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門真市が公立保育所廃止・民営化方針

2007年11月08日

公立園は地域に必要
父母らの署名1万筆に
「税金は子どもたちにこそ」

 公立保育所4園を同時に廃止・民営化する計画を打ち出た門真市で、 父母らが見直しを求める運動を進めています。 12月定例市議会に向けて取り組まれている請願署名はすでに1万人を超えました。 父母たちは 「公立保育所は地域にとって必要な存在」 と市民に協力を呼び掛けています。
 門真市内には、 7つの公立保育所と9カ所の民間保育所が設置されています。
 市はことし7月に突然、 泉町、 小路、 柳町、 北島の4園を09年4月に民営化するとした 「公立保育所民間移管計画」 を発表しました。
 これは、 福祉・教育・生活などの施策を大幅に切り捨てる自治体リストラ計画の一環で、 民営化の理由も 「保育サービス充実」 と合わせて 「人件費削減」 が掲げられており、 名前の挙がった4園では、 保護者説明会が開かれています。
 市側は、 民営化によって産休明け保育など新たなサービスが実施されると説明してきましたが、 市南西部では公立園がなくなってしまう問題や、 市民の強い要求だった病後児保育の実施先送り、 劣悪な労働条件で保育を支えてきたアルバイト保育士らの雇用問題など、 利用者や地域住民の不安や疑問の声は、 強まるばかりです。
 民営化対象園に2歳の子どもを通わせる母親 (36) は、 「ベテランから若手まで熱心な先生が多くいて、 安心して子どもを預けることができます。 急いで民営化するのはおかしい」
 別の母親 (32) も、 「赤ちゃんの時からずっと一緒に育ちあってきた友達や保育士たちと別れなければならない子どもの気持ちを、 どう考えているのでしょうか」 と怒りを隠しません。
 署名活動は、 父母や保育士、 保育運動団体などで構成する門真市の保育・学童保育の充実を求める連絡会 (保育・学童をよくする会) が取り組んでいるもの。 ▽利用者や地域住民の理解と納得をぬきに4園の廃止・民営化はしないこと▽子育て支援策の充実▽子どもの医療費助成制度の充実や保育料引き下げなどの負担軽減―を求める内容です。
 4日の署名行動では、 「そんなに問題があるなんて知りませんでした。 公立園が一度に半分以下に減ってしまうなんてひどい」 「市は子どもたちのためにこそ税金を使うべきだ」 などの声が寄せられ、 この日だけで500人以上の署名が集まりました。
 4園同時民営化により、 128人の非正規職員の雇用問題も発生します。 なんとしても民営化はとめたいと、 10月には労働組合を中心に 「市立保育所の民営化に反対する会」 も結成され、 宣伝・署名活動を進めています。

効率偏重 行政の責任放棄

 公立保育所は、 地域全体の子育て支援を支える中心的役割を担ってきました。 府内でも多くの自治体で民営化計画が進められていますが、 門真市のように一度に4園も民営化するのは極めて異例です。
 横浜市では06年、 市立保育園4カ所の民営化をめぐる訴訟で横浜地裁が 「対応が拙速すぎた」 と保護者らの主張を認め、 慰謝料の支払いを命じる判決を出しました。
 この裁判では、 条例制定までの市の手続きに、 「裁量権の逸脱」 があると違法性を認定。 保護者の不安を解消させるたけの説明がなされたとは言い難いとし、 「民営化は決定事項」 との態度をとり続けた行政の姿勢を厳しく批判しました。
 大阪府大東市の保育園民営化をめぐる訴訟でも、 大阪高裁は06年4月、 民営化の進め方について、 「市は配慮義務を怠った」 として保護者への慰謝料の支払いを命じています。
 門真市の民営化説明会に参加した父母からは、 「保護者の意見や要望に否定的で、 不安が募るばかり」 「意見を言っても 『変えられない』 の一点張り。 一方的で拙速な手法は納得できない」 などの声が噴出。 「署名集めなんて生まれて初めて」 という父母たちの手探りの活動が広がる契機となりました。
 廃止対象園に4歳と2歳の子どもを預ける母親 (34) が語ります。 「市側の説明をいくら聞いても効率だけを見て行政の責任を放棄しているようで、 門真の子育て施策が良くなるようには思えません。 保育所は公立も民間も共に充実・発展していくべきだと思います。 子育て対策が社会問題となっている今だからこそ市民の声をしっかり聞いて拙速な民営化を見直してほしい」

投稿者 jcposaka : 2007年11月08日

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