万件 (06年) と激増。 その一方で、 救急告示医療機関は00年の304をピークに減り続け、 07年には258機関に減少しています。
 救急医療機関は、 患者の病状に応じて1〜3次に分けられており、 生命に危険に瀕して高度治療が必要な場合は3次となります。 府内には11機関ありますが、 東大阪市で事故に遭った男性の受け入れを拒否した5施設は、 すべて3次救急医療機関でした。
 医師不足や経営難を背景に、 2次救急から撤退する病院が相次ぐ中、 大阪の救急医療体制全体が崩壊寸前の状況にあると言われています。

府医師会と懇談
救急医療問題で
日本共産党

 日本共産党の吉井英勝衆院議員、 山下よしき参院議員、 宮本たけし衆院比例候補、 芹生幸一大阪府議らは17日、 大阪府医師会を訪ね、 救急医療問題で懇談しました。
 府医師会からは杉本壽副会長 (救急災害部会) と山本時彦理事、 田中実業務部地域医療三課上席課長補佐、 西川領一係長が出席。
 席上、 「全国的にも体制が厚い大阪でも、 夜間・深夜の体制が十分でなく、 2次救急が減り、 最後のとりでである3次救急が前線に出されている」 「診療の高度化と細分化により専門外の診療ができにくくなり、 さらに医療訴訟など多くの問題がある」 「これまでも医師会として警告を発していたが、 医療全体のゆがみから努力していても起こるべくして起こってしまった」 「搬送や受け入れの問題だけでなく、 医療の構造を考えないと抜本的に解決できない」 など、 実態や要望が出されました。

富田林で市に申し入れ

 党富田林市議団は16日、 同市の多田利喜市長に対し、 救急医療体制充実に向け、 @医師不足解消を国に要望することA富田林病院における救急医療体制充実を関係機関に働きかけることB救急告示病院について体制強化へ国や府に財源確保を求めること―など7項目を要望しました。

緊急医療体制強化を
梅田章二知事候補

 梅田候補は19日の会見で、 事態打開に向け、 とくに2次救急医療機関の充実が必要だと強調。 1次、 2次救急医療機関への補助制度の新設や、 救急救命センター増設、 救急隊の迅速な患者搬送のためのオンライン情報システム構築、 相談センターの設置や専門医によるコーディネーター事業などを強調。
 さらに根本的な問題解決へ、 3次救急医療機関の充実・増設や医師・看護師確保に向けた府独自の医師バンク設置、 学生向けの奨学金制度、 研修制度の創設などを提言。 医療を崩壊させる国の構造改革の転換が必要だと呼び掛けました。

投稿者 jcposaka : 2008年01月24日

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